TOEIC Bridgeとは? 難易度やTOEICとの違いを解説

英語の実力を測るテストとして、TOEICはさまざまな場面で活用されています。ただしTOEICは問題数が多く、ビジネスを想定した問題も含まれるため、英語初心者や学生には難易度が高いかもしれません。TOEIC学習を始めてそのように感じている人や英語が苦手な人は、難易度が低めのTOEIC Bridgeの受験を検討してはどうでしょうか。今回はTOEIC Bridgeの内容やTOEICとの違い、そして効果的な学習方法について解説します。

TOEIC Bridgeとは?

TOEIC Bridgeは、TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会が実施する、初中級向けの英語力テストです。まずここではテストの概要や問題内容について解説します。

TOEIC Bridgeの概要と対象者

TOEIC Bridgeでは、TOEICと比べるとより日常的なトピックが出題されます。TOEIC Bridgeには2種類あり、両方合わせると4つの技能(読む・聞く・話す・書く)を測定することができます。

TOEIC Bridge Listening & Reading Tests(TOEIC Bridge L&R)

リーディングとリスニングの問題が出題されます。テストは年に6回、全国23の受験地で実施され、受験料は4950円です。

TOEIC Bridge Speaking & Writing Tests(TOEIC Bridge S&W)

スピーキングとライティング能力を測定します。年に6回、全国14受験地で開催され、受験料は9350円です。

TOEIC Bridgeは年齢を問わず受験可能です。英語教室に通う小学生から、TOEIC受験を目指す学生、そして英語を学び直す社会人まで、幅広い世代が受験しています。

試験形式と問題内容

TOEIC Bridge L&Rは試験時間が1時間で全100問出題されます。問題に出てくる場面は日常生活が多く、例えばレストランでの注文やネットショッピング、道案内などです。

問題は4択で、解答はマークシートに記入します。リスニングは50問(25分間)です。問題は英語の音声を聞いてそれに合う画像を選択するものや、会話を聞いて、それに関する質問に答えるものなどがあります。リーディングは50問(35分間)で、英文の穴埋め問題や読解問題などが出題されます。

一方、TOEIC Bridge S&Wはテスト会場でパソコンを用いて解答するテストです。スピーキングは8問(15分間)が出題され、英文の音読や、英語での写真の状況説明が求められます。

ライティングは9問(37分間)出題され、単語の並べ替えや写真の描写、英文メールの返信を書く問題などがあります。

スコアの範囲と評価方法

テスト結果は合否ではなく、1点刻みのスコアで出されます。スコアは試験日から17日後にインターネットで確認でき、その後公式認定証が発行されます。

スコア配分はL&R・S&Wともに、1つの技能につき15〜50点です。総合スコアは30〜100点の範囲で示されます。

気になる平均スコアは、L&Rは66.2点(2024年11月17日実施分)です。S&Wは、スピーキングが35.5点、ライティングが41.4点でした(2024年11月24日実施分)。

テスト結果を表す公式認定証では、それぞれの技能について、スコアごとに4段階で評価が記載されます。加えてL&Rでは、「語彙」「文法」など、項目ごとの正答率も出されます。自分がどの分野に強いのか苦手なのかがチェックできます。

TOEIC Bridgeの難易度はどのくらい?

TOEICの入門編とされるTOEIC Bridgeですが、難易度はどのくらいなのでしょうか。TOEICや英検など、他の英語能力試験と比較して解説します。

出題される単語・文法のレベル

TOEIC Bridgeで出題される単語・文法のほとんどは、中学校で習うものです。問題は日常生活を題材としており、論文に出てくるような難しい語彙・文法は出題されません。

そのため、学生であれば教科書に載っているような内容、社会人であれば日頃見聞きする表現が多く出題されるため、学習の負担はそれほど重くはないでしょう。

他の英語試験との難易度比較

英語力を測る試験としては、TOEICや英検も有名です。これらの試験とTOEIC Bridgeを比べた場合、TOEIC Bridgeはどれくらいの難易度なのでしょうか。

TOEICとの比較

TOEIC Bridgeは2019年に新形式に移行したため、今のところTOEIC BridgeのスコアをTOEICに換算する公式データはありません。

しかし欧米で使用されている、英語学習者の習熟度を示すガイドライン「CEFR」とTOEIC、TOEIC Bridgeの対照データが公表されていることから、推測は可能です。CEFRはA1〜C2までの6段階で示され、A1が最もやさしく、C2が最も難しいレベルです。このうちTOEICはA1〜C2まで、TOEIC BridgeはA1〜B1までに該当します。TOEICが全レベルをカバーしているのに対し、TOEIC Bridgeは初級から中級レベルが対象です。

IIBCより

CEFRによると、TOEIC Bridge L&RのB1レベルはリスニングが39点以上、リーディングが45点以上です。TOEICのB1レベルは、リスニングとリーディングのそれぞれで275点以上とされています。

