TOEICオンライン受験(IPテスト)の申し込み方法は?会場受験との違いも解説

TOEICのオンライン受験は、自宅などからインターネット経由で受けられるTOEICの団体受験制度です。公開テスト(会場受験)とは異なり、個人で直接申し込めず、会社や学校など団体からのみ受験できます。コロナ禍の影響もあり、2020年4月からオンライン形式での受験が可能になりました。
本記事では、このTOEICオンラインIPテストの申し込み方法や特徴、会場受験との違いについて、具体例を交えながら詳しく解説します。メリット・デメリットや受験時の注意点も紹介しますので、オンライン受験を検討している方は参考にしてください。

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TOEIC IPテスト(オンライン)の基本情報

TOEIC IPテスト(オンライン)とは、企業・学校などの団体が主催し、その所属メンバーがオンライン上で受験できるTOEIC L&Rテストのことです。IPテストは “Institutional Program” の略称で、通常の公開テスト(個人受験)との違いは「団体経由での受験」という点にあります。基本的に個人で直接申し込みはできません。

オンラインIPテストの試験内容や形式は公開テストと基本的なコンセプトは同じですが、出題方式に違いがあります。公開テストが毎回新作の問題を使用するのに対し、IPテストでは過去の公開テスト問題が使われることがあります。(ただし出題範囲が広いため、体感的な難易度は大きく変わりません)。

オンラインIPテストではコンピュータ適応式出題(CAT方式)が採用されており、受験者の実力に応じて出題内容が変化します。問題数や試験時間も通常のテストとは異なり、約1時間で全セクションを解答する形式です。

受験後の結果通知方法にも違いがあります。公開テストでは試験実施から約3〜4週間後に公式認定証(スコアレポート)が郵送されますが、オンラインIPテストでは試験終了直後に画面上でスコアを確認可能です。公式認定証は発行されず、結果はスコアレポート(得点のみの通知)となります。そのため、就職活動や進学で公式認定証が必要な場合はオンラインではなく公開テストを受験する必要があります。

オンラインで受験したIPテストのスコアもTOEIC公式スコアであることに変わりはないため、履歴書に点数を記載したり資格としてアピールしたりすることは可能です。企業や大学によってはIPテストのスコアを認めないケースもあるため、利用用途に応じて受験形式を選びましょう。

オンライン受験のメリット

IPテストをオンラインで受験するメリットは以下の5つです。

  • 受験料が安い
  • 結果をすぐに確認出来る
  • 問題数が少ない
  • 好きな場所・タイミングで受験できる
  • 実力に応じた問題を受験できる

受験料が安い

大きなメリットは、受験料が安いことです。公開テスト(会場受験)の受験料が7,810円(税込)※(リピート受験割引適用でも7,150円)であるのに対し、オンラインIPテストは4,230円(税込)と約3,000円も安く受験できます。

学生にとって7,800円超の出費は痛手ですが、4,230円であればかなり負担が軽減されるでしょう。オンライン受験なら試験会場までの交通費も不要なので、トータルのコストを抑えられます。

自宅から受験できるメリットは経済面でも大きいと言えます。※公開テスト受験料は2025年時点の金額です。

注意点として、オンラインIPテストには公開テストのような「リピート割引」制度がありません。公開テストでは前回受験から3回以内であれば割引料金が適用されますが、IPテストでは毎回通常料金となります。この点はデメリットとも言えますが、それでも元の受験料自体が安いため、オンライン受験の方が費用面で優位でしょう。

結果をすぐに確認出来る

試験結果(スコア)が出るまでの速さもオンライン受験の大きなメリットです。公開テストの場合、受験後にスコアが判明するまで約1か月待つ必要があります。Web上で確認できる公式結果も試験日から3週間ほど経たないと閲覧できません 。

オンラインIPテストであれば試験が終わった直後にその場で自分のスコアを確認可能です 。就活や昇進の締め切りが迫っている場合でも、オンライン受験なら直前に受けて即座に結果を把握できるため、スケジュール調整がしやすくなります。

公開テストでは「○月○日に受験 → 約4週間後にスコア到着」という流れですが、オンラインIPテストでは「○月○日に受験 → その日のうちにスコア判明」となります。結果を待つ間のハラハラ感がないのは受験者にとって精神的にも助かりますね。

