アルクの大ベストセラー『Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル』でおなじみ、カリスマ英語講師Mr.Evineが、英語が苦手な大人のために、中学英語を楽しくやり直せる学習法をご紹介します。第2回は「動詞(文型と品詞)の誤用例と学習法」についてです。
目次
動詞(文型と品詞)の誤用例と学習法
こんにちは。Evineです。
僕の「やりなおし英語JUKU」に通う社会人の生徒(30~50代)たちが間違えた問題の傾向を見ていたら、英語初級者(中学英語の一般的な基礎内容は理解しているレベル)が勘違いしがちな「動詞の使い方」が見えてきたので、皆さんにクイズ形式でご紹介しますね。
全6問の3択クイズに挑戦!
クイズは全部で6問。生徒の正答率は・・・クイズの後で発表します。まずは、トライしてみましょう!
適切なものを[ ]の中から1つ選び、自然な英文を完成させましょう。
- 「帰国するんだよ。家族に会うのが待ち遠しいよ」
I’m going home. I can’t wait to [look / see / meet] my family.
- 「医者はその患者にその計画を説明しました」
The doctor explained [the patient the plan / the plan to the patient].
- 「彼女は数年間、海外で勤務しました」
She worked [in / for / ×] abroad for a few years.
- 「あなたのEメールアドレスを教えてください」
Please [talk / teach / tell ] me your e-mail address.
- 「僕は名前を覚えるのが非常に苦手なんですよ」
I have [so / great / very] difficulty remembering names.
- 「その問題点を解決するには時間がかかるだろう」
It will take some time to [iron / deal / answer] out the issue.
さて、いかがでしたか?
実はこの問題、僕の「やりなおし英語JUKU」に通う社会人の生徒(英語初級者50名に実施の平均正答率は25%だったんですよ。えっ、そんなに難しい問題だったの?という方、一緒に答え合わせをしていきましょう。
答え合わせで文法ポイントをチェック!
早速、答え合わせをしていきましょう。正解した問題も、読み飛ばさずに解説を読んで、偶然に正解した答えなのか、理解して答えたものなのかを確認していきましょう。
- I’m going home. I can’t wait to [see] my family.
【動詞の語法 正答率36%】
「(人)に会う」はmeetもseeも、両方OKですが、場面に応じた使い分けが重要です。
まずmeetのコアニュアンスは「初めての対面」ですが、seeは「(すでに知っている人との)再会」です。今回の場面は「自分の家族に会う」で、自分の家族は当然、知っている人にまた会うという状況ですからseeが自然です。
ちなみにlookは「会う」ではなく「見る」という意味。また「見る対象」を示すのに、lookは自動詞でlook at ~(~を見る)と前置詞とセットにしなければなりません。
- The doctor explained [the plan to the patient].
【動詞の語法 正答率24%】
explain(~を説明する)は他動詞で、後ろに直接目的語(O)が続きます。他動詞であれば前置詞は不要ですが、sayと同様、「人」の情報を続ける場合は前置詞toが常に必要になるというのがexplainの語法です。explain O to+人「Oを(人)に説明する」のカタチが正解でした。
※「to+人」の部分はexplainの直後に置いてもOKです。explain to+人+O「(人)に~を説明する」
- She worked [×] abroad for a few years.
【副詞 正答率16%】
前置詞は自由に使えるわけではなく「前置詞+名詞」が基本形。この名詞は前置詞の内容を示す「前置詞の目的語」と文法的には解釈されます。この点を踏まえて、今回の問題ですが、abroadの品詞がポイント。abroadは「海外に(で、へ)」という意味の副詞で、副詞の前に前置詞は置けません。
置けない理由ですが、実は副詞はもともと「前置詞+名詞」が1つの副詞に変化したものだからです。例えば今回のabroadであればabroad = in a foreign countryと言い換えることができます。つまりin abroadとしてしまうとin in a foreign countryと前置詞の意味合いが重なり不自然になるということです。
※ a few years(2、3年)
- Please [tell] me your e-mail address.
