「撃つ」「シュートする」だけじゃない、shootやshotの驚きの使い方【英会話頻出ワード】

連載「使いこなせる!英会話頻出ワード」。今回、言語学者のアンちゃんことアン・クレシーニさんが取り上げるのは、日本語の「撃つ」に相当するshootやshotのさまざまな使い方です。a long shotやa shot in the darkといった慣用句も紹介いただきます。

スポーツ以外でもshootを使う場面はたくさん!

私が面白いと思う和製英語はたくさんあります。例えば、バスケットボールでよく聞く「ナイスシュート」もその1つです。この表現は英語的には不自然なのですが、なぜだか分かりますか?

shootは動詞です。形容詞niceの後には、動詞ではなく名詞が来なければなりません。従って、日本語で話しているときに「ナイスシュート」と言っても大丈夫ですが、英語を話しているときは、Nice shot!とかNice shooting!と言わなければなりません。ところで、ゴルフでは日本語でも「ナイスショット」と言います。面白いですね。

スポーツが好きな人にとって、shootやshotはとてもなじみのある単語です。バスケットボールとゴルフだけではなく、テニス、ホッケー、サッカーなど、たくさんのスポーツで使われています。

しかし、スポーツ以外の場面でも、shootやshotを使う場面はたくさんあることを知っていましたか?山ほどあるんです!今回は、そんなshoot/shotを使った表現について話したいと思います。

さて、始めましょう!

シュートする、シュート:take a shot、shoot、make a shot

最も知られている意味はこれだと思います。例文を見ていきましょう。

He takes about 50 shots a game.
彼は1試合で、約50回シュートをする。

He took a shot from halfcourt and won the game.
彼は、コートの中央からシュートを決め、試合に勝った。

halfcourt:ハーフコート、コートの半分、センターラインの向こう側、コートの中央付近

Don’t be afraid! Just shoot it!
怖がるな!シュートだ!

He made a shot at the buzzer to win the game.
His buzzer beater won the game.
彼のシュートが試合終了のブザー後に入って、試合に勝った。

buzzer beater:ブザービーター ※ 試合終了の直前に放たれて、ブザーの後に決まるシュートのこと。

That was a great shot from the bunker!
(ゴルフで)バンカーからめっちゃナイスショットだったよ!

He is the team’s best shooter.
彼は、チームのベストシューターだ。

shooter:バスケットボールでシュートがうまい人、シュートを打つ数が多い人のこと。

Doan took a shot and scored.
堂安はシュートを決めた。

発砲する、撃つ: shoot

アメリカは銃社会のため、日常会話の中に銃に関する用語が普通に出てきます。アメリカの田舎ではシカ狩りは特に人気があります。シカ狩り文化を知らないと、アメリカの銃社会のことも、なかなか理解できないかもしれません。

アメリカの多くの人にとって、シカ狩りは大事な趣味であり、伝統です。親子で一緒に鹿狩りに行くことでスキンシップが深まり、おいしい肉も手に入ります。

私は、アメリカ南部の田舎に生まれ育ちました。現地では、言葉で説明ができないくらい、シカ狩りは愛されています。子供にシカ狩りのこつを教えることは、父親の楽しみです。私がよく覚えているのは、シカ狩りシーズンの初日に、シカ狩りに行くために3分の1の学生が学校を休んだことです。

このように、シカ狩りはアメリカ南部の伝統かもしれませんが、残念ながら人が銃で撃たれる事件も後を絶たちません。

ここで、「銃」に関する用語を使った文をリストアップしたいと思います。

He took a shot at the deer.
彼はシカを狙って発砲した。

I see a deer! Take a shot at it!
シカが見えたよ!撃って!

I shot the deer with a hunting rifle.
私は猟銃でシカを撃った。

I have never shot a gun in my life.
私は今まで銃を撃ったことがない。

He was shot and killed at the park yesterday.
彼は昨日、公園で射殺された。

There was a shooting at the high school yesterday.
昨日、高校で乱射事件があった。

The shooter was shot and killed by the police.
銃撃犯は警察に射殺された。

大きな賭け、大胆な試み:a long shot

この表現は英語でよく使うので、ぜひ覚えてくださいね。「成功する可能性が低いこと」「多分、無理なこと」のような意味です。

文を見ていきましよう。

I am going to try out for the basketball team, but it’s a long shot.
バスケのチームの入団テストを受けるけれど、多分、無理だ。

I am going to apply for this job, but I think it’s a long shot.
この仕事に応募するけど、採用される可能性はほとんどないと思う。

A: Do you think I can get into Tokyo University?
B: Maybe, but it’s a long shot.
A: 私は東大に合格できると思う?
B: まあ、可能性はなくはないけど、あまり期待しないほうがいい。

He’s a long shot to win the presidency.
彼が大統領選挙に勝つ可能性はほぼない。

It’s a long shot, but I am going to give it a try.
多分無理だけど、やってみようと思う。

やってみる:give it a shot

A: I’d like to try to take the TOEIC test sometime.
B: Why don’t you give it a shot this summer?
A: いつか、TOEICにチャレンジしたいな。
B: 夏に受験してみたら?

