北米の夏休みの定番!子どもたちが参加する「サマーキャンプ」とは?

アメリカやカナダの映画で、子どもたちが夏休みに家を離れ、湖のほとりの小屋で仲間と過ごす場面を見たことはありませんか。楽しそうな反面、「ずいぶん長く親元を離れるんだな」と驚いた人もいるかもしれません。北米のサマーキャンプは、日本で「キャンプ」と聞いて思い浮かべる家族旅行や数日の野外活動とは、少し違う文化です。どんな子どもたちが、どこで、何をして過ごすのでしょうか。一緒にのぞいてみましょう。

北米でよくあるSummer Campとは?

北米の「サマーキャンプ」は家族で行くキャンプとは違う?

日本語で「キャンプ」と聞くと、家族や友人とテントを張り、バーベキューやたき火を楽しむ旅行を思い浮かべる人が多いでしょう。ところが、北米で子どもについてsummer campと言うと、少し違う光景が浮かびます。学校の夏休み中に参加する、子ども向けのまとまったプログラムを指すことが多いのです。

参加する子どもたちはcamper。決められた日程に沿って、スポーツをしたり、工作に取り組んだり、泳いだり、自然の中で遊んだりします。そばで活動を見守り、生活を支える若いスタッフがcamp counselorです。

  • My daughter is going to summer camp in July.
    娘は7月にサマーキャンプへ行きます。

もちろん、北米にも家族で楽しむキャンプはあります。こちらはfamily campingcamping tripなどと表現します。summer campは「夏に行くキャンプ旅行」ではなく、「夏休み中に子どもが参加するプログラム」と考えると、イメージをつかみやすいでしょう。

日本のキャンプや夏休み行事と何が違う?

日本にも、林間学校や臨海学校、スポーツ合宿、自然体験教室があります。子どもが親元を離れ、仲間と寝食を共にするという点では、よく似ています。ただ、日本の学校行事では、同じ学校の児童・生徒が参加し、数日ほどで帰ってくることが多いのではないでしょうか。

北米のサマーキャンプは、学校とは別の団体が運営し、家庭でたくさんの選択肢から選んで申し込むケースが一般的です。参加者は学校のクラスメートとは限らず、初めて会う子どもたちと、数週間にわたって同じキャビンで暮らすこともあります。

長い夏休みの間、サマーキャンプは子どもの成長を支える場であると同時に、保護者が働いている子供の時間の居場所にもなります。だからこそ、日帰り型や宿泊型、スポーツや芸術に特化したもの、宗教団体が運営するもの、医療的な配慮が必要な子ども向けのものまで、多彩なプログラムが用意されています。

北米のサマーキャンプはいつ始まった?

では、この文化はいつごろ始まったのでしょうか。北米の子ども向けサマーキャンプの歴史は、19世紀後半までさかのぼります。アメリカでは1861年、教師のフレデリック・ガンが生徒たちを連れ、約2週間の野外生活を行いました。これが、組織的なサマーキャンプの先駆けの一つとされています。

その後、都市が大きくなっていく中で、「自然の中で子どもたちに思い切り体を動かしてほしい」「自立心や協調性を育てたい」という考えが広がっていきます。19世紀末から20世紀初頭には、YMCAやYWCA、宗教団体、青少年団体などが各地でキャンプを開き、カナダでも1890年代から宿泊型キャンプが始まりました。現在につながるサマーキャンプ文化は、20世紀前半までには、北米の夏の風景として根付いていったと考えられます。

子どもが学校の長期休暇中に参加するキャンプや集団活動は、北米に限らず、イギリス、フランス、オーストラリアなどにも見られます。ただし、森や湖のそばで数週間生活し、毎年同じキャンプに通い、独自の歌や伝統、仲間意識を育てるというイメージは、特にアメリカやカナダで強く発達したものです。

日帰り型と宿泊型のサマーキャンプがある

サマーキャンプには、大きく分けて二つのタイプがあります。毎日家に帰るday campと、施設に泊まるovernight campです。宿泊型はsleepaway campresident campと呼ばれることもあります。

