学生時代、英語が苦手でずっと避けて通ってきた、会社も英語とは縁遠いところに就職した……なのに、急に仕事で必要になるなんて!という方に向けて、「とりあえず押さえておけば大丈夫」という基本的な文法をご紹介します。今回のテーマは「to 不定詞」です。
苦手な人が苦しむ不定詞の基本
英語が得意な人は不定詞(to+動詞の原形)の使い方をきちんと理解しています。逆に英語が苦手な人ほど不定詞の認識がとても苦手です。昔の私もそうでした。そこで今回は苦手な人のために、不定詞の基礎を説明します。
今回もとりあえず次の英文をご覧ください。
例文A He decided to create a new website.
例文B One of our plans is to create a new website.
例文C He had the skill to create a new website.
例文D We have plans to create a new website.
例文E She studied hard to create a new website.
例文F She was happy to create a new website.
例文G She read some books to create a new website.
もし分からない単語があったら辞書を使っていいので、全ての英文の和訳例を作って下さい。苦手な人ほどうまく作れず悩んでしまうはずです。
実はto不定詞の手前の単語の品詞を見極めるだけで to不定詞がある英文の意味はかなり絞れるのです。
まずは今の実力で例文A~Gの和訳例を作ってみましょう。
同じ部分でも訳例が異なる
どうでしょう、うまく訳せましたか? この例文A~Gには全てに「to create a new website」という共通する部分がありますね。まずはこの部分の訳し方に注目してみましょう。
A:新しいウェブサイトを作る「こと」
B:新しいウェブサイトを作る「こと」
C:新しいウェブサイトを作る「(ための)」
D:新しいウェブサイトを作る「(という)」
E:新しいウェブサイトを作る「ために」
F:新しいウェブサイトを作「って」
G:新しいウェブサイトを作る「ために」
という具合になります。
同じ「to create a new website」なのに、訳例は最後の部分が数種類に分かれてしまいました。これは「to不定詞」の 「to」の部分の訳語がそれぞれ「こと」や「ために」などに変化しているためです。
英語が苦手な人でも、to不定詞が「こと」「ために」といった訳になることは知っているかもしれませんね。しかし文脈ごとに to 不定詞の意味を適切に定めなくてはいけないため、英語が苦手な人はこれが不得意なのです。英語が得意な人にとってはたやすいことなので、得意な人に追いつくために、今回はこれらの基礎を学びましょう。
不定詞の3用法を覚えよう
不定詞が苦手な人は、今から説明する3種類の不定詞の「用法」を覚えなければなりません。
- 名詞(的)用法
- 形容詞(的)用法
- 副詞(的)用法
例文で上げた7つの英文にあるto不定詞の部分は、これらの3つのどれかに当てはまります。もし適切に不定詞の用法を見分けられれば、それだけでto不定詞の適切な訳語を見つけやすくなります。
今からこの用法を1つずつ説明していきましょう。
名詞(的)用法の見つけ方
名詞(的)用法
多くが他動詞かbe動詞の直後
訳語は「こと」しかない(少なくとも直訳は)
例文A He decided to create a new website.
to不定詞の直前の単語を見ましょう。decide(ed)ですね。 decideは自動詞でしょうか、他動詞でしょうか?(自動詞や他動詞の意味がいまいち分からない場合は「自動詞、他動詞の見分け方の基本 」をチェック!)。
decideは「~を決める」という意味の他動詞です。
他動詞の直後にto不定詞が来たら、そのto不定詞は100%名詞(的)用法です。例外は1つとしてありません。
そして名詞(的)用法の場合のtoの意味は「こと」です
ですから
例文A He decided to create a new website.
彼は新しいウェブサイトを作ることに決めた。
になりますね。
例文B One of our plans to create a new website.
to不定詞の直前 の単語を見ましょう。isですね。
be動詞の直後にto不定詞が来たら、そのto不定詞はほとんど名詞(的)用法になります。
そして例文Aでお話しましたが、名詞(的)用法の場合のtoの意味は「こと」です。
なので
例文B One of our plans is to create a new website.