I’m not sure if I can do it or not, but I am gonna give it a shot.
できるかどうか分からないけど、やってみるわ。

I didn’t pass, but I gave it my best shot.
受からなかったけど、力の限り頑張った。

give ~ one’s best shot:「~に全力を尽くす」「~を精いっぱい頑張る」という意味。

You gave it your best shot, and that is all I can ask of you.
あなたはベストを尽くしたから、私は満足しているよ。

She gave it her best shot, but she fell short of her personal best.
本当に頑張ったけれど、彼女は自己ベストを更新できなかった。

撮影する、撮影、写真:shoot、shot、take a shot

shootと shotは、写真関連でもよく使われます。 

I took this shot of my granddad last summer.
祖父のこの写真は去年撮った。

That movie was shot on location in Australia.
あの映画はオーストラリアロケで撮影された。

We did a family photo shoot for the first time in five years.
私たちは5年ぶりに家族写真を撮った。

I have a TV shoot tomorrow, so I can’t go to lunch with you.
明日はテレビのロケがあるから、一緒にランチに行けない。

shotといえば、日本語の「ツーショット」や「スリーショット」は、非常に便利な表現だと思います。英語でも、テレビや映画業界などでは、撮影の構図に関してtwo shotやthree shotという専門用語が使われるようですが、通常はそのように言わず、また、場合によって言い方が変わります。

Hey, Mika. Let’s take a picture together!
ねえ、ミカ。ツーショットを撮ろうよ!

That’s a great picture of you and your parents!
ご両親との素敵なスリーショットですね!

ちなみに、photoとpictureはほぼ同じ意味ですが、人の好みや地域によって変わると思います。

私が生まれ育ったアメリカの南部では、photoの方がおしゃれ感があります。普通の会話ではpictureの方がよく使われている気がします。That’s a great photo! より That’s a great picture!の方が一般的です。

どちらも正しいので、好きな方を使ってください!ただ、「ツーショット」や「スリーショット」は英語ではないので、That’s a great two-shot!と言わないように注意しましょう。

当てずっぽう:a shot in the dark

知識や自身もないまま、何かに挑戦したり、勘で当てたりしようとするときに、a shot in the darkと言います。文字通りには「暗闇の中で的を目掛けて撃つこと」という意味で、「当たる自信も可能性も少ないけれど、絶対に外れないわけでもない」というときに使う慣用句です。「自信や知識はないけれど、一応、狙ってみる!」のような感じです。

Well, this is just a shot in the dark, but maybe you left your wallet upstairs.
ええと、多分なんだけど、君、財布を2階に忘れているかも?

A: Why is she so grumpy today?
B: Well, it’s a shot in the dark, but maybe she’s just tired?
A: 彼女は今日、なんでこんなに機嫌が悪いの?
B: まあ、知らないけど、たぶん疲れてるだけじゃない?

Well, this is just a shot in the dark, but I think the answer is No. 2.
そうですね、全く自信はありませんが、答えは2番だと思います。

しまった!:Shoot!

アメリカでよく使う感動詞です。英語には、「しまった!」と言いたいときの下品な言葉が山ほどありますが、もちろん、この記事では下品な単語を紹介しません(笑)。代わりに、同じ気持ちを伝えることには変わりありませんが、下品ではない言葉を紹介します。

例文を見ていきましょう。

Shoot! I didn’t mean to do that!
しまった!間違ってやっちゃった!

Shoot! I forgot all about today’s meeting!
やばい!今日の会議のことをすっかり忘れてた!

A: Mom, aren’t you supposed to pick up Dad at the airport?
B: Shoot! I knew I was forgetting something!
A: お母さん、空港にお父さんを迎えに行くんじゃなかった?
B: うわっ!何か忘れている気がしてたの!

Darn (it)!やDang!も、Shoot!と似た表現です。

Darn it! I can’t believe I forgot the meeting!
もう!会議を忘れたなんて信じられない!