受験後すぐにフィードバックが得られるので、自分の実力をすぐ把握し、次の勉強計画に活かせます。

問題数が少ない

オンラインIPテストは出題される問題数が少なく、試験時間が短い点もメリットです。公開テストではリスニング100問(約45分)+リーディング100問(75分)の合計200問を2時間かけて解きますが、オンライン版では各セクション45問ずつ、合計90問程度を約1時間で解答します。

問題数は半分以下なので、試験による疲労感も軽減されるでしょう。なぜ問題数が少ないかと言うと、オンラインIPテストではコンピュータ適応型テスト(CAT)を導入しており、少ない問題数でも精度よく受験者の英語力を測定できるよう工夫されているためです。参照:https://www.iibc-global.org/hubfs/library/default/toeic/corporate/lrip_online/pdf/iponline-jyukenkankyo.pdf

全受験者が同じ問題を解く公開テストと異なり、オンラインIPでは最初のユニット(問題セット)で共通の設問に答えた後、次のユニットでは各人の正答率に応じて問題の難易度や内容が変化します。

リスニングセクションの場合、前半25問を解いた成績によって後半20問の難易度が上がったり下がったりします。受験者一人ひとりに合わせた問題で効率的に実力判定が行われるのです。問題数が減ることで集中力も持続しやすく、短時間でサクッと受験できるのは忙しい社会人や学生にとって大きなメリットです。

「2時間も集中力がもたない…」という人でも1時間で終わるならチャレンジしやすいでしょう。一つひとつのユニットが時間制限付きで進行するため、時間配分のコントロールができない点には注意が必要です。

好きな場所・タイミングで受験できる

オンライン受験最大の魅力は、好きな場所・好きなタイミングでTOEICを受験できる自由度の高さでしょう。インターネット環境さえあれば、24時間いつでもどこでも受験可能なのがオンラインIPテストの特徴です。

自宅はもちろん、出張先や留学先からでも受験できます(実際、日本国内に限らず海外からの受験も可能です。ただし時差や通信環境に注意)。公開テストのように決められた日時・会場に足を運ぶ必要がなく、自分の都合に合わせて受験日程を設定できる柔軟さは大きなメリットです。

団体主催者が設定した実施期間内であれば、受験者各自が好きな時間帯にログインしてテストを開始できます。極端な例を言えば「夜中しか時間が取れないから深夜1時に自宅で受験」といったことも可能です(周囲に迷惑をかけない環境であることが前提ですが)。このように時間や場所の制約が少ないため、仕事や学業で忙しい人でもスケジュール調整がしやすくなっています。

実力に応じた問題を受験できる

オンラインIPテストではコンピュータ適応型テスト(CAT)が採用されています。自分の実力に見合った問題が出題されるというメリットがあります。リスニング・リーディング各パートで前半(Unit1)の回答状況をもとに後半(Unit2)の問題内容が調整されます。得点が高い受験者にはより難易度の高い問題が、逆に苦戦している受験者には基礎的な問題が提示される仕組みです。

一見受験者にはあまり関係がないように思えるかもしれませんが、自分のレベルに合った問題が出ることで適切な緊張感で試験に臨めるというメリットがあります。英語初級者がいきなり難問ばかりに直面すると萎縮して実力を発揮できませんが、オンラインIPテストなら徐々にレベルアップする形で問題が出題されるため、手応えを感じながら解答を進めやすいでしょう。

上級者であれば後半に歯ごたえのある難問が出るため、退屈せず集中力を切らさずに済みます。また、CAT方式のおかげで試験時間が短縮されている点も見逃せません。必要十分な問題数で正確にスコアを算出できるため、受験者にとっても効率的です。

「短時間で終わるなんてスコアの信頼性は大丈夫?」と不安になるかもしれませんが、その点はETS(TOEIC開発元)の技術により担保されています。実際にオンラインIPテストのスコアも公開テストと同じ尺度で算出され、信頼性は同等です。安心して受験して良いでしょう。

オンライン受験のデメリット

IPテストをオンラインで受験するデメリットは以下の3つです。

  • 団体でしか申し込めない
  • リスニングの先読みができない
  • 公式認定証が発行されない

団体でしか申し込めない

オンラインIPテストは団体経由でしか受験申込ができません。個人で公式サイトから申し込んで好きな日時に受ける、ということはできない点は不便です。

たとえば、TOEICの勉強をしていて「よし、来週末に受験して実力を試そう!」と思っても、自分ひとりでは受験の段取りをつけられません。受験したい場合は自分が所属する大学や会社などにIPテストの実施予定がないか確認し、タイミングが合えば団体申し込みに乗る形になります。

