「イングリシュ・ドクター」の異名を持つ西澤ロイさんが、英語に関わるさまざまな方にインタビューするYoutube動画<西澤ロイの頑張らない英語>から、今回の記事では輸入ビジネスアドバイザーの大須賀 祐さんを紹介します。
1年の3分の1は海外生活、大須賀 祐さんとは?
今回ご紹介するのは輸入ビジネスアドバイザーの大須賀 祐さんです。20年以上にわたって輸入ビジネスに携わり、現在も年間100日以上を海外で過ごしているという大須賀さんですが、「英語ができなくても輸入ビジネスはできる」と語ります。さて、その真意は?ナビゲーターの上村 潤さんとともにお話を伺いました。
上村 潤(以下、上村): 大須賀さんは輸入ビジネスアドバイザーとして活躍していらっしゃいますが、いつ頃から輸入ビジネスを始められたんですか?
大須賀 祐(以下、大須賀)26歳から始めて、28年間やっていました。元々、貿易商をやっていまして、今はアドバイザーという形で後進育成に携わっています。
西澤ロイ(以下、ロイ): 年間どのくらい海外にいらっしゃるんですか?
大須賀: 大体100~120日くらい行っていると思います。1年って365日じゃないですか。100日が自分の田舎にいる。100日が東京と大阪にいる。100日が海外にいるんですね。で、残り65日は行方不明になっている(笑)。最近はなかなか田舎に戻れなくなっていますが、そういう感じでずっとやってきました。
最低3フレーズでできる輸入ビジネス
ロイ: 「私英語ができないから○○できません」という人は多いですが、実際はやるかどうかの方が大事で、英語のハードルはそんなに高くないんですよね。輸入ビジネスをやるために、英語力はどのくらい必要なんですか?
大須賀:私のポリシーとして、「英語ができなくても輸入ビジネスはできる」というのがあります。私はね、「3フレーズでできる輸入ビジネス」というのを提唱しているんです。
ロイ: 3つ?1つ目は何ですか?
大須賀:1つ目はまず挨拶です。Hi!とかHello.とか。日本人って最初の挨拶ができないじゃないですか。例えば、お店に入るときも無言でサーっと入っていきますが、Hi.とかHello.とか明るく入れば、「お!福の神が来たなぁ」という感じになります。
ロイ: で、2つ目は?
大須賀: 2つ目は、良いものがあったら値段を知りたいですよね。ですから、How much?です。値段は数字ですから大体分かりますよね。分からない場合でも紙に書いてもらえばいいんです。そこまで分かれば、今度は向こうがこっちの情報を求めてきますが、E-mail you later. で対応するのが3つ目です。それ以上の英語は必要ない。
ロイ: 「後でメールします」(笑)。確かに3フレーズで済みますね。
大須賀 祐さんのTOEICスコアは?
ロイ: でも、そんなことを言いながら、大須賀さん実はTOEIC950点です、とか?
大須賀: 私、10年くらい前にTOEICを受けたんですよ、そうしたら525点。中学生並なんですよね。で、1年間訓練をして翌年また受けたんですよ。そうしたら620点でほとんど変わらなかった。だから日常会話の英語はもうやめて、仕事で使う英語だけに集中することにしたんです。
ロイ: よく言われる「海外駐在のためには730点」というのをぶち壊す、すごく良い情報ですね。
大須賀: 日本人は世界中から求められているんですよね。取引したい国ベスト3に日本は必ず入ってきます。
上村:求められてるのに、日本人が出ていかない。
大須賀:求められていることが分からないんです。自信がないというのもあるでしょうね。
日本人は完璧を求め過ぎる?
上村:このコーナーでよく話題に上る、「日本人は完璧を求め過ぎる」という話にも通じるんですかね。
大須賀: そうですね、そんな完璧な人はいませんから。
ロイ: 完璧を求めると、「映画を字幕なしで全部聞き取れるレベル」がゴールになっちゃう。
大須賀: 無理です、あんなの絶対。
上村:そこを崩さなきゃいけないんですね、やっぱり。
ロイ: 目的があって、そのための手段があるべきなので、「輸入ビジネスをするなら輸入ビジネスをするための英語力」という感じでやるのが一番速いですよね。
大須賀:そうですね。自分の得意な分野に絞って、そこだけ狭くやっていけば。そこでできると、他もできそうな気持ちになってくるんですよね。
上村:1つの成功体験が次につながっていくわけですね。
輸入ビジネスの最大の魅力とは
ロイ: 輸入ビジネスの魅力とか、なぜ輸入ビジネスをやるべきなのかお伺いしたいんですけども。
大須賀: 輸入ビジネスの最大の魅力は何かというと、自分が販売する物の価格をあなたが決められるということなんですね。メーカーが物の値段を決める定価制度は日本にしかないってご存じでしたか?
