YouTuberのイングリッシュおさるが、数ある英単語帳の中から独自の視点でおすすめを紹介する連載。第5回は、ハイレベルな語彙を極めるための『16000語レベル 最強ボキャブラリービルディング』を紹介します。
「ボキャビルって聞いたことがあるけど、結局何がゴールなの?」
「具体的に何をすればいいんだろう」
「ボキャビルを極めればTOEICや英検でも無双できる?」
ボキャビルとはつまり、新聞や洋書をスラスラ読んだり、ビジネスシーンなどの専門的な場面でも遅れをとることなく会話したりできる、本質的な語彙力を身に付けるトレーニングのこと。
今回は、ネイティブレベルの語彙力を身に付けるためにおすすめのボキャビル本を紹介します。留学経験のない僕が、国産バイリンガルにまで成長するのにも、大きな助けとなった1冊です。
ただしこの単語帳は、非常にハイレベルな語彙が収録された劇薬のような内容です。「試験前にとりあえず・・・」と手に取るには難し過ぎるかもしれません。ネイティブレベルの語彙を本気で身に付けたい、覚悟のある人だけ読み進めていってくださいね。
そもそも「ボキャビル」って?
「ボキャビル」は英語の「vocabulary(語彙)」と「building(築く)」を掛け合わせた造語です。
単に訳せば「語彙を増やす」と簡単な話に聞こえますよね。でも、ボキャビルの本質は単なる暗記勝負ではないと、僕は考えています。
ボキャビルは言い換えれば、あなたの英語人生を豊かにするための語彙力強化なんです。
例えば試験前に3日かけて単語帳を1冊丸暗記すれば、瞬発的には確かに語彙力が増えるでしょう。しかし試験が終わると、せっかく覚えた単語は定着することなく記憶から流れてしまいます。
その点、ボキャビルによる語彙の増強は、試験対策だけにとどまりません。豊富な語彙を身につけると、英会話やプレゼン、映画鑑賞など楽しみが広がります。
TOEICや英検だけをゴールに見据えるのでは見えない、新たな世界に出会えるでしょう。
16000語レベル 最強ボキャブラリービルディング
僕は今までに2万5,000単語以上の語彙を築いてきました。お世話になった単語帳をレベルでランキングするとしたら、本書がぶっちぎりの1位です。
1万6,000もの単語が収録されており、超上級レベルのボキャビルができます。具体的なレベルでいうと英検1級からCEFRランクC2までをフォローできる内容です(※CEFR=言語力を測る国際基準。C2はランクの最上級レベル)。
「試験対策で語彙力を増やしたい!」というよりも「ネイティブレベルを目指すために未知語を徹底的になくしたい!」といった学習者向けのハイレベルな単語帳です。
本書で僕が思う唯一のデメリット
「試験勉強の足しになればいいな」と軽い気持ちで本書を手に取るのはおすすめしません。収録単語の多さとそのレベルに圧倒され、確実に心が折れるからです。
- 収録された語彙が多いこと
- ハイレベルな単語が掲載されていること
この2点は本書の決定的なメリットであると同時に、学習者の英語レベルによってはデメリットにも変わってしまうんです。
買ったはいいけど途中ですぐに投げ出す・・・なんて結果で終わっては残念なので、このデメリットをあえて先にお伝えしました。試験対策というくくりを超えて真に英語をマスターしたい勇者のみ、ぜひ本書を活用してくださいね。
本書で学べる語彙の例
テーマ別にボキャビルができる作りとなっています。
● 第1章:英検準1級〜1級・CEFR C2の語彙
● 第2章:哲学や宗教学など文系分野の語彙
● 第3章:日本特有の伝統文化や行事に関する語彙
● 第4章:理系分野の語彙
● 第5章:多義語表現
● 第6章:時事に関する語彙
● 第7章:句動詞・イディオム
例えば日本人なら1度は聞いたことがある「神棚」というワード。英語圏の方に「kamidana」と説明してもいいですが、「household Shinto altar」と覚えておけば、アカデミックな場でも顔が立つでしょう。
また「雑誌に目を通す=thumb a magazine」「贈り物に礼を言う=acknowledge the gift」など、教科書では習わないけれども、いざという時にアウトプットできないとモヤモヤするようなネイティブフレーズも多く掲載されています。
このように「やや専門的でも日本語では当たり前に思い出せる」「でも英語ではどう伝えればいいのか分からない」という、かゆいところに手が届くようなボキャビルができる内容です!
おすすめの使い方
単語帳として端から端までの丸暗記を目指すのではなく、読み物の1つとしてページをめくったほうがいいでしょう。繰り返しになりますが、内容が濃くハイレベルなので、普通の単語帳と同じ気持ちで何周もするのは苦労するからです。
時には問題形式で答えを予想しながら進めていってくださいね。
また、第3章の日本特有の語彙については、巻末に日本語索引が収録されています。第3章のテーマと重なるライティングをする際、辞書として隣に置いてもいいですね。
もう少しレベルを落としたい人には・・・
ここまで読んで『16000語レベル 最強ボキャブラリービルディング』は自分にはまだ早いかも、と不安になった方もいるかと思います。僕も、最初からこの単語帳に挑んだわけではありません。
- データベース3300
- 出る準パス単1級
など、徐々にステップアップするように、目的とその手段を変えていきました。
「ネイティブレベルのボキャビルなんて、自分には関係ない」と諦めるのではなく、あなたが今目指している目標の先にはこんな世界が待っているんだ、と感じ取ってもらえたらうれしいです。
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