「個人では受けられない」という制約は、人によっては大きなハードルです。社会人で職場がTOEICを実施しない場合や、大学を卒業した後でスコアが必要になった場合など、自力ではオンライン受験の機会を作れません。そのため「公開テストの日程だと都合が悪いからオンラインで…」と簡単にはいかず、結局は公開テストを受けるしかないケースも出てきます。

民間の語学スクール等を利用すれば個人でも受験可能です。追加の講座受講が条件だったり手数料がかかったりする場合もありますが、「どうしてもオンラインで受けたい!」という人はそうしたルートを検討してみても良いでしょう。ただし、基本は団体向けプログラムであることを理解しておいてください。

リスニングの先読みができない

オンラインIPテストではリスニングセクションで問題の先読み(先行確認)ができない点にも注意が必要です。公開テストのリスニングでは、設問の音声読み上げ前に問題文を目で追って内容を予測するといった「先読み」のテクニックがあります。しかし、オンライン受験では画面上で音声と問題文が連動して進行するため、次の設問を先回りして読むことができません。その結果、問題を聞き取る力がよりシビアに求められる傾向があります。

公開テストでは Part 3・4(会話文・説明文)の設問と選択肢を先に読んでから音声を聞くことで「何に注目すべきか」を把握できますが、オンライン版ではそれが許されません。音声が流れ始めてから設問文が提示されるケースもあり、その場の瞬発力で対応する必要があります。リスニングが苦手な人にとっては難易度が上がる可能性があるでしょう。

また、オンラインIPテストは前述の通りユニットごとに時間制限があり、セクション間や問題間で自由に見直しもできません。そのため、自分で時間配分を調整しにくいというデメリットもあります。公開テストのリーディングでは得意なPartを急いで解いて浮いた時間を苦手なPartに充てる戦略が使えますが、オンラインでは各ユニットでタイマーが区切られており、苦手な問題にじっくり取り組む余裕が持てないのです。普段から時間内に解き切る練習をするなどオンライン受験の対策が必要になります。

公式認定証が発行されない

オンラインIPテストでは公式認定証(Official Score Certificate)が発行されません。受験後に確認できるのはスコア(点数)のみで、紙の証明書は手に入らない形になります。そのため、就活や社内昇進で公式のスコア証明が必要な場合には不都合が生じます。

応募先企業から「TOEIC公式認定証の提出」を求められた場合、オンラインIPテストのスコアでは代替できず、公開テストを改めて受験し直す必要があるかもしれません。多くの企業・団体はスコアの自己申告で済むことが多く、公式認定証そのものを提出する場合は限定的です。「公式認定証が出ない=スコアが無効」というわけでは決してありません。実際、オンラインIPテストで取得したスコアも国際的に通用するTOEICの公式スコアであり、履歴書やエントリーシートに記載してアピールが可能です。

企業の中には社内研修としてIPテストを導入し、その結果を昇進要件に活用している例もあります。 とはいえ、提出用の証明書がない点は覚えておきましょう。大学院入試や一部企業では「公開テストの公式認定証に記載されたスコアのみ有効」としている場合があります。自分がそのスコアを何に使いたいのか(就職、進学、社内評価など)を考え、それに応じてオンライン受験を選ぶべきか判断してください。必要に応じて事前に受け入れ側に「IPテストのスコアでも問題ないか?」確認しておくと安心です。

IPテストを受験する際に気を付けること3選

IPテストを受験する際の気を付けることは以下の3つです。

  • Webカメラ・回線速度のチェック
  • 周囲の環境
  • Macの場合はchromeのインストールが必須

Webカメラ・回線速度のチェック

受験に使用するPCとインターネット環境の事前チェックは必須です。オンラインIPテストを受けるには所定の動作環境を満たすパソコンが必要で、スマートフォンや一部のタブレット端末では受験できません。重要なのがWebカメラと通信回線です。試験中は不正防止のためPCのカメラを常時オンにして受験する必要があります。カメラが内蔵されていないデスクトップPCの場合は外付けカメラを用意し、事前に映像が正常に映るか確認しておきましょう。

