
TOEICのPart 6「長文穴埋め問題」に苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか。短文は読めても、長文になると突然難しく感じることがあると思います。今回は、Part 6の特徴や解き方のポイント、さらに英語力アップに役立つおすすめ教材をご紹介します。
目次
Part 6はリーディングセクションの中盤に位置し、Part 5で問われる文法力、Part 7で必要な読解力の両方が試されるパートです。
そのため、Part 5の文法・語彙の知識をそのまま活用できる問題が約半数を占めます。また長文といってもPart 7よりは短いため、集中力を維持して読むことが可能です。また、リーディングセクションの中でも設問数が最も少ないという特徴もあります。
Part 6をテンポよく解けるようになると、時間に余裕が生まれ、次のPart 7の問題にじっくり取り組めます。その結果、リーディングセクション全体のスコアアップにもつながるでしょう。
Part 6の問題形式

Part 6は、短めの長文(文書)1つに、4つの空所が設けられ、選択肢の中から空所に入る語句や文を選ぶ形式です。出題される文書のタイプには、Eメールや社内通達、記事、広告などがあります。
文書の形式は、ビジネスや日常でよく見かけるものが多く、構成のパターンもある程度決まっています。特にEメールやお知らせなどは、展開が予測しやすいのが特徴です。TOEIC Part 6の例題を見てみましょう。
本記事で紹介する例題は、以下の記事から引用しています。
まず以下の例題1を解いてから、解答・解説を確認してみましょう。
※この例題では1つの文書に設問が3問ありますが、実際の試験では4問出題されます。
例題1
Questions 1 through 3 refer to the following e-mail.
From: General Affairs <ja-info@ew-chemicals.com
To: Carl Kawamoto <ck633@finemail.com>
Subject: Season’s Greetings
Dear Shareholders,
We would like to extend to each ---1.--- every one of you our warmest wishes for the coming holiday season.
We are attaching the financial results for the 4th quarter of the year, and we hope that this great news will ---2.--- your holiday spirits.
---3.--- your holiday season be filled with happiness and joy, followed by a wonderful new year.
Michael Ashford
General Affairs Manager
East West Chemicals, Inc.
(A) and
(B) but
(C) for
(D) of(A) add
(B) add it
(C) add to
(D) add up(A) Having
(B) May
(C) Should
(D) With
解答
- (A) 2. (C) 3. (B)
訳
問1~3は次のEメールに関するものです。
送信者 総務部 ja-info@ew-chemicals.com
受信者 カール・カワモト ck633@finemail.com
件名 時候のごあいさつ
株主の皆さま
つつしんで、皆さまお一人おひとりに心よりごあいさつ申し上げます。①
年末年始休暇の時期が間近に迫ってまいりました。添付いたしました書類は、今年第4四半期の業績を示したものです。この朗報で、皆さまが休暇へ向けてますます意気軒昂となられれば幸いです。②
皆さまの年末年始のご多幸をお祈り申し上げます。③
マイケル・アシュフォード
総務部長
イースト・ウエスト・ケミカルズ社
解説
設問1
熟語の問題。each and every one of ...のかたちで「…の一人ひとり」という意味を表します。このかたちを作る接続詞andを選べば文が成立します。
設問2
動詞addの意味と使い方が問われています。自動詞addに前置詞toを続けたかたちで「…を増す;…を増加させる」という意味を表します。これを用いれば文法・文意の両面で適切な文となります。
設問3
年末年始へ向けてのあいさつ状という文書の性格にかんがみると、空欄を含む締めくくりの文では助動詞mayを用いた「祈願」が表されるのが妥当。[May+主語+動詞]のかたちを採る倒置文は「祈願文」と呼ばれ、「…が~であることを祈る」という意味を表します。なお、may以外の選択肢は、どれもここでは文法的に不適切です。
Part 6の問題数と時間配分

Part 6では、約100語前後の短めの長文1つにつき4つの空所がありこれが4セット計16問出題されます。
TOEICでは、リーディングセクション全体の解答時間が75分と決まっているものの、各パートの時間制限はありません。そのため、全体の時間を意識して、時間切れにならないように、自分で時間配分をすることが非常に重要です。
目安としては、Part 6は1問あたり平均30秒、全16問を合計8分以内で解き終えるのを目指しましょう。時間がかかる問題がある場合は、Part 6全体で10分以内が目安です。
Part 6の解き方のコツ