Dang! I forgot to call him.
しまった!彼に電話するのを忘れてた。

話して!聞いているよ!:Shoot!

shootは、「どうぞ、話してください!聞いていますよ!」のように、相手の発話を促す意味でも使われます。

A: Hey, can I bounce an idea off of you?
B: Go ahead, shoot!
A: ねえ、私が考えていることを聞いてもらえる?
B: もちろん、話してみて!

bounce an idea off of ~:「(意見をもらうために)~にアイデアを投げる」という意味。

A: I have this idea for our next project. Can I run it by you?
B: Shoot!
A: 次のプロジェットに使えるアイデアがあるんだ。意見をもらえる?
B: 聞かせて!

run something by ~:~に・・・(アイデアなど)への意見を聞く

墓穴を掘る、自分の首を絞める:shoot oneself in the foot

直訳で「自分の足を撃つ」ですが、「自ら災いを招く」というニュアンスで使われます。

All you had to do was pass that test to graduate high school. You really shot yourself in the foot.
あの試験を合格するだけで高校を卒業できたのに。本当に自分の首を絞めたわね。

Getting drunk the day before your job interview was not a good idea. You really shot yourself in the foot.
就職面接の前日に酔っぱらったのが悪かった。自分で墓穴を掘ったんだよ。

I don’t understand why you would do that. You are just shooting yourself in the foot.
そうする理由が分かりません。自分の首を絞めているだけではないですか。

注射、予防接種:shot(名詞)

「注射」にはinjectionという語も使いますが、shotと比べて医療用語っぽさがあります。日常会話では、shotの方がよく使われる気がします。

I so hate getting shots.
注射が大嫌いだ。

Did you get a flu shot this year?
今年は、インフルエンザの予防接種を受けた?

I got my fourth COVID booster shot last week.
先週、4回目の新型コロナワクチン接種を受けた。

shotのおしゃれな言い方は、jabです。

I got my fourth jab yesterday.
昨日、4回目のワクチンを接種した。

駄目になった、くたくたに疲れた:It’s shot./I’m shot.

物に対してこの表現を使うと、「壊れている」「寿命だ」という意味です。人に対して使うと、「動けないくらい疲れた!」のようなニュアンスになります。

例文を見ていきましょう。

My car died again today. I think the battery is shot.
今日も車のエンジンがかからなかった。バッテリーがもう駄目なんだと思う。

I worked out for three hours at the gym today. I’m totally shot.
今日、ジムで3時間運動した。疲れ過ぎて動けない。

I think my hard drive is shot. I need a new one.
PCのハードドライブが寿命かな。新しいのを買わなきゃ。

このshotと似たような意味でfriedも使えます。

I think my hard drive is fried. I need a new one.
PCのハードドライブが寿命かな。新しいのを買わなきゃ。

I studied for 10 hours today. My brain is totally fried.
今日は10時間も勉強した。脳みそがもう限界だ。

I was totally fried after my finals.
期末試験が終わって、もうヘトヘトだ。

shoot off one’s mouth(ペラペラしゃべる)

この表現にはいろいろな意味がありますが、大抵はネガティブに使われます。知識がないのに自信満々に話す人。大げさに言う人、秘密を漏らす人などに対して使います。

He’s always shooting off his mouth about something.
彼はいつも、なんでも知っているかのようにペラペラしゃべる。

I wanted to keep that a secret! Why’d you have to go and shoot off your mouth?
あれはずっと秘密にしたかったのに!ベラベラ話し回る必要なんてなかったのに。

Just stop shooting off your mouth!
とにかく、黙れ!

無駄話をする、おしゃべりする: shoot the breeze

breezeは「そよ風」という意味で、shoot the breezeは雑談レベルの話をするときに使います。

A: Hey, what are y’all talking about?
B: Nothing really. Just shooting the breeze.
A: ねえ、なんの話をしてるの?
B: 別に大した話じゃないよ。ただおしゃべりしているだけ。

We just sat around and shot the breeze for hours.
私たちは何時間も、ただ無駄話を続けた。

A: What did you do all day?
B: Nothing really. Just sat around and shot the breeze with my brother.
A: 一日、何してたの?
B: 別に。兄とだらだらと話をしていたよ。

まとめ

1語にさまざまな意味があると本当に面白いですね。バスケットボール、銃、カメラ、努力、注射、疲労、おしゃべりなど、全く関係ないように見えますが、実はshootやshotとその類語には、何かを「押し出す」「推し進める」「引き起こす」のような共通点があることに気が付くと思います。

あなたはこの表現を使いこなせますか?

Why don’t you give it a shot?

アン・クレシーニ
アン・クレシーニ

アメリカ生まれ。福岡県宗像市に住み、北九州市立大学で和製英語と外来語について研究している。著書に『アンちゃんの日本が好きすぎてたまらんバイ!』(合同会社リボンシップ)。自身で発見した日本の面白いことを、博多弁と英語でつづるブログ「アンちゃんから見るニッポン」が人気。Facebookページも更新中! 写真:リズ・クレシーニ

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