「年越しそば」を英語で説明できますか?日本の興味深い習慣として外国人から質問されることもしばしば。この記事では「年越しそば」の歴史とそれに関する英語表現を見ていきます。
「年越しそば」を食べる人は毎年66.7%
日本の大みそかといえば「年越しそば」ですよね。お家でそばをすすって温まり、リラックスした気持ちで新年を迎えたいという人も多いのではないでしょうか?年末の大掃除やおせち料理の準備など、慌ただしい日々が過ぎ去ったくつろぎの時間に、家族で集まって食べたいなと思うのはやはり「年越しそば」です。
土用の丑の日に食べるうなぎやお正月のおせち料理など、日本には暦にちなんだ食べ物がたくさんありますが、大みそかに食べる「年越しそば」は、その中で最も人気があるそうです。以下の調査では、なんと毎年66.7%の日本人が「年越しそば」を食べているという結果がでています。
Of the different foods associated with various times in the Japanese calendar, a survey found that the Ōmisoka (New Year’s Eve) dish toshikoshi (year-crossing) soba was most popular, and is eaten by 66.7% of respondents every year. The buckwheat noodles symbolize longevity and lasting fortune. The auspicious New Year osechi ryōri and Christmas cake (typically a light sponge, often with strawberries) also have many devotees with 55.8% and 52.0%, respectively.
暦にちなんださまざまな食べ物の中で、日本では大みそかに食べる「年越しそば」が最も人気があり、毎年66.7%の人が食べていると調査でわかりました。そばは長寿や開運を象徴しています。また、新年の縁起物である「おせち料理」は55.8%、「クリスマスケーキ」(一般的には軽いスポンジの上にイチゴが乗っている)は52.0%と、それぞれ多くの支持者がいることがわかっています※1。
- 大みそか:New Year’s Eve
- 年越し:year-crossing
- そば:buckwheat noodles
「年越しそば」にはNGな食べ方がある?
そばが日本人の生活に浸透したのは江戸時代のことだそうです。江戸末期には、東京23区よりも小さい江戸の街に、なんと3700軒ものそば屋が存在したといわれています。江戸で働く庶民たちの胃袋を満たすファストフードとして人気を博していたことがうかがえますね。
「年越しそば」の起源については、江戸時代中期の商人たちの「みそかそば」に遡れるという説があります。そもそも「みそか」とは、月の末日のことを指し、1月であれば31日、6月であれば30日のことを言います。当時の商人たちが毎月月末に食べていた「みそかそば」の習慣が、徐々に大みそかにだけそばを食べる習慣へと変わっていき、現在の「年越しそば」のかたちに至ったといわれています。
そんな「年越しそば」ですが、一方でゲン担ぎの意味もあります。一説には、そばが切れやすいことに由来して、1年間の苦労や借金を断ち切り、翌年に持ち越さないよう願う意味があったといわれています。そしてこの縁起物としての「年越しそば」には、実はNGな食べ方があることを皆さんはご存じでしょうか?
Although they’re literally called “New Year’s Eve noodles,” eating toshikoshi soba right at midnight is actually considered bad luck. This has to do with the aforementioned meaning of breaking off the old year – when eaten at midnight, there’s a certain overlap of the old and the new year, thus you cannot “break off” all of last year’s troubles properly but instead carry them over to the following year. In some regions of Japan, toshikoshi soba are actually eaten after the New Year’s celebrations altogether, and some believe that eating while listening to the New Year’s bells at shrines and temples will bring bad luck as well. So, what is the proper time to eat toshikoshi soba? The answer actually varies depending on region and household – just make sure that there’s no overlap happening and no bells are ringing!
「年越しそば」といっても、実は真夜中に食べるのは縁起が悪いとされています。これは、旧年を断ち切る〔breaking off〕という意味と関係があります。真夜中に食べてしまうと、旧年と新年が重なってしまうため、旧年の厄〔troubles〕をきちんと断ち切ることができず、翌年に持ち越してしまうのです。また、新年のお祝いを済ました後に年越しそばを食べる地域や、寺院から届く除夜の鐘を聞きながら食べるのは縁起が悪いとする地域もあります。では、いつ年越しそばを食べるのが正しいのでしょうか。答えは地域や家庭によって異なりますが、「〔旧年と新年が〕重ならないように」、また「鐘が鳴っていない時に」食べるのが大切です※2。
- bad luck:縁起が悪い
- New Year’s bells:除夜の鐘
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いかがでしたか?日本人にとってはおなじみの「年越しそば」ですが、実は知らなかったことも多いのではないでしょうか?日本の興味深い習慣として、外国人から質問されることもきっとあると思います。ぜひこの機会に英語で「年越しそば」について話してみましょう!それでは皆さん、良いお年を!
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参照記事
※1 https://www.nippon.com/en/japan-data/h01199/
※2 https://livejapan.com/en/article-a0000814/
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