「月とスッポン」は、二つのものや事柄が非常に異なることを意味する日本語の表現です。この独特な日本語のフレーズを英語でどのように表現するのか、また、類似の英語表現について、この記事で詳しく見ていきましょう。
目次
そもそも、なんで「月」と「スッポン」なの?
「月とスッポン」という表現は、日本の古典的な言い回しの一つです。この表現は、二つのものの性質や存在感が異なること、またはそれらを比較することが、不適切であることを示す際に使用されます。では、なぜ月とスッポンなのでしょうか?
月と、スッポンの甲羅は共に丸い形状をしています。しかし、月は遥か遠くの宇宙に存在する輝く天体であり、スッポンは水辺に生息する、ゆっくりした動きの動物。二つの差異は明らかです。そのため「月とスッポン」という表現は、二つのものがいかに異なるか、また、いかに比較が不適切であるかを象徴的に示す際に使われます。
「月とすっぽん」は英語で?
お約束ですが、まず「月とすっぽん」を英語に直訳してみます。
the moon and a soft-shelled turtle
しかし、これでは英語ネイティブに間違いなく伝わりません。英語で「月とスッポン」と同様のニュアンスを伝えるには、apples and orangesやchalk and cheeseなどのフレーズを使いましょう。
apples and oranges
apples and orangesという表現は、主にアメリカで使われるフレーズで、二つの異なる種類のものを比較する無意味さを示すために使われます。トップの画像にリンゴとオレンジの写真を使っていたのは、実はこのフレーズが理由でした。
Comparing the two teams is like comparing apples and oranges.
二つのチームを比較するのは、月とすっぽんを比較するようなものだ。
chalk and cheese
chalk and cheeseは、主にイギリス英語で使用される表現です。apples and orangesと同様、二つのものが非常に異なることを示すためのものです。
Though they are twins, their personalities are like chalk and cheese.
彼らは双子だけど、性格は月とすっぽんだ。
「月とスッポン」に近いその他の表現
英語には、「月とスッポン」に類似した意味やニュアンスを持つ多くの表現が存在します。以下にその中からいくつかを紹介します。
night and day
「全く異なる」という意味で用いられることが多い表現です。
The difference between the old system and the new one is like night and day.
古いシステムと新しいシステムの違いは、まるで夜と昼のようだ。
oil and water
二つのものがまったく混じり合わないことを示す表現です。日本語にも「水と油」という言葉がありますね。
Their opinions are like oil and water. They just don’t mix.
彼らの意見は水と油だ。全く混ざり合わない。
cats and dogs
犬と猫が伝統的に相性が悪いとされていることから、「異なるもの」「仲が悪いもの」というニュアンスで使われます。日本語の「犬猿の仲」と似ています。
Ever since they were kids, John and Peter have always fought like cats and dogs.
子どもの頃からずっと、ジョンとピーターは犬猿の仲だった。
慣用句以外で「月とスッポン」と言うには?
ここまで、性質が異なる二つの物が並ぶ慣用句を紹介しましたが、最後に慣用句を使わずに「月とスッポン」のニュアンスを伝える方法を考えます。
vastly different
「月とスッポン」は「大きく異なる」という意味で使われます。それをそのまま英語にすると、vastly differentとなります。
The two projects are vastly different in terms of their scope and objectives.
二つのプロジェクトは規模と目的において大きく異なる。
poles apart
poleは地球の「極」のこと。端から端まで「極端に異なる」「かけ離れている」という意味で使われます。
Their opinions on the issue are poles apart.
その問題に対する彼らの意見は極端に異なる。
worlds apart
worldを複数形で扱うことで、「それぞれが異なる世界に分かれている」という比喩(ひゆ)的な意味を強調します。
In terms of their personalities, the two siblings are worlds apart.
その2人のきょうだいは、性格面で全く異なる。
まとめ
「月とすっぽん」は、日本独自の比喩的表現で、英語には直接的な翻訳は存在しません。しかし、英語には「月とすっぽん」と同じような意味を持つ様々な表現があります。異文化間でのコミュニケーションでは、言葉だけでなく、背景にある文化や考え方を理解することが非常に重要です。
日本語の「月とスッポン」は、英語になるとリンゴとオレンジ、そしてチョークとチーズになる・・・。言葉って面白いですね。それぞれの言葉を最初に思い付いた人に、それらを思い付いたときの心境を聞いてみたいものです。
本文画像:Sadman Sakib from Unsplash 本文画像:Gilbert BERGERAUD, Rodion Kutsaiev from Unsplash
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