毎日家に帰る「デイキャンプ」

day campでは、子どもたちは朝、施設へ出掛け、夕方になると家に帰ります。都市部や郊外の公園、学校、スポーツ施設などでも開かれ、まだ一人で泊まるのは不安という年齢の子どもでも参加しやすい形です。

  • He goes to a day camp while his parents are at work.
    彼は両親が仕事をしている間、デイキャンプに通っています。

家を離れて過ごす「オーバーナイトキャンプ」

overnight campでは、子どもたちが数日から数週間、キャンプ施設に泊まります。森や湖の近くにある施設も多く、参加者は年齢などでグループに分かれ、cabinと呼ばれる小屋や宿泊棟で一緒に暮らします。

家族と離れて何日も過ごすのは、初参加の子どもにとって大冒険でしょう。食事や着替え、荷物の管理を自分でこなし、困ったときにはカウンセラーに相談します。楽しいことばかりではなく、寂しくなったり、友達とぶつかったりすることも含めて、キャンプでの経験になります。

こうしたサマーキャンプを舞台にした『ファミリー・ゲーム』(原題:The Parent Trap)という映画があります。生き別れた双子の少女が、偶然同じ宿泊型サマーキャンプに参加し、出会うところから物語が動き出します。キャビンで暮らし、活動に参加し、いたずらを仕掛け合う様子が特別な説明もなく描かれているところにも、サマーキャンプが夏休みの定番の過ごし方としてよく知られていることが表れています。

  • This is her first time at an overnight camp.
    彼女が宿泊型のキャンプに参加するのは今回が初めてです。

サマーキャンプでは何をして過ごす?

では、子どもたちはキャンプで一日中何をしているのでしょうか。昔ながらのサマーキャンプでは、水泳、カヌー、ハイキング、球技、アーチェリー、工作、自然観察など、体を動かす活動がたくさん用意されています。もちろん、内容は施設の場所や対象年齢によって大きく変わります。

  • swimming:水泳
  • canoeing:カヌー
  • hiking:ハイキング
  • archery:アーチェリー
  • arts and crafts:美術・工芸
  • nature activities:自然体験
  • team-building activities:チームワークを育てる活動
  • talent show:参加者が歌や演技などを披露する催し

全員で同じ活動に取り組むこともあれば、その日のプログラムを自分で選ぶこともあります。今ではsummer campという言葉の幅も広がり、森で過ごす昔ながらのキャンプだけでなく、大学や学校の教室で行うSTEM(科学、技術、工学、数学)、アート、語学などの講座にも使われています。

「キャビン」と「カウンセラー」が生活の中心

宿泊型キャンプでは、cabinはただ眠るための小屋ではありません。同じキャビンの子どもたちは、一緒に食堂へ向かい、活動に参加し、掃除や片付けもします。数日もすれば、キャビンの仲間が小さな家族やチームのように感じられてくるかもしれません。

その生活を支えるのがcamp counselorです。カウンセラーは学校の先生というより、活動のリーダーであり、頼れる年上のお兄さん・お姉さんのような存在です。大学生などの若者がカウンセラーを務めることも多く、子どもたちと一緒に過ごしながら、安全を見守り、悩みやホームシックにも寄り添います。

  • Ask your counselor if you need help.
    困ったことがあれば、カウンセラーに相談してください。

日本語で「カウンセラー」と聞くと、心理相談の専門家を思い浮かべるかもしれません。けれども、サマーキャンプのcounselorは、子どもたちを引率し、活動と共同生活を支えるスタッフです。

キャンプファイヤー、歌、掛け声――思い出をつくる「伝統」

サマーキャンプには、各キャンプで毎年繰り返される歌やゲーム、行事、掛け声があります。長く続くキャンプでは、親の世代も子どもの世代も同じ歌を知っている、ということさえあるそうです。そう考えると、単なる夏のイベントというより、一つの小さな文化に近いのかもしれません。

その象徴が、夜のcampfireです。火を囲んで歌ったり、物語を聞いたり、その日の出来事を振り返ったりします。最終日のキャンプファイヤーで、思い出や学んだことを語り合う施設もあります。

