頭の中で英語を考える暇もなく、瞬時の反応が求められる英会話。今回は、ちょっとしたお願いごとや時間をもらうときなど、都合を聞いたり伝えたりする「お助け表現」を、コミュニケーション・アナリストの上野陽子さんにご紹介していただきます。
相手の都合を聞く・伝える
何かを依頼したいとき、一方的にこちらの都合を伝えるのではなく、相手の状況を確認する心配りが必要ですよね。今回は、ちょっとしたお願いごとや時間をもらうときに都合を聞いたり、自分の都合を伝えたりする場面で役立つ表現です。
依頼をするときの表現
お願いをするとき、日本語で「ちょっといいですか?」と相手の予定を聞くのにあたるのがDo you have a minute?など。忙しかったり、機嫌が悪いときの依頼は避けた方がいいのは英語でも日本語でも同じですね。
Do you have a minute / some time?
少しお時間はありますか?
※Do you have the time?だと「今、何時か分かりますか?」という意味になるので注意。
I have a favor to ask. / Could you do me a favor?
お願いがあるんですが。
Would you do something for me?
ちょっとやってもらいたいことがあるんですが。
※返事では、It depends.(内容によるけど)、What is it?(なんですか?)
I’m pleading with you.
なんとかしていただけませんか?
※pleadは「熱心に頼む、懇意する」の意。
Could you give me a little more time?
もう少しお時間を頂けますか?
Thank you for your time.
お時間を取っていただき、ありがとうございます。
時間や予定を確認するときの表現
時間や予定の確認は、念には念を入れて。Let me make sure of ~(~の確認をさせてください)は広く使える表現です。
Let me make sure of / confirm the starting time.
開始時間を確認させてください。
Are we still on for today?
今日は予定どおりでしょうか?
※be on for ~で「(予定通り)~を行う、~に参加する」の意。目的語に当たる「~」は上記のように省略されることも多い。
Would you be available anytime on Thursday this week?
今週木曜日でお会いできる時間はありますか?
※available([人が]会うことができる)、(応じられる、手が空いている)の意。
Please set the time and the location.
時間と場所をご指定ください。
Please confirm your attendance.
出欠をお知らせください。
予定を伝えるときの表現
ここでは、英語特有な表現も登場します。「あなたのオフィスに行く」のはI’ll come to your office at ~. のように使います。run - over(時間を超過する)、adjust(~を調整する)など、覚えてしまうと広い場面で使える言葉ですよ。
I’m only free for 30 minutes.
30分しか時間が取れません。
I’ll come to your office at 2:00.
2時に御社にお伺いします。
※「(やりとりをしている)相手の所へ」行くときは、goではなく、come。
My appointment might run 20 minutes over.
約束が20分ほど延びそうです。
※run overは「(予定の時間・予算などが)過ぎる」の意。
I’ll be available next week except for Tuesday and Wednesday.
来週、火曜日・木曜日以外はあいています。
I can adjust my schedule to yours.
あなたの予定に合わせます。
締め切りを設けるときの表現
「いつまでに」とはっきり期限を設けると、いつまでかよく分からずに待つこともなく、言われた方にもおよその作業の目途が立てやすいものです。
The deadline is this Friday.
締め切りは今週の金曜日です。
Could you make it by Tuesday?
火曜日に間に合わせられますか?
※make itは「うまくやり遂げる」の意。
Is it possible to finish it in a week?
1週間で仕上がりますか?
Sorry for the rush.
急がせてしまいすみません。
※rushは「急ぐこと、至急行う必要がある状態」の意。
Could you please email us at your earliest convenience?
できるだけ早くメールをいただけますか?
※at your earliest convenience は、相手の都合をを考慮しながら、できるだけ早くお願いしますという言い方になります。
時間の変更を頼むときの表現
こちらの都合で変更をお願いするので、申し訳ないという気持ちを伝えた上で、変更をお願いする方がスムーズに受け入れてもらえます。丁寧さを忘れずに。
I’m sorry, but I won’t be able to see you at 3:00 tomorrow.
申し訳ありません、明日の3時の都合が悪くなりました。
I’d like to ask you to (move) / (shift) the appointment from 3 to 4 o’clock.
約束の時間を3時から4時に変更していただきたいのですが。
Could you revise the meeting time?
ミーティングの時間を設定し直してもらえますか?
※reviseは「訂正する、見直す、変える」の意。
Would you tell me a suitable time to meet?
お会いする時間は何時がよろしいでしょうか。
※さらに丁寧に聞く場合は、I wonder if it would be possible for you to change ~?(~の変更が可能かどうかをお伺いしたいのですが)のような聞き方をします。
誘うときの表現
誘い方もいろいろですが、How about+ 動名詞/名詞?(~はいかがですか?)というのはよく使う表現です。How about having dinner tonight?(今夜食事でもどう?)や、How about Italian food?(イタリアンのお店なんてどう?)のように言います。
We’re going for a drink. Would you like to join us?
みんなで飲みに行くんです。ご一緒にいかがですか?
How about having lunch together?
一緒にランチはいかがでしょう?
Can we get together sometime next week?
来週のどこかで会いませんか?
※少しくだけて「会いませんか」というときにget togetherを使います。 友人と気楽にならLet’s get together this weekend.(週末に会おうよ)のように言えます。
When are you available?
いつが空いていますか?
Could you leave Friday open?
金曜日を空けておいてくれますか?
※leave~ openは「~(日にち・時間)を空けておく」の意。
What do you feel like eating?
何を食べたいですか?
まとめ
アポをとったり、変更をしたりするのは、日本語でも厄介です。お互いのすれ違いがないように、最後にもう一度の確認は大切。以前、インド人の同僚が「シンジュク “ハコチー” デ マチアワセ」というので、一緒に行くと、相手が来ない!ハコチ―が何か聞くと“犬”だというので、「You mean ハチ公 at シブヤ?」と聞くと、Yeah, that’s it!(それだ!)と。「ハコチ―ってなんだろう……?」と思った時点で私がすべきだったのは、Let me check to be sure.やLet me make sure, just in case.のように、「念のため確認させて」と繰り返すことでした。みなさんもどうぞ、お忘れなく。
こうして覚えたフレーズを実際に使ってみることで、会話上手にどんどん近付けます。
次回は会話のきっかけをつくる、雑談する表現をご紹介します。There is more to come!
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