過去の習慣を表すwouldとused toの違い。3つのポイントに絞ってやさしく解説【3分で分かる英文法】

TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。第8回は過去の習慣を表すwouldとused toの違いについてです。誤って使うと、妙な英語に聞こえてしまうこともあるといいます。

wouldとused toの違い

こんにちは。トイグルの田邉です。

英語の助動詞にwouldがあります。wouldには複数の意味がありますが、その中心的なものに、「よく~したものだ」と過去の習慣を表す用法があります。また、この意味に近い表現にused toがあります。こちらも「以前はよく~した」と、過去の習慣を表します。

日本語訳にすると違いはないのですが、英語ではニュアンスが少々異なります。これらを誤って使うと、全く通じないというわけではないのですが、妙な英語に聞こえる恐れがあるのです。

そこでこの記事では、英語のwouldとused toについて、3つの点に絞って分かりやすく違いを説明していきます。記事を最後まで読めば、これら2つの表現を正確に使い分けられるようになるでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。

違い1 過去の習慣的行為が今も続いているかどうか

wouldとused toの違いの1つ目に、過去の習慣的行為が今も続いているかどうかがあります。次の例を見てみましょう。

I remember you would listen to jazz.
I remember you used to listen to jazz.
(あなたがかつてジャズを聞いていたことを覚えていますよ)

日本語訳はいずれも同じですが、ニュアンスが異なります。上の例文のようにwouldを用いる場合、その習慣は今でも続いていることを意味します。話し手は、「聞き手が過去にジャズを聞き、そして現在も聞いているであろう」と考えています。

一方、下の例文のようにused toを用いる場合、その習慣は現在、続いていないと解釈されます。話し手は、「聞き手はかつてジャズを聞いていたものの、今は聞いていないだろう」と考えているのです。

違い2 直後の動詞による使い分け

wouldとused toの違いの2つ目は、その後に続く動詞の種類にあります。動作動詞といって、動作を表す動詞の場合、wouldとused toはいずれも使用可能です。次の英文を見てみましょう。

In those days I would get up at six every morning.
In those days I used to get up at six every morning.
(その当時は毎朝6時に起きたものでした)

get up(起きる)は動作を表し、wouldとused toのいずれを使っても、意味に違いはありません。

一方、状態を表す動詞の場合、使用できるのはused toのみです。こちらも例文を見てみましょう。

I used to have an old Toyota.
(私はかつて古いトヨタ車に乗っていました)

haveは「所有する(状態)」を表しますが、この文ではused toのみ使用可能で、wouldの使用は認められません。

違い3 時を表す表現を伴うかどうか

wouldとused toの違いの3つ目は、時の表現を伴うかどうかにあります。一般に、would は特定の時を表す表現を伴って使用できます。次の例を見てみましょう。

I would get up early last year.
(去年は早起きしていたものです)

このwouldを使った例文は、last year (去年)という時の表現が使われています。話し手が早起きしていた習慣は、去年行われていたものだと分かります。

一方、used toに時の表現を使うことはできません。これは、used toが漠然とした過去の習慣を表すためです。先ほどの例文を、used toを使って書いてみましょう。

I used to get up early.
(昔は早起きしたものです)

この例文では、last yearのように、特定の時を表す表現を使用することはできません。used toの「昔は」という漠然とした時の意味と、last yearのような具体的な時の意味が衝突してしまうからです。

まとめ

この記事では、英語のwouldとused toについて、3つの点に絞って違いを解説してきました。3つの使い分けをまとめると、次のようになります。

  • 過去の習慣的行為が今も続いているかどうか
  • 直後の動詞による使い分けをする
  • 時の表現を伴うかどうかで分ける

会話はもちろん、英作文の際も気を付けて使ってみてくださいね。

この記事の詳細は「英語のused toの使い方!wouldとの違い・使い分けも分かりやすく解説」でもご覧いただけます。

「3分で分かる英文法」目次

第1回:canとbe able toの違い
第2回:willとbe going toの違い
第3回:mustとhave toの違い
第4回:May I ~? Can I ~? Shall I ~?の違い
第5回:shouldとhad betterの違い
第6回:Will you ~?とCan you ~?の違い
第7回:mayとmight、canとcouldの違い
第8回:wouldとused toの違い
第9回:might have、should have、would haveの違い
第10回:不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い
第11回:if I amとif I wasとif I wereの違い
第12回:not to doとto not doの違い

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田邉竜彦(たなべ・たつひこ)
田邉竜彦(たなべ・たつひこ)

英語教師。月間40万人に読まれる英語学習メディア『トイグル』を運営。TOEICR対策特化型スクール『トイグル』代表。マンツーマン講座とセミナーで社会人を中心に200名以上の英語学習をサポート。英ストラスクライド大学大学院経営学修士(MBA)、英ウォリック大学大学院英語教授法修士。

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