英語で手に職!専門資格「国際唎酒師」を目指すなら今がチャンス

英語で資格!国際唎酒師を目指すなら「今」がチャンス!

「国際唎(きき)酒師」という資格の注目度が急上昇中!この連載では、好評を博した連載「国際唎酒師をめざそう」に続いて、藤代あゆみさんがより深掘りした情報をお届け。藤代さんは国際唎酒師で、同資格の試験監督も務めています。国際唎酒師を目指すのには「今」がチャンスらしいのですが、なぜなのでしょうか?

ENGLISH JOURNAL ONLINEを読んでいる皆さん、こんにちは!お酒にまつわる英語といえば、そう・・・日本酒オタクのあゆみせんせいこと、大酒飲みの藤代あゆみです(笑)!

とはいえ、ただのオタクな酒飲みではありません。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(Sake Service Institute、以下「SSI」)の国際唎(きき)酒師、そして日本酒学講師という資格を保有しています。

おかげさまで以前の連載「国際唎酒師をめざそう」が大好評!というわけで、その「発展編」として、国際唎酒師の資格についてもっと深掘りしたした内容をお話しする機会を頂きました。

第1回の今回は、なぜ今こそ国際唎酒師の資格を取るべきなのか、資格を取ったあと、一体全体、何ができるのか、有料会員限定記事だから言えちゃう内緒の話も含めながら書いていきたいと思います。最後までぜひぜひお付き合いください〜!

語学力を生かして資格を取ろう!

あなたは、「英語の資格」と聞くとどんなものを思い浮かべますか?英検にTOEIC、TOEFLにIELTS・・・合格や高スコアを目指して、勉強を頑張っている方も多くいらっしゃるでしょう。「ENGLISH JOURNAL ONLINEで連載するくらいだから、あゆみせんせいは英検やTOEICもすごいに違いない!」なんて思っていただけたらうれしいのですが・・・。

ごめんなさい。大学を卒業してからは英語の資格試験は受けておらず、お酒の試験しか受験していません(笑)。なぜか・・・?

それは、英検もTOEICも、私のキャリアには必要なかったから。20代前半から、仕事のためにシンガポールに行き、7年滞在しましたが、現地の人と交流する上でTOEICのTの字も聞かなかったんです。

ちょっと考えてみてください。英語を話せる人が、英語を話せるあなたに「TOEICのスコアはなん点ですか?」なんて話し掛けるでしょうか。英語学習者同士や仕事の面接ならまだしも、日常会話でTOEICについて話すことはないかと思います。ていうか、そんなことわざわざ聞かれたくないですよね(笑)。

私の著書、EJ新書『日本酒オタクのほろ酔い英語』でも書きましたが、言葉はあくまでツールなんです。日本、または日本語というバックグラウンドを持っているあなたなら、英語でのコミュニケーションの際に、日本のことを必ず聞かれるはず。だから、日本のことについて、自信を持って英語で説明できるようになってみませんか?

英語が得意な日本人にぴったりの資格「国際唎酒師」

「国際唎酒師とは?」を説明する前に、まず質問です。そもそも唎酒師ってなんだかわかりますか?目隠しをして、お酒を飲んで、その銘柄を当てられる人!・・・ということではありません。

唎酒師とは、日本酒の知識を持ち、テイスティングができるスキルを持ち合わせた上で、日本酒を飲む方々が最大限にお酒を楽しめるようお手伝いできる人のこと。日本酒の用語って難しいものが多いですが、それをわかりやすく説明することが唎酒師としての重要な役目です。

その「唎酒師」に「国際」が付いた「国際唎酒師」とは、海外に向けて、日本酒について英語(または中国語・韓国語・フランス語・スペイン語)で説明する人のことです。難しい日本酒用語を簡単に説明でき、しかもそれを英語にも訳せる、まさにダブルの通訳!詳しくは、連載「日本酒オタクのおもてなし英語」第5回にも書いていますので、ぜひ読んでみてくださいね。

すでに英語の勉強をしていたり、英語で仕事をしているあなたなら、語学力を生かしながら、日本について学び、「国際唎酒師」の資格を取れるのです。

国際唎酒師を目指すなら「今」がチャンス!

