TOEFL ITPのスコアをTOEICスコアに換算!そこからわかる難易度

昨今、グローバル人材の需要の高まりが顕著に進み「英語力」がスキルアップにおけるホットワードになってきましたね。しかし、英語スコアの試験といっても、英検、TOEIC、TOEFL、IELTSなど多岐にわたっているため、何から挑戦すればいいのか迷ってしまうのではないでしょうか。そんな方に向けて、今回は日本人にとって比較的馴染み深い試験である「TOEFL ITP」と「TOEIC」の比較を通じてそれぞれの試験の難易度と挑戦意義についてお話していきます。

TOEFL ITPとTOEICの違い

まずは、本記事の主役である「TOEFL ITP」と「TOEIC」の基本的な情報を紹介していきます。各試験どのような問題形式/内容になっているのか。また、受験者層にはどのような特徴があり、グローバル視点ではどのような強み、特色があるか見ていきましょう。

TOEFL ITPの概要

まずはTOEFL ITPです。同試験は、世界最大規模のテスト開発機関ETSにより作成・提供される団体向けのテストプログラムになります。現在のTOEFL IBTの前身となるTOEFL PBTの問題潮流を受けているため、試験問題がアカデミック寄りであることが特徴です。また、ITPにはLevel1、Level2(易化)が存在しますが、一般的にはLevel1を受験するケースが多いので本記事ではLevel 1を取り扱います。

受験者傾向の特徴として、受験者の多くを学生が占めています。その数は、教育機関を中心に世界50ヶ国、2,500以上の団体に上ります。受験者の傾向を見ると、アカデミックな内容の問題が出題されるのには納得ですね。

TOEICの概要

次にTOEICの試験概要を紹介します。TOEICは4セクション(Listening、Reading、Speaking、Writing)に分かれて英語力を測る総合型の試験です。ただ、一般的にはListeningとReading2つのみを受験するケースが多いです。そのため、本記事ではTOEIC L&Rテストに言及します。問題の傾向として、ビジネスシーンにまつわる英語が頻出するため、ビジネス英語力向上を目指す上で人気の高い試験となっています。そんなTOEICの受験者傾向として、日本の年間受験者数は約176万人(2023)で、受験者層は、大学生から社会人歴の浅い20代がボリュームゾーンとなっています。ここでも、問題の出題傾向と受験者層の関連性が見えてきますね。

参考:IIBC

TOEFL ITPと TOEICの試験形式を比較

ここからは各試験の形式を比較していきます。まずは問題セクションです。TOEFL ITPは、Listening、Grammar、Readingの3セクションに分かれています。問題数と試験時間は、トータルで140問を115分間です。その内訳は、下記の表をご覧ください。
一方で、TOEIC L&RはListening、Readingの2セクションに分かれています。問題数と試験時間はトータルで200問を120分間になります。内訳は同様に、下記表に記載します。

TOTALセクション別 問題数セクション別 試験時間
TOEFL ITP140問 / 115分Listening 50問
Grammer 40問
Reading 50問
Listening 35分
Grammer 25分
Reading 55分
TOEIC200問 / 120分Listening 100問
Reading 100問
Listening 45分
Reading 75分

TOEFL ITPと TOEICの問題内容を比較

試験形式が分かったところで、問題内容に触れていきます。まず、両試験には2つの共通点があります。1つ目は、試験の大枠はListeningとReadingセクションのみである点です。2つ目は問題構成で、両試験共にListeningでは、短い会話、長めの会話、長めのアナウンス or 講義の形式、Readingでは、短文の文法理解と長文読解のパートで構成されています。その上で、各試験固有の特徴をご紹介します。

TOEFL ITPは、問題文が幅広い学問分野からピックアップされている点が大きな特徴です。文学や歴史から生物、科学、考古学など幅広い学術分野から問題が出題されます。ただ、これらの分野に専門知識がなくとも、英語基礎力があれば問題なく解くことができるので安心してください。

一方で、TOEICの問題文は、ビジネスシーンや日常に近いシチュエーションが多くを占めています。例えば、商談のアポイントメント、宣伝広告、イベントのアナウンスなど。加えて、英語の言い回しに日本人っぽさを感じる箇所が多々あります。例えば、Listeningの質疑応答に回りくどい返しがあったり、遠まわしな表現をつかったり、この辺はぜひ問題を解く中で感じてみてください!
以上が両試験の問題内容における主な特徴になります。