替え玉受験やカンニング防止とはいえ、ずっとカメラで見られていると思うと緊張するかもしれませんが、受験者全員同じ条件ですので慣れるしかありません。また、ネット回線の速度・安定性も大切です。通信が途切れると試験続行が困難になり、最悪の場合は無効扱いになってしまう恐れもあります。一般的な目安としては、有線LANなら100Mbps以上、Wi-Fiなら54Mbps以上の速度が推奨されています。可能であれば有線接続を利用し、Wi-Fiの場合もルーターとの距離を近づけるなどして安定した通信を確保しましょう。

受験前日にオンライン会議システムなどを使って速度テストを行い、問題なく映像・音声がやり取りできるか確認しておくと安心です。過去に筆者がオンライン会議中に回線不良で音声が聞こえなくなった経験があります。このような事態が試験中に起これば致命的です。家族が大容量の動画視聴をしていたせいで回線が遅くなる、といったことも防ぐため、受験中は家庭内のネット利用も控えてもらうよう事前にお願いしておくとよいでしょう。

周囲の環境

自宅で受けられるからといって油断せず、静かで集中できる試験環境を整えましょう。周囲に人がいると不正行為と見なされる可能性があるため、基本は一人になれる空間で受験してください。試験中に家族がうっかり入室しないよう事前に周知しておく、スマホやテレビは電源を切っておくなど、集中を妨げる要素をなくすことが大事です。部屋の照明も明るくし、カメラに自分の顔がはっきり映るようにしておきましょう。

ネットカフェや公共の場での受験はおすすめしません。自宅が難しい場合でも、できるだけ落ち着いた環境を確保してください。どうしても実家で受ける場合は、自室に「試験中・入室禁止」の張り紙を貼る、耳栓を用意する、といった工夫をしましょう。

Macの場合はchromeのインストールが必須

使用するPCがMac(MacBookやiMacなどのApple製)の場合は、事前にGoogle Chromeブラウザをインストールしておきましょう。

オンラインIPテストは基本的にChromeまたはMicrosoft Edge(最新版)での受験が推奨されています。MacではSafariブラウザは試験システムに対応しておらず利用不可となっています。Safariしか使っていない方は試験当日に慌てないよう、必ずChromeをダウンロードして動作確認をしてください。

実際、Macユーザーの中には「当日Safariでログインしようとしたら弾かれてしまった」という声もあります(Safari非対応と知らなかったケースです)。Chromeは無料で入手できますし、インストール自体は数分で完了します。対応OS・ブラウザの事前確認は受験者の責任となりますので、MacだけでなくWindowsユーザーも含め、自分の環境が公式のシステム要件を満たしているかチェックしましょう。

また、ブラウザの他に必要なソフトウェアがないかも確認してください。場合によっては試験専用のアプリをインストールする指示があるかもしれません (タブレットで受験する際など)。受験票や案内メールに記載された指示には一通り目を通し、不明点があれば事前に主催団体へ問い合わせて解決しておきましょう。

その他、TOEICの問題を解く際のコツは以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ

TOEIC L&Rテストのオンライン受験(IPテスト)について、申し込み方法からメリット・デメリット、注意点まで解説しました。

オンラインIPテストは費用の安さや手軽さ(好きな場所・時間で受験可能)、結果通知の速さなど魅力的なポイントが多く、忙しい社会人や学生にとって便利な受験方法です。

個人では受験できないことやリスニング先読み不可といった公開テストとの違いもあるため、自分の目的や状況に照らして適切な受験方法を選ぶ必要があります。

あなたが就活で早くTOEICスコアが欲しいとか、忙しくて公開テストの日程が合わないといった状況なら、オンラインIPテストは強い味方になるでしょう。所属先や利用できるスクールを探して、ぜひ活用してみてください。ただし、受験に臨む際は本記事で挙げた注意点(機材・環境の準備やルール順守)を怠らないようにしましょう。せっかくの便利な制度ですから、トラブルなく本来の実力を発揮して高得点を狙いたいですね。

最後に、オンラインでもオフラインでも大事なのは日頃の勉強と準備です。試験形式の違いに戸惑わないよう、公式問題集や模試でしっかり練習を積んで自信をつけておきましょう。そうすればどんな形式でもきっと良い結果が出せるはずです。あなたのTOEIC受験が成功し、高いスコアにつながることを願っています!頑張ってください。

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

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