言葉はツールだから、日本のことを英語で説明できるようになった方がいい、というのはわかったけれど、どうして日本酒なの?国際唎酒師なの?そう思いませんか。

以前の連載「国際唎酒師をめざそう」では、「国際唎酒師はこれからもっと需要が高まる(はず)」と、ここだけの話を言いましたが、さらに声を大にして言います!本当に今がチャンスです!

たった半年で国際唎酒師が1000人増!

半年前のデータだと、国際唎酒師は4000人程度でしたが、今はなんと今はなんと5128人(2021年1月31日現在)!半年で約1000人も増えているのです。地下アイドルみたいなマイナーな資格だと思ってたのに(笑)。

SSIは2021年2月で創立30周年を迎えたのですが、日本で国際唎酒師の資格試験を開始したのは比較的最近のことで、2013年から。2020年までの7年間で4000人−−−年間500人強しか国際唎酒師の資格を取得していなかったのに、ここへ来て半年で1000人近く増加。注目度がすごい勢いで上がっていますよね!国際唎酒師を目指す人は、これからさらに増えていくことが予想されます。

日本酒の輸出拡大に向けて動く農林水産省

以前の連載でも、ここだけの話として、なぜ日本酒に政府や自治体からの助成金が付きやすいかを説明しましたが、これは2020年11月に農林水産省より「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」が発表され、日本酒もその品目の一つに選ばれたから!

2019年における日本酒の輸出実績は約234億円でしたが、2025年には2.5倍以上の600億円にしようという、とてもアグレッシブな目標が立てられています。実現のために、「国際的イベントを活用した情報発信や、酒蔵ツーリズムを活用したインバウンド需要の拡大により、認知度向上に取り組む」ことや、「酒造りの文化的価値の発信など、政府と協力して認知度向上に取り組む」ことなど、日本酒の認知度向上に対する方策が発表されています。

もう、おわかりですよね。輸出のために認知度を向上させるということは、海外に向けての発信を強化する必要があり、それは当然、英語やほかの言語で行うことになるのです。

日本酒のユネスコ無形文化遺産登録への期待!

つい先日、第二百四回国会におけて菅内閣総理大臣施政方針演説が行われました。その中で、「日本酒、焼酎などの文化資源について、ユネスコ無形文化遺産への登録を目指します」と発表されています。ユネスコ無形文化遺産といえば、2013年の和食の登録が話題になりましたね。それ以降、和食は世界中で愛される文化になり、今も注目され続けています。

ユネスコ無形文化遺産に登録されたら、日本酒の注目度が一気に上がることは間違いないでしょう!しかも、最短で2024年に登録が実現すると言われており、もう、あと3年しかありません。

だから、今がチャンス!

日本政府が輸出拡大のため、日本酒の認知度向上を目指している、そして、早ければ2024年には、日本酒がユネスコ無形文化遺産として登録されるかもしれない――日本酒について、英語で話せる人の需要が、今、日本国内で上がっていることは、確実なのです。

そして、輸出が拡大し、ユネスコに登録されたら、世界中のもっと多くの人が、日本酒に興味を持ってくださるでしょう。そんなとき、せっかく英語を話せるあなたは、自信を持って説明できますか?

