歌いながらフレーズを定着させよう!洋楽での英語学習における大事なプロセスとは

英語の習得に音楽は 有効 です。 ただし 、学習に使う曲の選び方、利用の仕方を間違うとその効果も半減してしまいます。アルクの通信講座「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんにノウハウを伝授していただきましょう。

「英語学習 by 音楽」の効用と曲の選び方はこちら!

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英語学習を効果的に行う方法

「英語学習 by 音楽」STEP 1~3はこちら!

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STEP 4 歌いながら歌詞を覚える

さあ、いよいよこれからが楽しい部分です。歌いながら英語の表現や発音を定着させる練習です。メロディーについてはディクテーション(STEP 1&2)の段階でかなり慣れ親しんでいるので、歌詞に集中して歌えます。

? オーバーラッピング:歌詞カードを見ながら
歌詞カードを見ながら流れる曲に重ね合わせて一緒に歌う(オーバーラッピング)。自分の歌と歌手の歌がうまく重なり合うまで繰り返し歌う。

? シャドーイング:歌詞カードを見ずに
今度は歌詞カードを見ずに流れる歌のすぐ後について歌う(シャドーイング)。回数を重ねながらオーバーラッピングに近づけていく。

? オーバーラッピング:歌詞カードを見ずに
完全に歌詞カードを見ずにオーバーラッピングで歌う。歌詞の意味を十分に感じ取りながら感情を込めて。

STEP 4 【学習のポイント】

同じ曲を何度も聞いていると、意味もわからず歌えたりします。ここでは「英語学習 by 音楽」ですので、これでは意味がありません。一字一句意味をかみしめながら歌いましょう。こうすることで、STEP 3で調べた語句を覚え、STEP 2で発見した音の変化を実践し、表現と発音の定着につながります。

STEP 5 独唱する

歌の仕上げは独唱です。歌手になったつもりで、ただひたすら楽しみましょう。

? ネットのカラオケで
ネット上にはヒット曲ならたいていカラオケがある。「曲名+カラオケ」で検索してみよう。英語の歌詞やカタカナ読みがふってある歌詞の字幕が出てくるが、字幕に頼らずに歌う。

? 伴奏なしで歌う
どこでも好きなときに歌う。伴奏がなくてもここまでのステップを踏めば問題なく歌える。お風呂で熱唱したり、家事をやりながら歌ったり、あるいは出勤通学の電車の中でつぶやくように歌ってみる(今は皆、マスクをしていてわからない)。

STEP 5【学習のポイント】

一度覚えた表現や発音も、時間の経過とともに記憶は怪しくなります。上記?の「伴奏なしで歌う」は、ある程度時間が経過した頃に繰り返しやってみましょう。薄れた記憶がよみがえります。

STEP 6 歌詞をライティングとスピーキングに応用

最後のステップは、覚えた歌詞の応用です。せっかく歌を通して多くの語句や表現を学んだのですから、それらをライティングやスピーキングに応用しない手はありません。その要領を紹介します。

? 語句、表現を抜き出す
歌詞カードとSTEP 3で作成した和訳を照らし合わせながら、自分が使えそうな語句、表現を抜き出す。

? 「表現ノート」を作る
抜き出した語句や表現は、「表現ノート」のようなもの(私の場合は手帳)に記しておく。ページの表に英語、裏に日本語を書くようにすると、英語を日本語に、日本語を英語にする練習がしやすい。例えば、ページの表にYou’re just too good to be true. / Can’t take myeyes off of you. と書き、同じページの裏に「君は信じられないほどすてきだ」 /「君から目が離せない」と書いておく。そして、隙間時間のあるときに、例えば通勤電車の中で、表の英語を見て日本語訳をし、裏の日本語を見て英語に訳す練習をする。

?自分が使いそうな例文を作る
抜き出した語句や表現を基に、自分が使いそうな例文を作る。例えば、Can’t take my eyes off of youから、テニス好きの私はThe finalwas so exciting that I couldn’t take my eyes off (of) it till theend.(白熱する決勝戦で、私は最後まで目が離せなかった)のような例文を作る。そして「表現ノート」の表に英文を、裏に日本語訳を書く。

STEP 6【学習のポイント】

冒頭に書いたように、「英語を使わない社会」で実用に耐える英語力を身に付けるには、大量の英語に頻繁に触れることが絶対条件です。「表現ノート」は「頻繁に触れる」ための道具となります。また、上記?の「自分が使いそうな例文を作る」は「借り物」の英語を自分の英語にする大事なプロセスです。こうすることで英文を書く力と英語を話す力が養成されます。

後記

大学のときの友人にビートルズ狂がいました。彼はビートルズの曲であればなんでも歌えると豪語し、高校時代の英語の勉強はかなりの部分がビートルズの歌だったとも言っていました。実際、彼の英語は大学1年生にして帰国子女にも劣らぬ立派なものでした。その友人に誘われて2年前、ポール・マッカートニーの来日コンサートに行きました。友人は2時間を超えるライブの間、ずっと歌いっぱなしでした。50年を経た今も、イントロが流れるだけで歌詞が出てくるのだと。

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※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年5月号特集の内容を再構成したものです。

松岡 昇(まつおか のぼる) 青山学院大学院国際政治経済研究科修了。専門は、国際コミュニケーション、社会言語学。現在、獨協大学、東洋大学及び大手企業を中心に講義やセミナーを務める超人気講師。アルクの通信講座「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ。『桂三輝の英語落語』(共著、アルク)など著書多数。

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