  • We sang songs around the campfire.
    私たちはキャンプファイヤーを囲んで歌を歌いました。

サマーキャンプで重視されるのは「上手にできること」だけではない

サマーキャンプで大切にされるのは、スポーツや工作の上達だけではありません。新しい友達をつくること、自分で考えること、集団の中で役割を果たすことも、大きな経験です。家庭や学校とは違う場所で、普段なら出会わない子どもたちと暮らすからこそ、学べることがあります。

特に宿泊型では、困ったときに親がすぐ助けてくれるわけではありません。忘れ物をした、仲間と意見が合わない、活動が思うようにできない。そんなうまくいかない出来事に、カウンセラーの力も借りながら、向き合っていきます。

そのため、サマーキャンプはindependence(自立心)、confidence(自信)、friendship skills(友人関係を築く力)、leadership(リーダーシップ)を育てる場として語られます。親元を離れる数日間が、子どもにとって少し大きくなる時間になるのでしょう。

とはいえ、全ての子どもが同じように楽しめるとは限りません。期間や活動内容、スタッフの体制、本人の性格によって、感じ方はさまざまです。「自立心を育てる理想的な行事」と決めつけず、たくさんある夏休みの過ごし方の一つとして眺めると、北米のサマーキャンプ文化がより自然に見えてきます。

サマーキャンプを知るための英語

北米の映画やドラマ、小説でサマーキャンプが出てきたら、次の言葉に注目してみてください。場面の意味が、ぐっと分かりやすくなります。

  • camper:キャンプの参加者
  • camp counselor:参加者を引率し、生活や活動を支えるスタッフ
  • day camp:日帰り型のサマーキャンプ
  • overnight camp / sleepaway camp:宿泊型のサマーキャンプ
  • cabin / bunk:参加者が寝泊まりする小屋や部屋。または、その生活グループ
  • camp director:キャンプ全体の責任者
  • session:キャンプの開催期間・一つの参加コース
  • homesick:家が恋しい、ホームシックの
  • specialty camp:スポーツや芸術など、特定分野に重点を置くキャンプ

例えば、Which session are you attending?は「どの期間のキャンプに参加するの?」、I was homesick at first.は「最初はホームシックだった」という意味です。ここでのsessionは授業ではなく、1週間、2週間と区切られたキャンプの開催期間を指します。

北米のサマーキャンプは、多様な「夏の学び」の場

北米のサマーキャンプは、森の中で何週間も暮らす宿泊型だけではありません。毎日家に帰るデイキャンプもあれば、スポーツや音楽、科学など、一つの分野に打ち込むプログラムもあります。形は違っても、学校の外で新しい活動や人間関係に飛び込む場であることは共通しています。

そこは単なる野外旅行の場ではなく、子どもたちがしばらくの間、自分たちだけの小さな共同体で暮らす場所です。サマーキャンプの背景を知ると、北米の長い夏休みが、これまでより少しはっきりと見えてくるのではないでしょうか。

ENGLISH JOURNAL 編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

英語を学び、英語で学ぶための語学情報ウェブサイト「ENGLISH JOURNAL」が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

boocoで読める!アルクの新刊、続々登場

語学アプリ「booco」なら、アルクのベストセラー書籍200タイトル以上が、学習し放題!

「キクタン」などアルクの人気書籍800冊以上が音声対応。「読む」に対応した書籍では、本文と音声をスマホで手軽に利用できるほか、一部の書籍では、学習定着をサポートするクイズ機能で日々の復習や力試しも可能です。さらに、Plusプランに加入すれば200冊以上の書籍が学習し放題に!

boocoの「読む」機能では、次のような使い方ができます。

① 学習したいページを見ながら音声を再生できる
② 文字サイズや画面の明るさを調整できる
③ 書籍内検索ができる
※ これらの機能には一部の書籍が対応しています。

▼「booco」の無料ダウンロードはこちらから

2026 07
NEW BOOK
おすすめ新刊
Realize 英文法MASTERY[基礎~必修レベル]
Realize 英文法MASTERY[基礎~必修レベル] 詳しく見る
キクタン【Basic】4000語レベル

キクタン【Basic】4000語レベル

電子書籍で読むならbooco!