「世界のニホンゴ調査団」の第31回は、タイ・バンコク在住で東南アジア各国を取材するライター梅本昌男さんがリポート。今回のテーマは「takoyaki」です。大阪の粉もん料理の代表の一つであるたこ焼き。それがフィリピンでウケているというのです。しかし、現地のtakoyaki、日本のものとは似て非なるようで・・・。
目次
一番ポピュラーな日本食がたこ焼き!
世界各国で日本料理がブーム。しかし、残念ながらフィリピンに関してはいまひとつです。もちろん、首都マニラには多くの日本食があり、それなりに人気なのですが、地方に行くと韓国料理の方が圧倒的に支持されています。理由としては「韓流ドラマ&ポップスの影響」「フィリピンの人は肉が好き」などが挙げられます。
そんな中、日本料理として健闘しているのがtakoyaki。屋台スタイルから簡易食堂スタイル、ショッピングモールの中のフードコート店まで、いろいろな形で売られています。
takoyakiに入っている驚きの具材とは?
そんなtakoyakiですが、実はタコが入っていません!
代わりに入っているのはイカ。フィリピンで水揚げ量が多く安価なため、フィリピン料理によく使われている食材です。イカであれば、まあタコに食感も似ているし分からないでもないのですが、イカ以外にチーズ、ベーコン、ポーク、チキン、さらにカニカマが入るバージョンもあります!具材は何でもありの無法状態!
現地のフィリピン人の友人いわく、「小麦粉で溶いたものに具を入れて丸く焼いたものがtakoyakiなんだよ」とのこと。具材もさることながら、こってりな味付けが好きなフィリピンの人たちなので、takoyakiにかけるソースやマヨネーズの量も半端ではありません。
また、「ギガたこ焼き」というビッグサイズ版や、中華料理のポークフロスをのせたものなど進化版もいろいろ登場。
フィリピンではスペインやアメリカ、日本など各国の統治が長く続き、それぞれの文化を取り入れるのが得意です。アメリカのジープが乗り合いバスの「ジプニー」になったり、日本占領時代のあんみつがデザートの「ハロハロ」になったり。このtakoyakiも、そんなフィリピンならではの進化をしているのです。
takoyaki店経営がブーム!
気軽にスタートできることから、フィリピンではtakoyaki店が増加。インターネットでは、店の開き方や大手チェーンの比較など、いろいろな情報が紹介されています。
Takoyaki, a different Japanese dish, has taken over the dumpling market in Filipino department stores and street food joints today .But these dumplings are more than just delicious to eat, because you can also make money with these! Read on, and you’ll learn how to start a takoyaki business in the Philippines!
たこ焼きという、ちょっと変わった日本の料理が今、フィリピンのデパートや街の飲食店の粉物市場を席巻しています。たこ焼きはおいしいだけでなく、お金もうけにもピッタリ!この記事を読めば、フィリピンでたこ焼きビジネスを始める方法が分かります!
この記事は、たこ焼きの日本での歴史から、材料と作り方、個人でたこ焼き店を開く場合の大事な要素(ロケーションやターゲットとなる顧客層)などを説明しています。
チェーン店もいろいろあり、フランチャイズのスタート料金は20万フィリピンペソ(約53万円)くらいから。調理ノウハウや調理器具、コンサルティング料金などが含まれています。
老舗でフィリピンでのたこ焼き紹介のパイオニア的存在の「TK Takoyaki」は、なんとオンラインでのフランチャイズ相談も行っています。
フィリピンの5大フランチャイズを紹介するウェブページで、TK Takoyakiは次のように紹介されています。
TK Takoyaki
Established in August of 1998 by Ms. Marites Villaflor and her family, they essentially pioneered the takoyaki business with TK Takoyaki.
They also provide Online Franchise Management (OFM) to track business growth such as finance and accounting, monitoring of stocks and analyses, as well as automatic delivery and supply shortage notification.
1998年にマリテス・ヴィラフロールさんとその家族により創業しました。彼女たちのTK Takoyakiはたこ焼きビジネスの先駆者と言えます。
また彼らは各店舗のビジネスの成長を追跡するためのオンラインフランチャイズ管理(OFM)も提供しており、財務と会計、在庫の監視と分析、自動配送や材料の供給不足の通知などがネットで一目で分かるようになっています。
なぜtakoyakiがウケるのか?
フィリピンでtakoyakiが人気なのはどうしてでしょうか?実はフィリピン人は一般的に1日5回食事をします。まず、朝食、昼食、夕食で3回。そして、それらの間、午前と午後にミリエンダ(merienda)と呼ばれるスナックタイムがあるのです。
ちなみに、キリスト教徒が9割以上のフィリピンでは、朝昼と夕食(meals)の際に食前のお祈りは欠かせませんが、ミリエンダのときはお祈りをしません。それは食事ではなくスナックだからです。
先ほど韓流ドラマやKポップがはやっていると書きましたが、一方、フィリピンの人たちは日本製の漫画やアニメが大好き。『超電磁マシーン ボルテスV』が1970年代に驚異の最高視聴率58%を獲得し、2023年には実写版リメイクがテレビで放映された、というニュースをご覧なった方もいると思います。そんな背景から日本や日本食に憧れはあるものの、値段が高い。
「カリンデリア」と呼ばれる簡易食堂なら、1食50~70フィリピンペソ(約130~180円)。ファストフード店でも100フィリピンペソ(約260円)くらいからセットが食べられます。しかし、日本食レストランに行ってすしなどを食べれば1,000フィリピンペソ(約2,600円)はします。ラーメンでさえ、1杯500フィリピンペソ=約1,300円です。
そんな中、takoyakiなら4個で50~60フィリピンペソ(約130~160円)程度から。同じ屋台のスナック類より少し高いくらいの値段ですから、子供や学生でも手が届きます。食事として味わうには高価な日本料理を、ミリエンダとして手軽に食べられるという点がうまくハマったのです。
独自の進化を遂げているtakoyaki。フィリピンに行かれた際は、ぜひ、現地式たこ焼きをお試しください!
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