日に日に緊迫感を増す新型コロナウイルス関連の話題ですが、social distancing(社会的距離)という言葉が注目を集め始めました。どんな距離の取り方のことをいうのか、また適切なsocial distancingとはどんなものなのか、この機に確認してみましょう。
今回のニュースな英語
social distancingこの記事を書いている時点で、世界のさまざまな場所で「外出禁止令」「外出自粛要請」などが出されています。そして、新型コロナウイルス感染症の 拡大 を阻止するために、「social distancing」が合言葉のように使われ始めました。
ということで、今回のニュース表現は「social distancing」(社会的距離を取ること)を取り上げます。
皆さんご存じのとおり、新型コロナウイルスは飛沫(ひまつ)と接触から感染することがわかっています。そのため欧米の政府や保健当局は、「social distancing」を呼び掛けています。日本でも外出自粛などが実行されていますが、これも「social distancing」の一種です。
イギリス政府は公式ウェブサイトで、「社会的距離の取り方」というガイダンスを出しています。このガイダンスによると 「social distanci ng」とは、「人と人 との社会的な交流を減らすこと」 です。
www.gov.uk同サイトでは 具体的に 、「公共交通機関の使用を避ける」「在宅勤務に切り替える」「規模の大小によらず、公共の場所での集まりを避ける」「友達や家族で集まらない」「かかりつけ医などに連絡するときはオンラインサービスを使う」といった 事例 を挙げて、イギリス在住の人たちに社会的距離を取るように呼びかけています。
どんなふうに使われている?
アメリカのトランプ大統領は3月14日、ツイッターでたった一言、「SOCIAL DISTANCING!」と叫びました。それほど重要だと感じたということでしょう。
SOCIAL DISTANCING!とはいえ、英語でも「social distancing」という言葉や概念は馴染みがそこまでないのか、「social distancingとは?」という記事を掲載するメディアも少なくありません。? Donald J. Trump (@realDonaldTrump) March 14, 2020
前述のイギリス政府公式ウェブサイトが挙げたもの以外にも、「買い物はスーパーがすいている時間に行く」「食事をデリバリーしてもらった場合、支払いやチップはオンラインで済ませて食べ物はドアの外に置いてもらう」など、さまざまなメディアがさまざまな 事例 を挙げています。
アメリカの『ニューヨーク・タイムズ(NYタイムズ)』紙では次のような記事を掲載し、「social distancing」について多くの人が疑問に思いそうなことを、Q&A方式で回答しています。
www.nytimes.comWondering about social distancing?記事によると、「social distancing」とは簡単に言うと、「人との間に6フィート(約1.8メートル)以上の距離を取ること」。1918年にスペイン風邪、2009年にインフルエンザがそれぞれ大流行した際にも、社会的距離の確保が効果を発揮し、多くの命を救ったそうです。社会的距離を取るって何だろうって疑問に思っていますか?
また、「誰がsocial distancingをすべきか」という疑問についても、
If you ignore the guidance on social distancing, you will essentially put yourself and everyone else at much higher risk.と警告し、高齢者や基礎疾患( underlying health conditions)がある人のみならず、全員が「social distancing」を実行すべきだとしています。社会的距離のガイダンスを無視すれば、自分自身を含めた全員をずっと高いリスクにさらすことになる。
まとめ
「social distancing」とは、他人との距離を保つことにより、自分や他人をウイルス感染から守る方法です。
人が集まる場所や公共交通機関を避けるなどがありますが、究極的には、人と1.8メートル以上の距離を取ることです。そのため、あいさつに握手が欠かせない欧米では、習慣の変更を余儀なくされています。
オランダではマルク・ルッテ首相が記者会見で、「 今後は 握手をしません」と発表した直後、間違ってつい握手をしてしまう、というハプニングがありました。
一方で台湾の蔡英文総統はツイッターで、「握手にはノーといい、台湾方式のフレンドリーなジェスチャーで挨拶しましょう」と呼びかけています。文:松丸さとみ
フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
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