英検との比較

実用英語技能検定(英検)も、英語力を測る試験として広く用いられています。こちらとTOEIC Bridgeの難易度の比較も、CEFRの対照データが公開されています。ただし英検は技能別のCEFR対照表は公表していないため、総合得点での比較になります。

英検より

TOEIC BridgeはCEFRのA1~B1に該当しますが、中学卒業レベルとされる英検3級はCEFRのA1~B1レベルとされています。英検の準2級・2級もCERFではB1レベルですが、こちらは高校レベルの単語・文法が出題されるため、TOEIC Bridgeと単純に比較することは難しいでしょう。

TOEICテストと英検の比較については、以下の記事で詳しく解説しています。

TOEICとTOEIC Bridgeの主な違い

TOEICとTOEIC Bridgeの違いは、主に次の点が挙げられます。試験構成・出題内容、難易度、受験目的・活用方法です。

試験構成と出題内容の違い

TOEICとTOEIC Bridgeでは、試験時間や出題内容が異なります。
TOEIC BridgeTOEIC
出題範囲日常生活日常生活・ビジネス
試験時間1時間(L&R)2時間(L&R)
52分(S&W)1時間20分(S&W)
問題数100問(L&R)200問(L&R)
17問(S&W)19問(S&W)
テスト結果30~100点10~990点
1点刻みのスコアで評価5点刻みのスコアで評価

大きな違いは出題範囲です。TOEICでは問題の内容に日常生活だけでなく、ビジネスシーンも含まれますが、TOEIC Bridgeは日常生活だけです。TOEICではビジネス特有の言い回しや文書が出題されますが、TOEIC Bridgeではそれがありません。

また試験時間と問題数が異なります。TOEIC L&Rは2時間で200問ですが、TOEIC Bridge L&Rは1時間に100問と、半分です。TOEICは問題の難易度が高く、全問解き終わらない場合もあります。一方でTOEIC Bridgeはきちんと対策をしておけば、余裕をもって解答できるでしょう。

TOEICの問題については、以下の記事で詳しく解説しています。

難易度の違い

TOEIC Bridgeは英語初中級者向けであり、難易度は毎回ほとんど変わりません。これに対してTOEICは全レベルが対象です。また、出題範囲が広く、年々問題が難しくなっているといわれています。特専門用語が含まれる新聞記事や、クラウド・SNSのような現代的なテーマの英文など、英語の知識だけでは歯が立たない問題もしばしば出題されます。

受験目的やスコアの活用方法の違い

TOEICは就職活動の一環として、履歴書にスコアを書くために、受験する人が多いといわれますが、TOEIC Bridgeはスコアを履歴書に書いてもあまり効果的ではありません。そのため、TOEIC Bridgeは、学生や英語を学び直す社会人が自分の現状の英語レベルを確認するために活用されています。テスト結果をもとに、自分の弱点を洗い出したり、英語力がどれだけ伸びているかを可視化したりすると効果的です。

TOEIC Bridgeを受験するメリット

履歴書にTOEIC Bridgeのスコアを書いても英語力アピールにならなくても、受験するメリットはあります。ここではそれを3つ紹介します。

TOEICの形式に慣れることができる

TOEICとTOEIC Bridgeでは難易度こそ異なりますが、問題形はほぼ一緒です。そのため、TOEIC BridgeはTOEIC受験のための土台作りに活用できます。

例えばリスニングは、どちらの試験も写真描写問題・応答問題・会話問題・説明文問題という、4つのパートがあります。またリーディングセクションも、構成は同じです(TOEICのPart 7のみ複数の文書を用いた問題が出題されます)。そしてどちらも解答をマークシートに記入する方式です。

このように問題が似ているため、TOEIC Bridgeの受験により、TOEICの形式に慣れることができます。特に英語が苦手な人は、いきなりTOEICに挑戦して、問題形式に戸惑うのであれば、まずはTOEIC Bridgeで解き方を身に付ける方がよいかもしれません。一度問題に慣れてしまえば、あとは語彙を増やしたり、問題を解くスピードを上げたりすることで、TOIEC対策も楽になるはずです。

初心者や小中学生でも受験できる

TOEIC Bridgeは年齢制限がなく、小・中学生でも受験可能です。問題のトピックは日常生活で、試験時間は1時間と短いので、小学校低学年の子どもでも最後まで集中してテストに取り組めます。

また試験日時点で12歳以下の子どもが受験する場合は、専用の環境が用意されます。小さい子どもは試験会場の独特な雰囲気に慣れず、本来の力を発揮できない場合もあるでしょう。落ち着いた環境で試験を受けられると、実力が発揮でき、保護者にとっても安心です。事前申し込みは不要です。

そしてTOEIC Bridgeは、英語の学び直しをする大人にもおすすめです。実際に受験会場には大人も多くいます。試験結果で自信を持って、さらにやる気が出る人もいるそうです。

