イギリスでは「世界本の日」が4月ではなく3月なのはなぜ?今イギリスで話題の洋書も紹介【世界のバズワード】

日本で知られる「世界本の日」は4月23日ですが、イギリスでは違う日に設定されています。それはなぜでしょう?また、どんなことをするのでしょう?今話題の本と合わせて、イギリス在住ライターが紹介します。

イギリスのWorld Book Day、なぜ日本より1カ月早い?

イギリスでは3月初めに#WorldBookDayがバズっていた。日本でよく知られる「世界本の日」は4月23日だし、世界的にもWorld Book Dayは4月23日とされているところが多い中で、なぜイギリスではこの時期に#WorldBookDayがバズったのだろうか?

世界本の日の4月23日は、イギリスやアイルランドではイングランドの守護聖人である聖ジョージの記念日に当たる。加えて4月はイースター・ホリデーと重なって学校がお休みの年もあることから、イギリスでは時期をずらして3月第1木曜日にWorld Book Dayをお祝いするのだ。ちなみに今年のイギリスのWorld Book Dayは3月2日だった。

というわけで3月初めに#WorldBookDay2023のハッシュタグがツイートされた回数は3万回以上。#WorldBookDay#worldbookdaycostumeideasといった関連ツイートも多く目についた。

何をする日?

そもそもWorld Book Dayは読書推進を目的に1995年にUNESCO(国際連合教育科学文化機関)で制定されたそうだが、イギリスでは一体何をするのか?

本屋やスーパーではWorld Book Dayに合わせてイベントや割引セールが行われたり、幼稚園や学校ではWorld Book Dayがある週を「リテラシーウィーク(Literacy week)」や「リーディングウィーク(Reading week)」として、本に関係したさまざまなアクティビティーが用意されたりする。アクティビティーの内容は児童文学の作家やイラストレーターをゲスト講師として学校に招いたり、校外学習として地域の図書館に行ったりすることなどがある。とにかく子供たちに本に親しんでもらいたい意図で、本にまつわる活動がいろいろと行われる。

小さい子供たちの楽しみは、幼稚園児や小学生に学校を通じて配られる本のクーポン券(1英ポンド、約163円)。このクーポン券だけで本が買えるように、World Book Dayに合わせて1英ポンドのミニ本が数種類発行されて、クーポン券と引き換えに本が1冊ゲットできる仕組みになっている。

実際に発行されるクーポン券はこんな感じだ。

Hooray! You can get your World Book Day £1/€1.50 book - for free - from today. To get your World Book Day £1/€1.50 book ― for free ― simply swap your book token or scan your digital book token at the checkout of any participating retailer.

(やったー!今日からWorld Book Dayの£1/€1.50の書籍を無料で手に入れることができます。World Book Dayの £1/€1.50の書籍を無料で入手するには、参加している小売店のレジで図書券と交換するか、デジタル図書券をスキャンするだけ)

本気のコスプレで登校!

そしてWorld Book Dayの最大のハイライトは、お気に入りの本のキャラクターに扮装(ふんそう)して登校することだ。この日、子供たちはもちろん、校長を筆頭に先生たちもいろいろなキャラクターに仮装して登校する。

「日本全国の小学生や幼稚園児、先生が一同に、同じ日に仮装して通学、通勤したら」と想像するとイメージが湧くかもしれないが、とにかく華やかで見ていて実に楽しい!個人的には毎年さまざまな工夫がうかがえる先生たちのコスチュームをチェックするのが楽しみで仕方がない。

ツイートを通して先生たちのコスチュームを見てみよう。

What a splendid array of costumes from everyone at Junior King’s for World Book Day! Thank you for bringing your favourite book characters to life!

(なんて華やかなWorld Book Dayのコスチュームの集まり!お気に入りの本のキャラクターに命を吹き込んでくれてありがとう!)

もちろん学校にもよるだろうが、ご覧の通り先生たちのコスチュームに対する本気度や工夫度は半端じゃない。ちなみにこの学校の先生のコスチュームを見て、どのキャラクターに成りきっているか察しが付く人は、かなり児童文学に親しんでいるはず!

「101匹わんちゃん」に仮装したこの学校の先生たちも見てほしい。

World Book Day 2023 has been amazing at Whitehouse. Well done everyone - super costumes.