【他動詞 正答率40%】
第1回目でも書きましたが「発信」系の動詞の使い分けですね。私の教室で、正解した人でも明確にポイントが理解できていない方が多かったですね。
まずtalkは自動詞で、自動詞の不便なところは情報追加(今回であれば「誰に」「何の」話をするのかの情報)の時に前置詞が必要になることです。「(人)と話す、(人)に話しかける」は「talk to+人」になります。
一方、tellは他動詞。他動詞であれば直接、動詞の内容を示す目的語(O)と呼ばれる情報(=名詞)を後ろに置くことができるため、前置詞は不要です。tell O1 O2「O1(人)にO2(事)を話す、教える」ですね。
tellとteachの違いですが、日本語としては「教える」と両者は解釈できますが、同じ教えるでも今回の状況のように単なる情報伝達にはtellを使います。
また、teachは「専門的内容」を教授する場面で使うため今回は大げさで不自然です。
- I have [great] difficulty remembering names.
【形容詞 正答率10%】
品詞がポイント。単純に日本語だけで考えるといずれも「とても、非常に」で解釈ができてしまいますよね。選択肢は他の単語を強調する働きをしますが、今回強調したいのはdifficulty(困難)という名詞です。
名詞につながる修飾語は原則として「形容詞」です。そこで選択肢の品詞を比べるとgreatのみが形容詞で、soとveryはどちらも副詞です。「形容詞+名詞」の関係が正解でした。
※ have difficulty (in) Ving(~するのが困難だ)
- It will take some time to [iron] out the issue.
【句動詞 正答率6%】
動詞を中心にした2語以上のフレーズ(句動詞)の問題でした。実は、iron outには「(問題、障害など)を解決する」という動詞フレーズの使い方があります。
一見、ironはあの「アイロン」や「鉄」の意味の名詞として考えてしまいますが、状況から直前のtoは不定詞で、ここは動詞の原形が続くと判断しなければなりません。ゴタゴタした問題点(服のシワ)をまっすぐキレイに伸ばす(=解決する)イメージで覚えましょう。
deal outはdeal out the cards(それらのカードを配る)のように「~を配る」という意味になり、文意に合わず誤りです。answer outというフレーズはありません。
英語は多義語(おまけに語彙も豊富)で、今回のように「iron=名詞」と固定した学習は表現力が向上しません。1つの単語に対して、複数の品詞を持つことは英語にはよくあることですから、必ず柔軟に対応できるよう辞書などで例文をしっかりチェックするようにしたいですね。
Mr. Evineの「やりなおし」学習ポイント!
意外と中学レベルの簡単な動詞であっても、その後に続く形(品詞)のイメージがない方が多いですね。
例えば、eatやstudyと聞けば、ふわっとeat dinner、study Englishのように動詞とセットになってくるイメージがありますよね。これができていれば、その動詞はactiveな状態でいつでも発信できるということです。
「主語」→「動詞」→「情報」のつながりイメージを意識して、動詞を覚えることができれば日常会話に紐付いた学習になります。
さらに、品詞同士のつながりですね。問題5のように「形容詞+名詞」のセットは基本ですし、最低限の語順として、SV/SVC/SVOくらいは覚えておいて損はしません。こうした型に当てはめた考え方に偏りすぎると、勉強っぽくなりストレスで先に進めなくなることがありますが、適度に日々の学習に取り込むことで、動詞や品詞の使い方も整理できますし、問題6のように、1つの単語で複数の表現を作ることができるようになります。
文法的なことを意識するのは日常英会話から遠ざかるような気もしますが、適切なコミュニケーションの取り方のテンプレートに利用できるためこの連載で扱う基本ルールくらいは意識的に学習しておいても損はありません。
では次回もよろしくお願いします。
See you next time!
トップ写真:Siora Photography from Unsplash
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