基本時制はニュアンスで整理しよう【絶対英文法】

連載「絶対英文法」の1回目は、スピーキングとリスニングに生かせる「時制」の基本をニュアンスの違いと共に紹介します。現在形は日常の習慣などを表すことや、未来形のwillとbe going toの使い分け方などが、しっかりと使い分けるコツが分かります。

基本時制は「状況・場面」「気持ち」を軸に使い分けよう

英文法の知識をスピーキング・リスニング力につなげるには、「状況・場面」「気持ち」を軸に英文法を整理しなければなりません。今回の連載で扱う4つの文法項目は、発信力を鍛える中でもコアとなるものです。特に「時制」は、日本語にとらわれずに、状況・場面を意識した表現選択をすることが重要です。

聞いて答える文法音声クイズに挑戦!

英文一文を聞き、文法上(または表現として)不自然な部分があれば正しましょう。音声は書き取らずに考えましょう。答えは、本記事の末尾にあります。

「現在形 」と「現在進行形」のニュアンスの違い

現在形は今も昔も、そしてこれからも変わらない、「固定的」「永続的」ニュアンスで、現在の日常的な習慣はもちろん、固定的な公共機関の時刻表や、永続的な普遍の真理といった事象まで表現できます。一方、現在進行形be Vingは、「一時的」ニュアンスがコアです。同じ「現在」でも、異なる意識があるのです。次の2文を比較しましょう。

(A)I work in a restaurant.
私はレストランで働いています。

(B)I’m working in a restaurant till I find a new job.
私は新しい仕事が見つかるまで、レストランで働いています。

(A)のworkは現在形で、特に期間を限定せずに、レストラン勤務が今後も続くことを表し、(B)のis workingは現在進行形で、レストラン勤務が一時的なものであることを意味します。till I find a new jobが、期間を限定し、一時的状況を示唆しています。

「will」と「be going to」のニュアンスの違い

willは少し漠然とした未来の予測や、人の意思とは無関係に自然の流れでそうなる事柄を示します。

They will get married some day.
彼らはいつか結婚するだろう。(未来の予測)

We will graduate from college next year.
来年、私たちは大学を卒業します。(自然の流れ)

もう少し状況が確定的になる、つまりすでに決定(決心)している予定・計画はwillではなく、be going toやbe Vingを用いるのが自然です。

They’re going to get married next year.
彼らは来年結婚する予定です。(すでに決定、決心済み)

They’re getting married in June.
彼らは6月に結婚することになっています(ほぼ確定、まさに準備が進行中)

「未来の予定」は一般的に、will < be going to < be Vingの順に、話し手の確定度は高くなるのです。また、be going toは、状況から推測されることについても用いることができます。最初に紹介したクイズがその例です。

意志の「will」と「be going to」の違い

willは、会話における話し手の意思を伝えることができます。be going toも意思を表しますが、以前から決めていた話に用いるという違いがあります。

(A)The train has gone! What will you do?
電車行っちゃったよ!どうする?

(B)What are you going to do for this?
これに対して、あなたはどうするつもりなの?

(A)は「電車に乗り損ねた」後、まさにその場面での相手の意思を確認するwillです。一方、英文(B)は相手が既に決めている意思を確認するbe going toです。

聞いて答える文法音声クイズの答え

【音声】

It’s raining all day tomorrow, so I can get a car wash!
明日は一日、雨になりそうだ。(雨で)車が洗えるぞ!

【答え】

raining → going to rain

【解説】

be Vingは、確実に把握し得ない天候などに用いることはできません。It’s going to rainなら、空を覆う雲などを根拠に「これなら明日は雨になる」と予測していることを示せます。willは、ここでのような状況には用いません。

次回は、過去形のニュアンスについて紹介します。どうぞ、お楽しみに。

Evine(エヴィン)
Evine(エヴィン)

本名、恵比須大輔。神戸在住。株式会社evinet biz代表取締役。Teaching Director。神戸と大阪で社会人向けの 「やりなおし英語JUKU」)と学生向けの 「Evineの英語塾」 を主宰。幅広い世代の学習者を対象に、コア英文法を軸とした実際に使える英語・英会話の指導を行っている。観光専門学校での「英文法&英会話クラス」や「TOEICクラス」、教員向けセミナーなど、多方面で活動実績がある。『Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル』『Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル2』『Mr. Evineの中学英文法+αで話せるドリル』『Mr. Evineのアルファベットから英語の基礎をなんとかするドリル』『Mr. Evineの英文法ブリッジコース[中学修了▶高校基礎]』(以上アルク)や『Mr. Evineの英語塾 コア英文法』(ベレ出版)など、著書多数。趣味は映画鑑賞と旅行。
個人Blog :「エビンズワーズ

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