全英アルバムチャート日本人歴代最高位 リナ・サワヤマの『Hold The Girl』【EJ Culture音楽】
(C)Diogo Baptista / SOPA Images/Sip via Reuters Connect

「今聴いてほしいアーティスト」と関連する楽曲を音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんが解説します。今回は、リナ・サワヤマのセカンドアルバム『Hold The Girl』を紹介します。

パーソナルな成長を大胆かつ赤裸々につづるアルバム

リナ・サワヤマは1990年に新潟県で生まれ、5歳のときに親の仕事の関係でロンドンに移住。ケンブリッジ大学で政治学、心理学、社会学を学び、音楽活動を始める前はモデルとして活動していた。本作は1年半にわたってライティングとレコーディングが重ねられ、過去との折り合いをつけ、未来へと歩む喜びを表現した彼女のパーソナルな成長を大胆かつ赤裸々につづる作品となっている。

全英アルバムチャートで日本人歴代最高位、現代社会に説く一曲

ロンドンに拠点を置く日本人シンガー・ソングライター、リナ・サワヤマの快進撃がめざましい。2020年発表のデビューアルバム『SAWAYAMA』が欧米メディアで高い評価を獲得したことにより、一気に注目度がアップした彼女は、「Billboard」のカバーストーリーへの起用、エルトン・ジョンやレディー・ガガとの共演、ブリット・アワード最優秀新人賞ノミネートなど、今最もホットなアーティストの一人として海外での人気を確立している。

そんなリナが9月16日にリリースした通算2作目となるニューアルバム『Hold The Girl』は、2022年下半期の最重要作の一つに挙げられるだろう。2018年にパンセクシュアル(あらゆる性別の人が恋愛対象になる人)であることをカミングアウトしている彼女は、今回の新作からの第1弾シングル「This Hell」でLGBTQコミュニティーの連帯を呼び掛けている。

This hell is better with you / We’re burning up together / Baby, that makes two / ’Cause the Devil’s wearing Prada / And loves a little drama, ooh-ooh / This hell is better with you
こんな地獄でも、あなたと一緒ならまだマシ/二人で共に燃え上がっていこう/ベイビー、お互い気持ちは同じ/だって悪魔はプラダを着ているから/そしてちょっとしたドラマが大好きだから/こんな地獄でも、あなたと一緒ならまだマシ

リナは「This Hell」について「この地獄のような現代社会でコミュニティーと愛を祝福するような曲を書きたかった。クィア(既存の性のカテゴリーに当てはまらない人)の人々は常に『地獄に落ちろ』と言われ続けているけど、この曲でその考えを覆したい。だって私たちがみんな地獄に行くことになったら最高のパーティーになるでしょ?」とコメント。日本人アーティスト歴代最高位となる全英アルバムチャート初登場3位を記録した『Hold The Girl』の好反応を踏まえると、今後この「This Hell」がアンセム化していくことは間違いないだろう。

欧米シーンで活躍するアジア系女性シンガーの楽曲5選

今回の記事で紹介している音楽のプレイリストをご紹介します。アジア系女性シンガー・ソングライターの曲を聴いてみよう!

1. The Only Heartbreaker by Mitski
2. Be Sweet by Japanese Breakfast
3. Talk by beabadoobee
4. Risk It All by Yuna
5. whatever u like by UMI

リナ・サワヤマのデビューアルバム『Sawayama』

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※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2023年1月号に掲載した記事を再編集したものです。

ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部
高橋芳朗(たかはし・よしあき)

音楽ジャーナリスト、ラジオパーソナリティ、選曲家。TBSラジオ「ジェーン・スー生活は踊る」にレギュラー出演中。著書に『ディス・イズ・アメリカ「トランプ時代」のポップミュージック』(スモール出版)、『生活が踊る歌』(駒草出版)など。

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