私たちの計画の1つは、新しいウェブサイトを作ることだ。
になります。
形容詞(的)用法の見つけ方
形容詞(的)用法
名詞の直後
訳語は「ための」「ような」「という」「べき」、もしくは「訳語なし」
例文C He had the skill to create a new website.
to不定詞の直前 の単語を見ましょう。skillですね。skillは名詞です。
名詞の直後にto不定詞が来たら、そのto不定詞は75%形容詞(的)用法です。
そして 形容詞(的)用法の場合のtoの意味は「ための」「ような」「という」「べき」、もしくは「訳語なし」です。
toにこれらの訳語をつけて手前の名詞を説明します。この英文の場合ならば、to create a new websiteがskillを説明しているのです。
つまり、the skill to create a new website.は次のどれかになります。
a 新しいウェブサイトを作るための技術
b 新しいウェブサイトを作るような技術
c 新しいウェブサイトを作るという技術
d 新しいウェブサイトを作るべき技術
e 新しいウェブサイトを作る技術
どれがいいと思いますか?しっくり来るのは、次のどちらかになると思います。
例文C He had the skill to create a new website.
a 彼は新しいウェブサイトを作るための技術を持っている。
e 彼は新しいウェブサイトを作る技術を持っている。
例文D We have plans to create a new website.
to不定詞の直前 の単語を見ましょう。plan(s)ですね。planは名詞です。
名詞の直後にto不定詞が来たら、そのto不定詞は75%形容詞(的)用法でしたね。
そして繰り返しになりますが、形容詞(的)用法の場合のtoの意味は「ための」「ような」「という」「べき」、もしくは「訳語なし」です。
ではplans to create a new website.はどういう意味になるでしょうか?
a 新しいウェブサイトを作るための計画
b 新しいウェブサイトを作るような計画
c 新しいウェブサイトを作るという計画
d 新しいウェブサイトを作るべき計画
e 新しいウェブサイトを作る計画
どれがしっくりきますか?しっくり来るのは、次のどちらかになると思います。
例文D We have plans to create a new website.
c 私たちは新しいウェブサイトを作るという計画を持っている。
e 私たちは新しいウェブサイトを作る計画を持っている。
なんとなくコツがつかめてきたのではないでしょうか?
副詞(的)用法の見つけ方
副詞(的)用法
他動詞の後ではない・名詞の後でも「ために」でしっくり来る場合
訳語は「ために」「て」「なんて/とは」「もし~ならば」「(左から)て」「ほど」など
例文E She studied hard to create a new website.
to不定詞の直前 の単語を見ましょう。hardですね。今回のhardは「一生懸命に」という意味の副詞です。他動詞でもなければ、名詞でもない。したがって、まず「副詞(的)用法だ」とわかります。
副詞(的)用法の場合のtoの意味は「ために」「て」「なんて/とは」「もし~ならば」「(左から)て」「ほど」です。
ではto create a new websiteの訳は、次のどれになるでしょうか。
a 新しいウェブサイトを作るために
b 新しいウェブサイトを作って
c 新しいウェブサイトを作るなんて(作るとは)
d もし新しいウェブサイトを作るならば
e して新しいウェブサイトを作った
f 新しいウェブサイトを作るほど
(注意eの訳例は「(左から)て」という訳語を使う高級な訳例です。この訳例だけ他と違って、「て」が最初に来ます)
しっくりくるのは次の2つになると思います。
例文E She studied hard to create a new website.
a 彼女は新しいウェブサイトを作るために一生懸命勉強した。
e 彼女は一生懸命勉強して新しいウェブサイトを作った。
(eの訳例は正しい訳例の1つなのですが、初心者はとりあえず、a の訳例だけを認識しましょう)。
例文F She was happy to create a new website.
to不定詞の直前 の単語を見ましょう。happyですね。形容詞です。他動詞でもなければ、名詞でもない。したがって「副詞(的)用法だ」とわかります。
副詞(的)用法の場合のtoの意味は「ために」「て」「なんて/とは」「もし~ならば」「(左から)て」「ほど」でしたね。
では、to create a new websiteの訳は、次のどれがよいでしょうか。
a 新しいウェブサイトを作るために
b 新しいウェブサイトを作って
c 新しいウェブサイトを作るなんて(作るとは)
d もし新しいウェブサイトを作るならば
e して新しいウェブサイトを作った
f 新しいウェブサイトを作るほど
しっくりくるのはこれだと思います。
例文F She was happy to create a new website.
