
英語講師として活躍するとげまるさんの、英語学習の軌跡をたどる連載第3回。大学時代に、第一目標のTOEIC730点をクリアした後も、とげまるさんは900点の大台突破、そして満点を目指して歩みを止めませんでした。その具体的な学習戦略は、TOEICスコアアップを狙う人全てにとって必読です!
目次
TOEICの大台「900点」を超える“学びの作戦”
皆さん、こんにちは。とげまるです。
前回は「TOEIC満点への道のり」の前編(405点から730点へ)をお届けしました。今回は中編、「900点突破」までの過程をお話しします。
【悪天候でもペースを守る】730点→845点にジャンプアップ
2015年9月、TOEIC公開テストで730点を取り、最初の目標だった700点をクリア。英検準1級一次試験は不合格だったものの、合格点までわずか4点だったので、「次は合格できる」という手応えを感じていました。
ただ・・・この時期、大学のサークルメンバーからの嫌がらせがエスカレートしていたんです。もともと単独行動が好きだった私は一人で昼食をとることも多く、それを「ぼっち飯、おいしそう」とからかわれたり、勉強中にわざと聞こえるように「TOEICなんて意味がない」「英語は話してこそ意味がある。結局は人間性なんだから、“コミュ障”のお前が勉強しても無駄」と言われたりして、心が折れそうになる日々でした。
それでも、ここで屈してしまったら本当に何も残らない。そう自分に言い聞かせ、「絶対に卒業までに英検1級、TOEICスコア900点以上を取ってみせる」と新たな目標を立て、ひたすらコツコツと自分の学習ルーティンに集中し続けました。
その結果、翌2016年1月にTOEIC845点を取得し、3月には英検準1級にも無事合格。一次試験は86/99点という高得点で、二次試験も一発合格できました。
【新装備を導入】模試を「回す」「多解きする」学習にステップアップ
2016年、私は大学4年生となり、就職活動も本格化。「社会人になってからも英語を続けたい」という思いが強く、応募したのは教育系や学習塾、予備校など、英語力を活かせる仕事・企業が中心です。そして、6月には大手学習塾から内定を得ることができました。
就職活動中も、すき間時間を見つけて英語学習を続けていました。TOEICのスコアは、845(2016年1月)→ 805(3月)→ 870(4月)と、変動しながらも着実に伸びていたと言えます。
この時期、もう一段レベルアップするため、公式問題集を毎日解く学習にシフト。900点を目指す“新装備”として、新たに導入したのが韓国の公式問題集2冊です。
上記2冊は、とげまるさんが実際に購入・活用した韓国の
公式問題集。TOEIC開発機関であるETS(本部:アメリカ・
ニュージャージー州)が作成した問題なので実践的。
日本の公式問題集は模試が2セット分しか収録されていませんが、韓国の公式問題集はリーディング編(RC)とリスニング編(LC)に分かれていて、それぞれ5セット(500問)収録されています(10セット入りの本もあります)。
私はこの韓国模試RC/LCに、もともと持っていた日本の公式問題集を加えた、5セット+2セット=合計7セットの模試を、毎日解くようにしていました。これは当時のTOEICer(「トーイッカー」、TOEIC愛好家のこと)の間で流行していた、「模試を回す」「模試の多解き」と呼ばれる学習法です。毎日、本番と同じ量の問題を、本番と同じ制限時間内に集中して解くことで実戦力がつくのです。
ただ、私が900点の壁を突破できたカギは「復習方法」にあったと思います。
【自己点検&トレーニング】復習で弱点克服、845点→900点の大台突破を見据えて
何をすれば900点台に到達できるか。これを考えるためにまず確認したのは、TOEICのスコアレポート(公式認定証)のAbilities Measured(アビリティーズ・メジャード、通称「アビメ」)です。

(2016年6月実施の公開テスト分)
アビメには、リスニングとリーディングそれぞれのセクションにおいて、5つの項目ごとに「自分がどれくらい正解できたか(正答率)」が示されています。
公式の名称ではないのですが、セクションごとに上の項目からL1~L5、R1~R5という呼び名が広く知られています。各項目にどのパートのどんな設問が該当するのかも公表されていませんが、TOEIC講師の方々の研究により、以下のように推測されています。


リーディングの正答率を高めなければいけない
そして、私の2016年6月時点のスコアとアビメは以下の通りでした。(スコアレポートの画像だけだと見づらいかと思いますので、表も一緒に掲載します)



リスニングももちろん向上の余地がありますが、私の場合、常にスコアが低いのはリーディングでした。要するに、優先的に取り組むべき課題はリーディングです。
また、TOEIC中級者に最も多い悩みは「リーディングセクションを最後まで解き終わらないこと」ではないでしょうか。私自身、785点を取るまでは塗り絵(時間切れになり勘でマークシートを塗ること)の経験があります。800点台になってからは一応、全問を考えて解けるようになっていました。
――となると、問題は解答精度です。
アビメを見るとR1、R3、R4の正答率が低く、特に気になるのはR1とR3、つまりPart 7の「情報推測」「文書内の情報の関連付け」。自覚症状としては、「What is suggested/indicated/stated about ~(~について示唆されている・述べられていることは何か)」という形の、「文書内の情報と選択肢を照合して正誤を判断する問題」に弱いというものがありました。英文を読めているつもりで、正確に読めてはいなかったわけです。
1語1語を潰して誤読を防ぐ
そこで、模試の復習時には「頭の中で解釈した内容と実際の内容を突き合わせ、誤読の原因を追及する」ことを繰り返しました。日本の公式問題集ならば和訳と突き合わせる。韓国の公式問題集のときは自分でじっくりと訳して、不明な部分は大学の担当教官に助けていただく、というやり方です。
誤読の原因として多かったのは、単語の意味の取り間違いでした。1語をおろそかにすることで全体の誤読につながることがあるのです。例えば、apparently(どうやら~らしい)を、形容詞apparent(明白な)から類推して「明らかに」ととらえてしまい、読み間違えていたことがありました。
復習を通して、理解が甘かった語を1つずつ潰していくと、だんだん正答率が上がっていきます。また、単語も単語集で学習するより、Part 7の文書内で確認する方が断然定着率が高く、R4の正答率も高まっていきました。
【中間地点到達】900点達成と大学卒業 ― 苦しみが自分を強くした
こうした努力が実を結び、2016年9月のTOEIC公開テストで905点(L455・R450)、11月の校内IPテストでは920点(学部最高点)、2017年1月の公開テストでは930点(L475・R455)を取ることができたのです。

また、英検1級も2016年度第1回で一次試験に合格。第3回で二次試験にも合格し、「大学卒業までに英検1級合格・TOEIC900点突破」という目標を達成することができました。
卒業時にスクールカウンセラーの先生に報告すると、「見違えるように成長したね」。先生がかけてくださったこの言葉が、今も自分の支えになっています。
大学時代、周りはサークル活動や合コン、恋人作りとキャンパスライフを満喫していましたが、私はいじめを受け、友達も恋人もいない孤独な日々を過ごしました。人によっては「負け組」に映るかもしれませんが、私はそうは思いませんし、周りを「勝ち組」だと感じたこともありません。
むしろ、この経験があったからこそ、英語学習に本気で取り組むことができ、今の自分があるのだと思っています。もしあの時、苦しい経験をしていなかったら、今のように英語を通じて多くの方と繋がることもできなかったでしょう。
次回はいよいよ最終回。社会人になってからの、頂上へのアタック ―― 990点への挑戦編をお届けします!
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