上村:そうなんですか?
大須賀:世界のスタンダードじゃないんですよ。物を作った人間が末端価格を決めたら、販売者はノウハウもいらないし、テクニックも勉強する必要がないし、なんの努力もいらないわけです。これじゃあね、仕事じゃない。10円の物を1万円で売るのか、10万円で売るのか。それがプレゼン能力でありノウハウじゃないですか。これがあるから「人より多く売りたい」「人より成功したい」って頑張れるわけです。みんな同じ仕組みを作ってしまったのでは全く意味がない。ここが日本の残念なところなんですよね。
ロイ: 輸入して、自分で価格を決めることが魅力と。
大須賀: 例えば、10円で輸入したものをうちの生徒は1980円で売っています。ノウハウやスキル、あとは探す目も必要ですが、そういうものが積み重なるから1980円になるわけです。そういう機会を日本のビジネスが奪っているんですよね。
上村:自分の足でいろいろ探し回って見つけてきて「この商品にはこれだけの魅力があるんですよ」と出したときに商品が売れるというのは、すっごくうれしいことですよね。日本だと適正価格というか、それより上だとぼったくりみたいに言われちゃいますけど。
大須賀:これは儒教の考え方なんですよ。日本は江戸時代、国の学問としてずっと朱子学をやっていたので。「お金を儲けるのは汚いことだ」という考えは欧米には全くないです。
輸入ビジネスをする人を育てる理由
ロイ: 大須賀さんはなぜアドバイザーとして、輸入ビジネスをする方を育てていらっしゃるんですか?
大須賀:今、経済圏がどんどん広がっています。EUは既にそうですが、関税フリーになって、世界中が1つのマーケットになっていくと、日本だけでビジネスが完結しなくなってくるんです。みんな輸入や輸出は物販だけの話だと考えていますが、国境がなくなるということは、人間も技術職もそうなるんですよ。例えば、日本のマッサージが1時間5000円だとして、同じサービスを持つ1000円の人間が海外から来てしまう。こういう時代に備えるためには、今から外国人との対人折衝を経験してノウハウを学んでいかないと乗り遅れます。間違いなく、どんなビジネスも続けることが難しくなる。
ロイ: 黒船がやってくる、みたいな感じですね。
大須賀:私のミッションは日本人の国際競争力を上げることなんですが、実はEUは既にそうですが、世界でも1位か2位なんですよ。知的レベルにおいても、貯蓄においても。
ロイ: サービスとか。
大須賀:海外に出ると、日本人はものすごく憧れられます。「日本人になりたい」と言う人までいるくらいですから。そういうことは伝えていきたいですね。
ロイ: もっと日本人が外に出ないとだめですね。
輸入ビジネスは「タイムマシンビジネス」?
ロイ: これから輸入ビジネスをやってみたい、やる気が出てきたという人に、大須賀さんから「まずここから始めなさい」というアドバイスをお願いします。
大須賀:まず、飛行機の切符を予約してください(笑)。海外に行くとね、日本人でよかったなと思いますよ。世界の経済、第3位でしょう。で、市場は1億3千万もいるわけですよ。そういう市場をバックに持っている我々日本人はどれだけ恵まれているかというのを肌で感じます。
上村:自国にいるとなかなか感じませんが、外に出て初めて気付くことはたくさんあるんですね。
大須賀:私は輸入ビジネスは「タイムマシンビジネス」だと言っています。アメリカ、ヨーロッパに行くのは未来に行くこと、アジアに行けば過去に行くことです。
上村:すごい、タイムマシンビジネス。では、最後にリスナーの方々にメッセージを一言頂いてもよろしいですか?
大須賀:「準備できるまで待つな」ということですね。人間、「英語ができないから」「お金がないから」「時間がないから」と言いながら自分の夢を諦めていきますが、例えば英語ができるまで待ったら70年、80年くらいかかっちゃうわけじゃないですか。お金ができるまで待っていたら100年、200年でしょ。ですからとりあえず切符を予約して、準備をしないで出かけましょう。
動画では、大須賀 祐さんとロイさんの対談の様子が見られます。興味のある方はぜひ「西澤ロイの頑張らない英語」をご覧ください。
構成:吉澤瑠美 編集:増尾美恵子
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