Listening 共通Reading 共通問題文 傾向
TOEFL ITP短文 会話
長文 会話
長文 講義
短文 文法理解
長文 文章読解
アカデミック寄り
多種多様学術分野
TOEIC短文 会話
長文 会話
長文 講義
短文 文法理解
長文 文章読解
日常シーンに近い
ビジネス要素強め

TOEFL ITPとTOEICの難易度と換算点

TOEFL ITP、TOEICそれぞれの試験概要が見えてきたところで、実際に挑戦することを検討し始める頃ではないでしょうか。そこでまず気になるのは、各試験の難易度ですよね。ということで、各試験の難易度についてお話していきます。先に結論からお伝えすると、まったく手も足も出ない、、という難易度ではないので肩の力を抜いてください!

TOEFL ITPの難易度

まずは、TOEFL ITPの難易度です。前述した通り、そこまで難しい試験ではありませんが、TOEICと比較すると難易度は高くなります。理由は大きく3つあります。

1つ目は、日本人が苦手とする「英語をアウトプット」することが求められないListening、Readingセクションのみで構成されている点です。2つ目は、問題の形が固まっているので試験対策が容易である点です。一方3つ目の理由として、取り扱われる文章がアカデミックな内容の比重が大きくなる分、読解の際に多少難しさを感じることになります。以上3つの理由が、TOEFL ITPの難易度を決定する要因となっています。

TOEICの難易度

では、TOEICの難易度はどうでしょう。TOEICも問題そのものの難易度は決して高くありません。ただ、問題数が膨大なため試験時間のマネジメントには苦労します。それを踏まえ、TOEICの難易度が比較的低いと言える3つの理由をお話します。

1つ目は、TOEFL ITPと同様にアウトプットのセクションがない点です。2つ目は、問題文が日本人にとって馴染み深いものが多い傾向がある点です。例えば、トピックがビジネスシーンや生活に身近なシチュエーションの比重が大きくなっています。問題の雰囲気をイメージしやすい点は大きなアドバンテージですね。一方で3つ目の特徴として、TOEICでは試験時間のマネジメントに苦戦が強いられます。特にReadingセクションは75分の間に問題が100問あり、その半数以上が長文問題となっているため時間配分が非常に重要になります。一言で表すと、問題はとっつきやすいが時間配分が難しい試験ということになります。

TOEFL ITPとTOEICの換算点

以下、各英語試験のスコアを国際基準であるCEFRで比較した表です。各試験レベルの相対関係や取得目安の参考にしてみてください。

CEFRTOEFL ITPTOEICIELTSTOEFL IBT
A2343-443225~3.0
B1443-5435504.0-5.042-71
B2543-6197855.5-6.572-94
C1620~9457.0-8.095-120
C28.5-9.0

参考:ETS文部科学省

TOEFL ITPとTOEICの対策

前章では各試験の難易度についてお伝えし、十分挑戦可能だと感じたのではないでしょうか。しかしながら、スコアアップを目指す上で英語学習ほど「栄光に近道なし」という表現がぴったりなものはないです。残念ながら、スコアアップに向けては地道な努力を避けることはできません。だからこそ、少しでも効率的に、そして間違いのない方向に努力できるよう、各試験の対策方法をご紹介します。

TOEFL ITPの対策

TOEFL ITPの対策について、ここでは①単語/文法の基礎固め②英文慣れ③問題演習の3ステップを紹介します。

まず、1ステップは単語、文法基礎です。英語学習における単語、文法の位置づけは心臓。車で例えると「エンジン」です。この2つの基礎を固めることが、その後の試験対策の効果を飛躍的に向上させる肝になります。単語帳は、TOEFLに特化したTOEFL TESTスピードマスターで申し分ないでしょう。文法学習は、高校時代に使った文法書で全く問題ございません。

続いて2ステップ目は英文慣れです。文法、単語の基礎固めと同時並行で、英語の文章に慣れていく作業を進めましょう。Readingでは、BBCやCNNニュースのScineceやTechnology分野、Natinoal Geographyicsなど特定の専門分野に触れる媒体がおすすめです。Listeningも同様に、専門性のある文章はおすすめですが、慣れの段階では特に指定はありません。とにかく浴びましょう。初心者へのおすすめは、PodCastのVOA(Voice of America)や、YouTubeの「VOXチャンネル」などです。英語に慣れてきたらいよいよ3ステップ目「問題演習」に入りましょう。TOEF ITPは問題の型が決まっていますので、とにかく問題文に触れ、問題の傾向とタイムマネジメントを体に叩き込みましょう。問題の型を覚え、時間配分のパターンをつかんだあなたは高得点獲得待ったなしです。