すでに通訳や翻訳のプロとしてお仕事をされている方も多くいらっしゃるかと思いますが、日本酒は、専門分野にもかかわらず、会食や日常会話でよく出てくるワードのひとつ。なのに、なかなか勉強する手段がないものです。

私が、日本通訳翻訳フォーラム2020にてお話しする機会を頂戴したように、プロの通訳者・翻訳者でも、日本酒についてはお困りの方も多いのだと思います。でも、国際唎酒師の資格を持っていれば、安心ですよね!キャリアにつながったり、お仕事も増えたりするかもしれません。

今がチャンスなら、チャレンジしてみよう!と思ってくださったあなた、ありがとうございます!以前の連載でも書いたとおり、国際唎酒師の資格を取得するには、試験の準備期間を最低でも3カ月はみておくのがいいと思います。それに、試験は月に1回程度なので、再試験になった場合は1カ月、また1カ月と、どんどん時間がたってしまいます。。

また、資格を取得したらそれで終わりではなく、国際唎酒師になってから最低でも1年は修行の身みたいなものです・・・。私も、つらかった・・・ので、たくさんお酒を飲みました。

でも、早々に準備を始めて資格を取得し、輸出拡大やユネスコ無形文化遺産への登録の前にある程度のキャリアを積んでおけば、本格的に需要が高まったときに、ほかの人を大きく引き離して差別化を図ることができます。もちろん、知れば知るほど奥深い世界なので、ただ単にお金もうけのための副業としてはおすすめできませんし、ある程度好きじゃないとつらいと思いますが。

新たに勉強を始めたり、資格を取得したりするのに、いつだって遅過ぎることはありません。今、この瞬間に、国際唎酒師に興味があるなら、このチャンスをぜひつかんでください!

国際唎酒師になるには

第一に、日本酒を飲みます(笑)。

というのは、冗談のようで本当にやらなければいけないことなのですが、具体的には、自分で勉強して「認定試験」を受験するか、「通信プログラム」を受講することで国際唎酒師になることができます。

ひとくちに日本酒といっても、実は学ぶ範囲が多岐にわたるので、以下の項目を見ると、ちょっとひるんでしまうかもしれません。

<国際唎酒師になるために勉強する項目>
  • 原料
  • 製造方法
  • 日本酒にまつわる法律
  • 歴史
  • テイスティング
  • サービス方法
  • セールスプロモーション
  • 世界のアルコール飲料と比較した日本酒の立ち位置 etc.

こんなにたくさん勉強するの?!受かるか心配!という人も、大丈夫。私だって受かったんですから(笑)。

いきなり資格取得の勉強をするのは気が引けるという方は、EJ新書『日本酒オタクのほろ酔い英語』をぜひ読んでみてください!2020年4月から8月までの私の連載「日本酒オタクのおもてなし英語」に書き下ろし連載を加えパワーアップした1冊です。

そして、読んでみて、やってみようと思ったあなたは、今後この連載で資格を取得するためのポイントを解説していくので、ご安心くださいね!

試験概要や申し込み方法、受験費用についてはSSIの公式の情報をご覧ください。

intl-kikisakeshi.jp

コロナ禍での国際唎酒師の活動ってどんな感じ?

SSIが国際唎酒師の資格を始めてから1年後の2014年、私はシンガポールで初めて実施された試験で資格取得した第1号の国際唎酒師になり、おかげさまで、運よくたくさんの機会を頂戴してきました。

ところが、昨今は新型コロナウイルスのせいで世界が揺らいでいますよね。これまでだったら、気軽にレストランやバーで唎酒会やペアリングディナーができました。対面でセミナーやワークショップもできました。日本酒を売るために、店頭に立ってお客さま一人一人と向き合いながらするサンプリングも、今は衛生面から推奨されません。いろいろなことが、簡単にはできなくなってしまいました。

ところが!新型コロナウイルスの影響で、リモートでの活動が日本でもやっと盛んになりましたよね!あの、古っ・・・じゃなくて、伝統を重んじる日本酒業界も、オンラインにどんどん切り替わってきているんです!そうすると、オンラインだから前よりも気軽にいろいろなことができてしまうので、私としては、海外がより身近になったような気がしています。