(2023年のWorld Book Dayも最高だった!みんなよくやったね、素晴らしいコスチューム)

コスプレ登校に対してのイギリス国民の反応

もちろん、World Book Dayのコスチュームにかける工夫や気合いは人によって千差万別。魔女やドラキュラといったキャラクターの制限があるハロウィーンの仮装と違って「毎年選択するキャラクターが違って飽きない!」と喜んで衣装をDIYする人もいれば、「手作りは面倒くさい」「時間がない」といった理由でスーパーやチャリティーショップで市販のコスチュームを買う人もいる。ママ友の間で去年のコスチュームを交換して使い回すことも。

筆者の周りは「一日だけのために衣装を買うのはもったいない」「家にあるものをかき集めてなんとか衣装を作ろう」という人も多くて、彼らは#worldbookdaycostumeideas#worldbookdaycostumediyといったタグで検索し、アイデアを取り入れている。またWorld Book Dayの前日になると必ず朝の番組で「Last-minute World Book Day Costume Ideas」や「Easy World Book Day Costume」といった内容の番組が放送されるので、それを参考にすることも。

以前、World Book Dayに自身も仮装して子供の送り迎えをしている母親を見掛けたことがある。親子でコスプレ登校している姿が非常にほほ笑ましくて、それが強く印象に残っている筆者は下手ながら衣装は手作り派で頑張っているのだが、期間限定でにわかにクリエイティブになるきっかけとしては悪くないと思っている。

一方でコスチュームに関しては金銭的にも精神的にも負担に思う家庭も少なくなく、近年は仮装をする代わりに「(みんなが持っているであろう)パジャマで登校する」といった負担が少ないアプローチをする学校も増えてきている。

前代未聞のインフレが続いている今年のイギリスでは特に、「家にあるものを組み合わせた衣装でよい」と通知を出す学校が多かったし、子供に仮装させる代わりに、「イギリスの主食であり安価なじゃがいもをお気に入りの本のキャラクターに仕上げる」という課題で対応した学校が話題になっていた。

Thea's school has abandoned the kids dressing up as characters for #WorldBookDay2023 (THANK GOD) & instead they have to decorate a potato as their favourite literary hero.

(テアの学校では、World Book Dayに子供たちがキャラクターに仮装するのをやめて[ああ助かった!]、代わりにジャガイモをお気に入りのキャラクターにデコレーションしなければなりません)

誰でも手に入るじゃがいもを使ってクリエイティブになるのは、非常に好感が持てる。が、「そこまでしてWorld Book Dayにコスチュームを絡ませないと駄目なのか」といった疑問も秘かに湧いてしまったりする。

今イギリスで話題の本

何はともあれWorld Book Dayの目的は読書の推進ということで、現在イギリスで人気の洋書を2冊紹介したい。

1冊目は、アメリカのThe New York TimesでもイギリスのSunday timesでもコロナ前からぶっちぎりのベストセラーとして君臨している、コリーン・フーヴァー氏の書籍『It Ends with Us』。日本ではまだあまり知られていないが、イギリスでは「page turner(読み出したら止まらない)」との声が続出、次に読む洋書を探しているならお薦めかもしれない。

そして2冊目は以前の記事でも紹介したが、発売初日から140万部以上を売り上げたことでも話題になったヘンリー王子の『Spare』。

ヘンリー王子の回顧録は、年初めからイギリス国民に与えたインパクトが強くて、今でもBestsellers in Books for 2023のランキングの上位に入り続けている。5月にはチャールズ国王の戴冠式を控えていてロイヤルファミリーの話題が絶えないイギリスでは、この本は今年の話題本としてしばらくベストセラー本に君臨し続けそうだ。

最後に、World Book Dayと絡んで『Spare』がいかに話題になったかが分かるツイートを紹介して終わりにしたい。

How many children in the UK dressed up as King Charles or Prince William for #WorldBookDay2023?Just asking・・・The future generation (and indeed their parents) know what's up.

(World Book Dayでチャールズ皇太子やウィリアム王子の格好をしたイギリスの子供は何人?ただ聞いているだけ・・・将来の世代[実際にはその親]は何が起こっているか分かっています)

子供にヘンリー王子の仮装をさせることが適切かどうかは置いておいて、#WorldBookDayの仮装にまで登場したヘンリー王子の回顧録のインパクトの大きさや、好き嫌いはあってもイギリスでの変わらぬロイヤルファミリーの話題性が見て取れる。

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ボッティング大田朋子
ボッティング大田朋子

イギリス在住ライター。アメリカ、ドイツ、インド、メキシコ、アルゼンチン、スペインに住み2016年よりイギリス在住。執筆書籍に『値段から世界が見える! 日本よりこんなに安い国、高い国』(朝日新書)、『ビックリ!!世界の小学生』(角川つばさ文庫)、『大好きに会いに行こう』(サンクチュアリ出版)等がある。 2017年から文部科学省検定済教科書(小・中学校外国語科)制作に参加中。世界100カ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。ブログ「世界が拠点な生き方・子育てブログ

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