Part 6の問題を効率よく解くには、次の点が重要です。
- ストーリーを理解する
- 文書全体を読んでから問題を解く
- 設問タイプを見極めて解き方を変える
ここからは、それぞれの点を詳しく説明します。
ストーリーを理解する
長文は全文を読むことが基本ですが、段落ごとに要点をまとめながら読むことを意識しましょう。
長文は「タイトル → 概要 → 詳細 → 補足情報」または「過去 → 現在 → 未来」という展開が一般的です。段落ごとのトピックや文書全体の流れを把握するには、英文中に登場する表現をキーワードとして活用すると効果的です。
例えば、①We would like to extend warmest wishes...(ご挨拶を申し上げます) ②financial results(決算報告)③great news(朗報)といった語句が出てくれば、「挨拶+好調な業績の報告」という内容であると予想できます。
このようにキーワードを拾いながら読むと、英文の全体像をつかみやすくなります。
また、文と文をつなぐ「つなぎ言葉」(and, but, so, for example など)に注目して、論理展開を把握することも重要です。
文書全体を読んでから問題を解く
文書の途中で空所が出てきても通過して、最後まで英文を読み終えてから問題に取り組むのが基本です。読んでいる途中で問題を解こうとすると、空所の前後を何度も読み返したり、後で選択肢を選び直したりしなければならず、かえって時間を浪費してしまいます。
設問タイプを見極めて解き方を変える
Part 6で出題される設問はいくつかのタイプに分けられます。タイプ別の特徴と対策を押さえておきましょう。
独立タイプ
Part 6の設問のうち、およそ半数は「独立タイプ」です。空所のある文だけを見れば解答できる問題で、Part 5と同じ文法・語法(単語の使い方)などが問われます。
代表的な例は「品詞問題」です。選択肢には、単語の始まりは同じで、語尾が異なる名詞・動詞・形容詞・副詞などが並びます。
このタイプの解き方はシンプルで、①文の構造を把握し、②空所に入る適切な品詞の語を選ぶだけです(単語の語尾から品詞を判断できるので、語尾を覚えておいてください)。
その他にも、動詞の形、前置詞・接続詞の使い分け、関係代名詞の用法などがこのタイプですが、Part 5と同じ解き方が使えます。
文脈タイプ
空所のある文だけでは判断が難しく、文脈を理解して解答するタイプの問題もあります。選択肢には同じ品詞のさまざまな意味の語句が並ぶのが特徴です。正解のヒントは空所の近くにない場合も多く、文書内の複数の情報を関連付けて解答する必要があります。したがって、文書全体を読んだ上で解く方が効率的です。
代表的な例としては、動詞の時制、語彙(適切な意味の語を選ぶ)、また文と文をつなぐ接続副詞(e.g. However, Additionally など)の問題などがあります。
文挿入タイプ
これはPart 6特有の設問で、各セットに1問ずつ必ず出題されます。選択肢はすべて1文です。正解になるのは、段落と段落の橋渡しをしたり、具体例や説明を加えたりする文であることが多く、文書の流れを把握するのが、解答のカギになります。各セット4問のうち何問目に出題されるかは毎回異なります。
このタイプは空所付近だけ読んで判断すると間違いやすく、文書全体を読んでから解くのが効率的です。話の筋に合わない選択肢を除外しやすくなります。
正解の根拠を見極めるために、選択肢で注目したいポイントは次の3つです。
(1) 代名詞がある場合:空所の前に代名詞が指す名詞が存在しているか確認します。
(2) 接続副詞がある場合:However, For example, Alsoなどがある場合、空所に挿入後も、文が自然につながるかどうか確認します。
(3) 助動詞がある場合:mustやshouldは義務を表すので、規則や要求が述べられるのにふさわしい内容か、空所前後の情報を確認します。
例題を見てみよう
ここでは例題を通して、各設問がどのタイプに当てはまるかを見分ける練習をしてみましょう。それぞれ正解の根拠が空所の文だけにある「独立タイプ」か、全体の文脈にある「文脈タイプ」かを判断してください。
次の例題2を解いてから解説を見てください。
例題2
Questions 1 through 3 refer to the following advertisement.
City Employment Opportunity
This position involves technical work monitoring and inspecting the City’s improvement projects for streets, water, sewer, parks and other public work projects, and private projects. Acts as ---1.--- and field representative for the City on public/private construction and ---2.--- projects.
MINIMUM QUALIFICATIONS
Completion of high school and some college level course work in construction management or a related field, and experience ---3.--- construction or a related field.
(A) accountant
(B) contractor
(C) inspector
(D) sales clerk(A) develop
(B) developed
(C) developing
(D) development(A) about
(B) for
(C) in
(D) of
解答
- (C) 2. (D) 3. (C)
訳
問1~3は次の広告に関するものです。
市の職員、募集
今回求めているのは技術職に携わる人材です。業務内容は市の整備工事の監督や検査で、道路工事・上下水道工事・公園整備などの公共事業と、民間企業による工事が対象です。市の検査官および現場監督者の立場で、① 公共・民間工事や開発事業に臨みます。
②最低限の資格
高校卒業後に大学レベルの教育課程を修了し、建設管理かその関連分野を専攻して、建設工事関連業務の経験がある人。③
解説
設問1
文脈を読み取ります。問題の広告文の冒頭でThis position involves technical work monitoring and inspecting ...(この職は技術職で、…の管理や検査業務を行う)と述べられています。一方、空欄はacts as...(…の役割を務める)という句に導かれていることから、この求人で採用された人材の業務上の立場を表す語句が問われていると考えられます。inspecting(検査)という業務に携わる立場にふさわしいのはinspector(検査官)です。なお、 accountantは「会計士」、contractorは「請負業者」、sales clerkは「販売員」を表します。
選択肢に「職業名」を表す名詞が並んでおり、空所の文だけでは判断がつきません。前の文を読んで意味をつかむ必要があるため、これは「文脈タイプ」に分類されます。
設問2
語形とその意味・役割を正しく把握できるかが問われています。ここでは直後の名詞projects(事業計画)と結び付いて、文脈に合った名詞句を構成する語を選択します。develop(…を開発する)は動詞なのでここでは該当しません。developedは「発達した」の意味の形容詞、developingは「開発途上の」の意味の形容詞ですが、どちらも意味のうえで合いません。developmentは「開発;開発すること」の意味の名詞で、名詞projectと併置すると development project(開発事業)という複合的な名詞が構成されます。これが文脈に合致します。
選択肢には、初めは同じで、語尾だけが異なるさまざまな品詞の語が並んでいます。空所直後にある単語とセットで用いられ、文脈に合う語を選ぶ必要があります。これはPart5と同じ「独立タイプ」の問題です。
設問3
名詞experience(経験)の語法が問われています。experienceは前置詞inを従え、experience in ...のかたちで「…の(分野での)経験」の意味を表します。
空所の前にあるexperienceとセットで用いる前置詞を選ぶ必要があります。語法の知識が問われる「独立タイプ」の問題です。
このように、それぞれの設問タイプを見極めることが、Part 6攻略の鍵です。
Part 6対策におすすめの教材4選

