「セミ」って英語でなんて言う?

夏も本番ですね。そんな夏の訪れとともにやってくるのは、セミたちの合唱です。暑い夏の日を賑やかす特徴的でリズミカルな「ミンミンミン」という鳴き声は日本人にとってはおなじみですが、「セミ」は英語でなんて言うのでしょうか?英語で昆虫採集の旅に出かけましょう!

「セミ」を英語で言うと?

セミは、日本の夏の風物詩としてよく知られています。その特徴的な鳴き声は、人々に夏の到来を感じさせてくれますね。セミの鳴き声といえば、日本人にとっては「ミンミンミン」や「ツクツクホーシ」として広く親しまれていますが、世界には様々な種類がいるので鳴き声もいろいろです。そもそもセミは英語で、

cicada

と言いますが、この名前は古代ギリシャ語に由来すると言われており、そもそもはセミの鳴き声を表現した擬音語で、「シャカシャカ鳴く声」を表現していると言われています。日本語の「ミンミンミン」とは全然違いますね。

現代の英語では「ミンミンミン」、「ジージージー」のようなセミの鳴き声をあらわす擬音語は使われていないので、英語では次のような一般的な表現を用いることが多いようです。

Cicadas are buzzing.
Cicadas are singing.
セミが鳴いている。

「ジージー」と言う音をbuzz buzzと表現することもあるみたいです。また、アメリカではlocustを使って「セミ」を表現することもあります。ちなみに、「イナゴ」や「バッタ」も同じlocustです。

「セミの抜け殻」を英語で言うと?

「セミの抜け殻」は、cicada’s shellと言います。

Every summer, kids eagerly hunt for cicada’s shells.
毎夏、子供たちは熱心にセミの抜け殻を探し求めます。

「セミ」が出てくるフレーズ紹介

「セミ」が登場する英文を幾つか紹介します。

I could hear the loud chorus of cicadas as I walked through the forest.
森を歩いていると、セミたちの大きな合唱が聞こえてきました。

Cicadas spend several years as nymphs underground before becoming adults.
セミは成虫になる前に、数年間を地中で幼虫として過ごします。

On a hot summer afternoon, cicadas are buzzing all around, filling the air with their vibrant calls.
暑い夏の午後に、セミたちが周りで鳴いており、彼らの活気ある鳴き声で空気が満たされています。

The children were fascinated by the cicada’s shell they found clinging to the tree trunk during their nature hike.
子どもたちは、自然の中をハイキングしているときに見つけた、木の幹に付いているセミの抜け殻に夢中になっていた。

As I sat in the park, I could hear the rhythmic chirping of cicadas, a soothing soundtrack to the summer afternoon.
公園で座っていると、セミのリズミカルな鳴き声が聞こえ、夏の午後の心地よいサウンドトラックとなりました。

セミがでてくる芭蕉のあの一句、英語でどう訳す?

ところで、「ミンミンミン」「ツクツクホーシ」「ジージージー」「カナカナカナ」など、日本語にはセミの鳴き声をあらわす音楽的な擬音語がたくさん使われています。日本人はどうやら、セミの鳴き声を昔から特別に趣のあるものとして感じてきたようですね。そのことは、例えば次の松尾芭蕉の有名な一句からも分かります。

閑(しずけ)さや岩にしみ入る蝉(せみ)の声

『奥の細道』に収録されたこの句では、セミの鳴き声が自然の中へと溶け込んで背景となり、普段は意識されない静寂そのものが鮮やかに前景化されてくる美しいコントラストが描かれています。このような作品と向き合ってみても、セミの鳴き声にはやはり日本文化特有の情緒が感じられるのではないでしょうか。

ところで、この有名な芭蕉の一句は英語では次のように訳されています。

How still it is here
Stinging into the stones,
The locusts’ trill.

松尾 芭蕉『英文収録 おくのほそ』ドナルド・キーン訳、講談社。

まず、「閑さ」の訳語としてstillが使われているところが面白いですね。日本語で「閑さ」といった場合、「邪魔な物がなく、落ち着いていること」を意味しますが、つまり、ここでは煩わしさがない自然な心のしずかさや落ち着きといったニュアンスがあることが分かります。

そのため、静粛で慎んでおり、やや重たい感じがするsilenceや、無口であったりひっそりとした感じがするquietではなく、stillというフラットな静けさを感じさせる訳語が選ばれているのだと思います。

また英訳版としての面白さで言えば、やはりtrillという語に注目すべきではないでしょうか?trillというのは、「さえずるような小刻みな振動を伴う声で歌う」という意味なので、「ミンミンミン」「シャカシャカシャカシャカ」と繰り返されるセミの声の音楽性をよく表していると思います。

とはいえtrillといえば、オーケストラの楽器などで良く使われる、ある音と二度上の音を交互に繰り返す奏法のことも指します。それを思い出すと突然、芭蕉の句がオーケストラ風で西洋的な情景に見えてきます。やはり翻訳を通して読みなおすと新たな発見があり面白いですね。

まとめ

日本語で生活していると、セミは「ミンミンミン」と鳴くことが当たり前な感じがしますが、やはり言語を通して文化の違いを考えてみると面白いですね。今年の夏、セミの鳴き声が聞こえたら、いつもとは違う気分で耳を澄ましてみてください。どんなふうに聞こえるか、試してみるのも面白そうです。

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

英語を学び、英語で学ぶための語学情報ウェブサイト「ENGLISH JOURNAL」が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。 単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

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