BBC
CNN
National Geographycis
Voice of America
Vox channel

TOEICの対策

一方でTOEICの対策ですが、大枠の流れはTOEFL ITPと同様①単語、文法の基礎固め②英文慣れ③問題演習の3ステップです。1ステップ目で異なるのはおすすめの単語帳が金フレになること程度です。単語帳を使う際は、1周で全てをマスターすることなく、1周のサイクルを早くすることを意識しましょう。1週間で1周を目安にしてください。

2ステップ目では、TOEICがビジネスシーンにまつわる問題を多く出題する傾向にあるため、ビジネス系のニュースに触れると効率的です。推奨サイトはBBC、CNN等のBusinessカテゴリーや、The Economist、Wall Street Journelなども読みごたえがありおすすめです。
Listening対策はTOEFLと同様、VOA、耳が慣れてきたらBBC world News棟で英語を浴びましょう。余裕が出てきたらシャドーイングしてみるのも効果的です。

3ステップ目では、問題形式に慣れ、問題の解き方を身体に叩き込みましょう。Listening Part3,4では、問題文の聞き方を確立し、Readingでは、時間配分を意識し、素早く解き進める訓練を積みましょう。このように問題演習を通じて、自分なりの「型」を確立すれば、ベストスコアが見えてきます!

単語 / 文法英文慣れ Reading英文慣れ Listening
TOEFL ITPTOEFL TEST スピードマスター
高校文法書
Technology, Science
National Geographics
VOA
VOX Channel
TOEIC金のフレーズ
高校文法書
Business, Economy
Wall Street Journal
VOA
VOX Channel
BBC World News

The Economist
Wall Street Journal
BBC World News

スコアの活用法

せっかく地道な英語学習に挑戦し、スコアを獲得したのならその結果を進路選択や、キャリアアップに生かしていきたいですよね。そこで、最後の章では各試験のスコアをあなたの人生設計にどのように活かせるのか、その活用方法について考えていきます。

TOEFL ITPスコアの活用

まずはTOEFL ITPのスコアについて2つの活かし方を紹介します。1つ目は、ご自身の英語力の客観的位置の把握です。幅広い受験者層の下、現状の英語力が数値化されるため、絶対評価、そして第三者比較で相対評価の指標として活用することができます。

2つ目に、留学出願に際する英語力の証明書としての活用です。学部レベルの海外留学(交換留学等の期間限定留学の場合)出願の際に語学力証明として受け入れてくれるケースがあります。しかし現在、海外大学の多くはIELTSやTOEFL IBTなどの4技能の能力を測るテストスコアを要求することが主流となっているため、TOEFL ITPを活用できる場面は限られていることを心に留めてください。

TOEICスコアの活用

一方で、TOEICのスコアは国内では大きく活躍します。TOEFL ITP同様、ご自身の英語力の指標になるほか、キャリア形成において大きな力を発揮します。国内の就活市場では、TOEICの高得点者=グローバル人材という認識が根強いため、グローバル人材を求める昨今のトレンド的に、大きなアピールポイントになります。

また、グローバル企業への転職や社内の昇進等で1つの評価材料になることも多いため、学生のみならず、社会人にとってもTOEICスコアを保有しておくことは価値的です。具体的なスコア例としては、730点、860点、920点のボーダーを超えていくと評価やいわゆる市場価値は上がっていくでしょう。

スコア活用 メリットスコア活用 デメリット
TOEFL ITP大学学部レベルでの留学
TOEFL IBTへの移行準備
米英などの先進国の大学では他試験の方が主流であるため、出願可能大学は限られる
TOEIC就活・転職時のアピール
昇進の評価
日本以外では試験の知名度が高くないのであまり評価されない

まとめ

TOELF ITP、TOEICとはどのような試験か?という問いから、問題形式、対策方法、そして獲得した英語スコアの活かし方についてお話してきましたが、如何でしたか?グローバル人材の需要拡大と共に、声高に歌われてきた英語スコアの取得。その中枢的存在のTOEFL ITP、TOEICについて少しは馴染み深いものになっていたら幸いです。

2つの試験は他の英語試験と比較したら、努力が結果に結びつきやすいです。だからこそ、忙しい社会人や時間に追われる学生もぜひ、積極的に挑戦してみてください!その挑戦は必ずあなたにとって前向きな価値をもたらします。最後に、この記事が1人でも多くの方の挑戦の後押しとなることを願っています!

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

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