Part 6対策におすすめの教材を4つ紹介します。
『TOEIC L&Rテスト 英文読解力のスタートライン』
TOEICのPart 5、6、7で出題されそうな英文を1文ずつ丁寧に講義形式で解説する1冊で、正確に読む力を養うことができます。1セット分の模試と詳しい解説付きで、理解を深めながら実力チェックも可能です。
<特におすすめの方>
- リーディング全体を1冊で効率よく学習したい
- 英文を正確に読む力をじっくり育てたい
- 英文構造の理解を深め、文法力を底上げ
- まとまった英文を効率よく読む力をつけたい
『TOEIC L&Rテスト 究極のゼミ Part 5&6』
Part 5&6の問題が設問タイプごとに紹介されており、自分の弱点に絞って学ぶことも可能です。学習は講義(ゼミ)+例題+トレーニング+練習問題という4ステップで構成されていて、知識の定着と解答力アップが図れます。
著者オリジナルの「トレーニング」に取り組むことで、解答のコツが無理なく身に付きます。巻末にはPart 5&6の「ミニ模試」と「弱点問題タイプ診断」もあり、自分の課題を明確にすることが可能です。
講義や解説では、登場人物たちが問題に関する疑問や解き方のコツなどを話し合いますが、対話が面白く、一緒に勉強している気分が味わえます。楽しく学習できる1冊です。
<特におすすめの方>
- Part6を設問タイプ別に詳しく対策したい
- 解説を通して「なぜ間違えたか」を丁寧に理解したい
- Part 5&6のたくさんの練習問題を解きたい
「公式TOEIC Listening & Reading 問題集」シリーズ(IIBC)
実際のTOEICの問題を開発している米国のETSが作成した、公式問題集シリーズです。本番の試験と同じクオリティの問題が、1冊に2回分(全400問)収録されています。問題を本番形式で解くことで、時間配分の練習や実戦感覚を養うことができます。スコア換算表もついており、現在の実力を客観的に確認することも可能です。
模試は次のように3回解くと、学習効果を最大限に高めることができます。
①時間制限ありで解く(本番と同じ)→採点(解説を見ない)
②時間制限無しで解く(真の英語力を測定する)→採点・復習
③時間制限ありで解く(本番と同じ)→採点→総仕上げ
<特におすすめの方>
- 現在の自分のスコアが知りたい
- 本番同様の形式で問題に挑戦したい
- 全セクションの練習問題を解きたい
- 目標スコアまでの距離を把握したい
「Santaアルク」
Santaアルク は語学教材で実績のあるアルクが開発したTOEIC学習アプリです。AIが3億件以上の学習データをもとに、学習者に最適な問題と学習プランを提供します。自分専用のカリキュラムで効率よくスコアアップを狙いましょう。アプリは無料でダウンロードでき、スコア診断もすぐに受けられます。
<特におすすめの方>
- 初めてTOEIC対策を始める方
- 苦手分野が分からない方
- 通勤通学の時間を利用してスマホで手軽に学びたい方
- AIによるスコア診断や弱点分析を活用したい方
まとめ

Part 6は、特に以下の点を意識して対策を行いましょう。
- 文法、読解の両方の要素を含んだパートであることを理解する
- 長文を最初から最後まで読んでから、問題を解くのが基本
- 長文の構成や展開のパターン、キーワードに着目して、情報を整理する
- 設問タイプ別に臨機応変に問題に対応する
自分のレベルや目的に応じて、適切な教材を選ぶことがスコアアップへの近道です。アプリを使えば、移動中や短時間でも手軽に学習できます。今日からできることを少しずつ始めてみましょう!
【Santaアルク】3分でできる英語力診断
AIが弱点・伸びしろ・TOEICスコアを予測
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