b 彼女は新しいウェブサイトを作って喜んでいた。
例文G She read some books to create a new website.
to不定詞の直前の単語を見ましょう。booksですね。bookは名詞です。名詞の直後にto不定詞が来たら、そのto不定詞は75%形容詞(的)用法 でしたね。
形容詞(的)用法の場合のtoの意味は「ための」「ような」「という」「べき」、もしくは「訳語なし」なので、もしこれらの中から考えると、
彼女は新しいウェブサイトを作るための本を何冊か読んだ。
が適切となるでしょう。
ところが、名詞の次のto不定詞が形容詞(的)用法になる確率は75%ぐらいなのです。
なので25%は副詞(的)用法の「ために」で考えることができます。すると
彼女は新しいウェブサイトを作るために何冊か本を読んだ。
と「ために」でも訳ができてしまうのです。「ための」「ために」どちらでも正しいと言えなくもない英文は結構多いのです。
こういう場合は副詞(的)用法で取って「ために」とするのが通常です。
したがって訳は次のようになります。
例文G She read some books to create a new website.
彼女は新しいウェブサイトを作るために何冊か本を読んだ。
不定詞を見分けるフローチャート
以上を読んでどのように思われたでしょうか?難しい?それでは上記を簡単にまとめたフローチャートを使って見極めてみましょう。
【 to 不定詞の訳語発見フローチャート(初心者用)】
◆鉄則◆
まずは to 不定詞の手前の単語の品詞を辞書で調べる
↓
(1)名詞の場合→それ以外の場合(2)へ進む
●形容詞(的)用法の75%は「べき」「という」「ための」「(訳さない)」のどれかで訳せる。
例文C He had the skill to create a new website.
→彼は新しいウェブサイトを作る(ための)技術を持っている。
例文D We have plans to create a new website.
→私たちは新しいウェブサイトを作る(という)計画を持っている。
●ただし、25%は「ために」という副詞(的)用法の訳語で上手く行く場合がある。
例文G She read some books to create a new website.
→彼女は新しいウェブサイトを作るために何冊か本を読んだ。
(2)動詞の場合→それ以外の場合(3)へ進む
●他動詞の場合→100%名詞(的)用法「こと」で訳せる。
例文A He decided to create a new website.
→彼は新しいウェブサイトを作ることに決めた。
●be動詞の場合→ほぼ名詞(的)用法「こと」でOK。
例文B One of our plans is to create a new website.
→私たちの計画の1つは、新しいウェブサイトを作ることだ。
(3)名詞でも動詞でもない場合
●副詞(的)用法「ために」「て」「なんて/とは」「もし~ならば」「(左から)て」「ほど」などで訳す。
例文E She studied hard to create a new website.
→彼女は新しいウェブサイトを作るために一生懸命勉強した。
例文F She was happy to create a new website.
→彼女は新しいウェブサイトを作って喜んでいた。
いかがですか? このチャートは初心者用であって完璧ではありません。ですが多くの場合これでうまくいきます。
もし、to不定詞が分からない、訳せないとお困りでしたら、ぜひこのフローチャートをご活用下さい。少し練習するだけでto 不定詞のある英文の訳例で困ることは以後一切なくなると思います。
みなさまの英語力アップに参考になれば幸いです。それでは!
和訳例
例文A He decided to create a new website.
→彼は新しいウェブサイトを作ることに決めた。
例文B One of our plans is to create a new website.
→我々の計画の1つは、新しいウェブサイトを作ることだ。
例文C He had the skill to create a new website.
→彼は新しいウェブサイトを作る(ための)技術を持っている。
例文D We have plans to create a new website.
→我々は新しいウェブサイトを作る(という)計画を持っている。
例文E She studied hard to create a new website.
→彼女は新しいウェブサイトを作るために一生懸命勉強した。
例文F She was happy to create a new website.
→彼女は新しいウェブサイトを作って喜んでいた。
例文G She read some books to create a new website.
→彼女は新しいウェブサイトを作るために何冊か本を読んだ。
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