SNSを活用しよう

私は普段、InstagramやTwitterで、日本酒について日本語と英語で発信をしているのですが、そのおかげで日本酒のPRのお話を頂いたり、オンラインのイベントにお声がけいただくこともあります。また、ENGLISH JOURNAL ONLINEでの連載もありますから、なんだか、前より忙しくなってない?!オタクなのに、平尾アウリ先生の漫画『推しが武道館いってくれたら死ぬ』を気兼ねなく、ゆっくり読み返してる暇がなくない?!オタク失格じゃない?!というふうに日々感じています。

少し国際唎酒師の資格とは離れてしまうかもしれませんが、これから取得を目指そうというあなたにアドバイスできるとしたら、資格取得の勉強中からでも、SNSなどで「国際唎酒師を目指している」と発信をすることです!何かを目指して頑張っている人は応援したくなりますし、合格したら一緒に喜んでくれるでしょう。

そして、「資格を取得したなら」とお仕事の話が来るかもしれません。何より、あなたが発信しない限り、あなたが国際唎酒師であることは、誰にも伝わらないのです。

発信することで、仕事だけでなく世界中の人とつながれます。私のInstagramのフォロワーさんには、シンガポールはもちろん、アメリカ、オーストラリア、台湾、香港、スコットランド、イタリア、アルゼンチンなど、本当に世界中の国と地域の方がいらっしゃって、日々刺激を受けています。

日本のことを英語で発信できれば、日本に興味のある外国の方とたくさん交流ができるのです。あなたもぜひ、日本酒をきっかけに世界を広げてみませんか?

最後に

貴重な存在である国際唎酒師の資格をこんなに推してるけど、あゆみせんせいからしたら、ライバルが増えるんじゃないの?なんて優しい考えを持ってくださった方、ありがとうございます。

日本酒は、まだまだこれからの市場なので、私一人の力ではどうにもなりません。ほかにもたくさん素晴らしい唎酒師の方や、日本酒のプロモーションをされる方がいらっしゃいますが、それでも全然足りないんです!

日本酒の未来のことを本当に考えたら、私が仕事をもらって喜んでばかりいるわけにもいかないんです!そして、国際唎酒師がもっと増えれば、私の大好きな漫画『推しが武道館いってくれたら死ぬ』に思いをはせる時間ができるわけです!

ちなみに、国際唎酒師の資格を取ってから、私は自分のことを“sake sommelier”ではなく“certified drinker”(資格を持っている酒豪、お酒を飲む資格を持っている/公認の大酒飲み)と自己紹介しています。1回言ってみたらめちゃくちゃウケたから、試しに次も言ってみたら引き続き大ウケだったから、いつも言っちゃう・・・。資格を取ることで、笑いも取れるなら願ったりかなったりです!

新型コロナウイルスの影響で、今の生活はもとより、将来のキャリアについても不安に思うことがあるかもしれません。でも、明けない夜はないのです。だから、夜に(限らず)楽しく飲んでいるお酒がキャリアにもつながる、国際唎酒師に、ぜひチャレンジしてみてくださいね!

第2回は2021年3月30日(火)に公開予定です。お楽しみに!

藤代あゆみさんの過去連載

ej.alc.co.jp

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藤代あゆみさんの書籍

藤代さんの連載「日本酒オタクのおもてなし英語」がEJ新書(電子新書)になりました!追加原稿も加わりパワーアップした内容になっています。お酒が好き、英語を使った仕事に興味がある、英語を学習中など、すべての方におすすめの一冊です!

藤代あゆみ

藤代あゆみ平成元年、東京生まれ、共立女子大学文芸学部劇芸術コース卒。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)公認国際唎酒師・日本酒学講師・酒匠。日本酒などの輸入・販売・販路開拓支援を行うIPPIN PTE LTDと共に、シンガポール全域にて日本酒を1時間で配達する画期的なサービス「SAKE TO GO」を展開。マレーシア・タイ・ベトナム・インドなどでも日本酒を広める活動を展開している。好きな漫画は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ著、徳間書店)
Official Website:https://www.ayumi-and-sake.tokyo/
Twitter:@ayumi_and_sake
Instagram:@ayumi_and_sake