日本酒をおいしくていい香りにしてくれる「yeast」と「lactic acid bacteria」って何のこと?【#5秒英語】

日本酒のソムリエである、国際唎酒師(こくさいききさけし)の資格を持つ藤代あゆみさんによる連載最新回!前回は「滑らか」「甘口/辛口」など日本酒の味わいに関する表現を紹介しましたが、日本酒はその香りも魅力の一つです。果物や、時にはヨーグルトの香りがしたり・・・。今回はその秘密に迫ります!

味の日本酒、香りのワイン・・・ってコト?

あなたはワイン推しですか?それとも、日本推しですか?

どちらもとってもおいしいですし、私はアルコール飲料を箱推し(?)してるので、その日の気分や、食べるもので選ぶことがほとんどです。国際唎酒師(日本酒のソムリエ)になって一番よかったことは、日々の晩酌がより豊かになったことですね!

さて、日本酒はよくワインと比べられます。一番大きな違いとしてよく言われるのが、舌で味わうのか、それとも鼻で香りを楽しむのか、というところです。これまでの#5秒英語の連載を振り返ってみると、日本酒の味や舌触り、そして、食べ物とのペアリングを語れるようなフレーズが多かったですよね!

それにはちゃんと理由があって、日本酒はどちらかといえば味を楽しむものだからなんです。一方で、ワインは香りを楽しみます。もちろん、日本酒は味だけ、ワインは香りだけ、という意味ではありません。一言で特徴を表すならば、という意味で、このように比べられます。

◆「辛口」「滑らか」など味や舌触りに関する英語フレーズを学べるのはコチラ
◆「日本酒は魚介類に合う」「和食に合う」などの英語フレーズを学べるのはコチラ

日本酒のおいしさをつくる2つの立役者

そこで、回の#5秒英語フレーズはこちらです。

This sake has an aroma like apple.
〔ディス・サケ・ハズ・アン・アロマ・ライ・アッポゥ〕
この日本酒はりんごのような香りがします。

音声は藤代さんによる読み上げです。①カタカナ発音、②ゆっくりとした速度の英語、③自然な速度の英語、④日本語訳の順で収録されています)

どうやらその日本酒はりんごの香りがするようですね。でも、日本酒ってお米からできていて、りんごは一切使っていません。不思議じゃないですか?!これは、日本酒をつくるときに使っている酵母(yeast)が影響しています。詳しいお話は今回は置いておきますが、製造するときに使う酵母によっては、桃やマスカット、バナナにメロンなど、さまざまなフルーツの香りを感じさせてくれるんですよ。

そして、びっくりなことに、日本酒のはずが、ヨーグルトのような、乳製品のような香りがすることもあります!

This sake has an aroma like yoghurt.
〔ディス・サケ・ハズ・アン・アロマ・ライ・ヨーグゥッ〕
この日本酒はヨーグルトのような香りがします。

日本酒を作るとき、よもやよもや、ヨーグルトはもちろん、牛乳だって使っていません。それでも、ヨーグルトのような香りがする秘密は、乳酸菌(lactic acid bacteria)を使うからです。なんとなく、乳酸菌ってお腹にいいというイメージがありませんか?これは、乳酸菌が悪い菌をやっつけてくれるから。日本酒をつくるときも、安全に、そして、おいしいお酒ができあがるように乳酸菌の力を借りているんです。

あなたの好物はどんな香りがするか言ってみよう!

今回のフレーズのいいところは、冒頭の「This 〇〇」という部分にいろいろな飲み物や食べ物を当てはめて使えるし、likeの後をそれに合わせて表現すれば、かなり使い回しが効くことです。

日本のお酒である焼酎や盛でもこんな風に応用できますよ。

This shochu has an aroma like perilla.
〔ディス・ショーチュー・ハズ・アン・アロマ・ライ・ペリッラ〕
この焼酎は大葉(紫蘇(しそ))のような香りがします。

大葉といえば緑、ということで担当編集Kの自宅にあるちっちゃなグリーンを集めてみました!大葉はKも大好き!

This awamori has an aroma like vanilla.
〔ディス・アワモリ・ハズ・アン・アロマ・ライ・ヴァニラ〕
この泡盛はバニラのような香りがします。

そういえば、ワインって、武道・・・じゃなくて、そのままブドウの香りがするわけではありませんよね。ベリー系だったり、バラのような花だったり、原材料から感じる香りもあれば、つくっていく間に変化して生まれる香りもあるので、ラベルに囚われず、自分の心のままに香りを楽しんでみてください。

あれれ~おかしいぞ~、この「ぶどう(武道)」じゃないのか~(棒読み)

今回の#5秒英語もとても覚えやすいシンプルなフレーズでした。しかし、そのフレーズを使えるということは、ちょっとだけ専門的な知識が関わっているということ。簡単に見える英語でも、知識があるだけで、昨日の自分より確実に英語に強い自分として胸を張って話すことができます!難しい言い回しはおいおい覚えれば大丈夫。今は#5秒英語フレーズでどんどん英語を話してみてくださいね!

「5秒英語」を耳で学ぶ

この記事全編の音声もあります。下記リンクからぜひ聞いて学習に役立ててくださいね。


藤代あゆみ
藤代あゆみ

平成元年、東京生まれ。世界に10人しかいない、国際唎酒師・日本酒学講師・酒匠・焼酎唎酒師。海外勤務の経験を生かし、世界20カ国以上の人に向けて日本酒の素晴らしさを広めつつ、平尾アウリ先生の『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(徳間書店と百合マンガの魅力を伝える筋金入りのオタクとしても活躍中。著書に『推し英語入門』(アルク)、『日本酒オタクのほろ酔い英語』(アルクEJ新書【電子書籍】)がある。
X:@ayumi_and_sake
Instagram:@ayumi_and_sake
note:日本酒オタクのあゆみせんせい


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SNSで推し(応援している存在)の情報収集をしたい、素晴らしさを世界中に広めたい、オタク同士つながりたい、推しに愛を伝えたい・・・そんな人にピッタリなのが、藤代あゆみさんの著書『推し英語入門』です。「推し活」が何倍も楽しくなるシンプル英語のフレーズ集であるのはもちろん、藤代さんの最推し「平尾アウリ先生」、そしてその平尾アウリ先生の傑作漫画『推しが武道館いってくれたら死ぬ』への愛がダダ漏れの1冊。

本書の主人公は、ある日突然、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の沼にはまり、推し活を始めた「ちぷちぷ」。ちぷちぷの心の動きやつぶやきが、ストーリー仕立てで展開します。楽しく共感しながら「推し活に使えるシンプル英語」=「推し英語」を身に付けましょう!

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