TOEIC Bridgeにおすすめの勉強法と対策

TOEIC Bridgeで高得点を取るには、まず基礎となる単語と文法を学びましょう。その上で大切なのが、国際ビジネスコミュニケーション協会が出している「公式ワークブック」などを解いて、問題にたくさん触れることです。

おすすめ参考書3選

ここからは、TOEIC Bridge対策のサポートとなる参考書を3つ紹介します。

『TOEIC BRIDGE® L&Rテストはじめてでも80点突破』

大学や企業で英語を教えてきた人気講師が書いたTOEIC Bridge対策本で、確実に80点を取りたい人におすすめです。

本書はリスニングとリーディングで、必ず出る20の問題パターンを20日間でマスターする構成になっています。各パターンについて、解き方のコツを理解し、トレーニング問題、力試し問題を解きます。これにより、問題の特徴を理解し、確実に実力をつけることができます。

トレーニング問題の解説も充実しているため、正解の理由をきちんと理解できます。リスニングの勉強方法についても紹介しているので、リスニングが苦手な方でも音声を活用して効果的に学習できます。

一通り勉強できたら、最後は模擬試験に挑戦します。付属のマークシート用紙を使って、本番さながらに制限時間内に問題を解きましょう。

『はじめてのTOEIC BRIDGE L&Rテスト 全パート総合対策』

期間でテスト対策をしたい、受験前に復習したい人向けの参考書です。全パートを2週間で学ぶ構成になっています。

各パートの学習は概要・サンプル問題・実践問題で構成されています。「攻略のポイント」というコーナーでは、問題の攻略方法を視覚化しているので、どこに注意して解答すればよいのかが一目で分かります。

実践問題の問題、解答・解説は、別冊に掲載されています。音声やマークシートは、公式サイトからダウンロードできるため、別冊を使って模擬試験を受けることも可能です。早くからTOEIC Bridgeの問題に触れると、本番も落ち着いて試験に臨めまるでしょう。

この参考書での学習が終わったら、同シリーズの『はじめてのTOEIC BRIDGE L&Rテスト 完全模試3回分」もおすすめです。こちらは模試3回分が収録され、出題パターンや重要単語を解説しており、受験直前の総復習にぴったりです。

『改訂版 中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本』

中学英語を学び直したい方におすすめの参考書で、中学校で学ぶ、英語の文法項目がすべてカバーされています。シンプルな例文とイラストを多用し、最低限必要な文法を分かりやすく、親しみやすい形で解説しています。

また例文の英語と日本語訳の音声が付いているので、これを使ってさまざまなトレーニングが可能です。英語のリスニングはもちろん、日本語訳を聞いて英文を書いたり、発音したりすることで、ライティングやスピーキングに応用もできます。

さらにTOEIC L&Rで満点を90回以上取得している講師が、その学習方法を紹介。ただ問題を解く技術を身に付けるだけでなく、英語の本質を理解した学習ができます。特にTOEICは現地で使われるリアルな英語が出題されるので、ここで基礎をしっかり固めることが英語の上達に大きく役立ちます。

リスニング・リーディング対策のポイント

リスニング・リーディングで高得点を狙うためには、単に単語・文法を覚えたり、問題をたくさん解いたりするだけでは不十分です。特にリスニングでは、英語を聴く「耳」を鍛えることが重要です。

そのためには単語や文法を学ぶ際、発音も練習しましょう。言語学習では、目で見たり、手を動かしたりするだけでなく、耳からも情報をインプットすることが大切です。発音練習はスピーキング力を伸ばすのにも役立ちます。

リスニング力を上げたい場合は、ラジオや動画サイト、オンライン英会話を活用しましょう。まずは例文を聞いて英文をリピートし、慣れてきたらオーバーラップ(音声と同時に英語を読む練習)やシャドーイング(音声を聞きながら、少し遅れて英文を読む練習)を取り入れ、英語を聴きながら内容を理解する練習を重ねます。リスニングはリーディングよりも強化に時間がかかるため、なるべく毎日英語の音声に触れることが、上達への近道です。

リーディング対策のポイントは、問題を解く速さを上げることです。問題を解いたら、各英文の主語や動詞などを考えて、文の構成を理解したり、やさしい英文をたくさん読んで、英語を英語のまま理解する練習をしたりすることで、解答のスピードがアップしていきます。この方法は文法や単語の確認・復習にもなります。

まとめ

TOEIC Bridgeは日常を題材にした問題を使って、基礎的な英語力を測ります。ここで高得点を取れれば、TOEICで高得点を目指す足がかりになります。
英語を学ぶ理由は、ただ試験で高得点を取りたいではなく、英語を活用してなりたい自分があるからでしょう。そのなりたい姿に向けて、まずはTOEIC Bridgeで英語の基礎力を固めてください。きっとその先の学習の助けになるに違いありません。

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

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