
1971 年、『ENGLISH JOURNAL』は生の英語が聞ける音声教材として誕生しました。当時はカセットテープでしたが、今やスマートフォンでブラウザやアプリを開くだけで、そこから無数の音声素材が入手できます。機械翻訳の進化によってひょっとしたら近いうちに自分で英語を話す必要がなくなるのでは?と想像してしまう時代。今回は、日本の「英語が使える国の仲間入り」を目指した英語教材の開発や人材育成などを行う、スティーブ・ソレイシィさんのお話をお伺いします。
※本記事は、ENGLISH JOURNAL2023年1月号に掲載した内容を一部抜粋したものです。
20年以上愛されてきた『英会話なるほどフレーズ100』
NHK ラジオ講座「英会話タイムトライアル」の講師を務め、ビジネス・ブレークスルー大学などで英語教育の現場に立つスティーブ・ソレイシィさんは、30 年以上にわたって英語教育に携わってきました。日本の英語の現在、過去、未来を語るのにぴったりの人物だと言えるでしょう。
彼の数々の英語教材の著作の中で、ロングセラーとなっている代表作の一つが、2000 年に発売された『英会話なるほどフレーズ100』(アルク)です。「初めて書いた本でもあり、私にとっても特別な本です」と言います。
当時ソレイシィさんは、来日した母と2 人で英会話学校を運営しており、そこにアルクの編集者が生徒として来ていたことがきっかけで、この本が生まれました。「『アメリカの親子が日常で使うフレーズをまとめた本を作りませんか』と提案されたんです。確かにそうしたフレーズはコミュニケーションに欠かせませんし、日本の人たちにも役立つと思いました」
当時の書店には、ネイティブが使うフレーズを集めた本がたくさん並んでいました。「でも、どれを見ても、大量の英文の羅列で『覚えなさい』と上から目線で教えるようなものばかりだと感じていたんです。それでは使う側も、『言われたものを覚えるだけ』という受け身になってしまいます。『日本語でよく使うこのフレーズは、英語でなんと表現するんだろう?』と思ったときにぱっと対応できる、使いやすく分かりやすいフレーズ集にしたいと考えました」
本誌でもソレイシィさんの「なるほどフレーズ100」を3つ紹介しています。
気になる方はこちらをチェック。
「詰め込み」タイプの教育と飛び降りる「準・グローバル人材」
残念ながら過去数十年間、日本の英語教育はほとんど変わっていないように見えるとソレイシィさんは指摘します。
「表面的には変わってきているように見えますが、それは単に、かぶる仮面が変わっているだけ。みんな、仮面の部分しか見ていないんです。『楽しい詰め込み』『フレキシブルな詰め込み』『デジタルを使った詰め込み』などに変化しているだけで、英語の知識を詰め込む教育であることに変わりはないんです。そうすることで、試験では良い点を取れるようになるかもしれませんが、グローバルでコミュニケーションするためのスキルは身に付けることができません」
ただ、変化の兆しはあると言います。
“We have this big population of people who have moved away from mainstream education. This mainstream education is like a boat. Whoever’s jumped off the boat is part of what I’d call ‘global,’ but in fact more like ‘semi-global talent.’”
(かなりの人たちが、既存の教育に背を向け始めています。既存の教育は船のようなものです。そこから飛び降りる人たちが出てきています。まだ『グローバル人材』とは言い切れませんが、こうした『準・グローバル人材』と言える人が生まれています)
こうした人たちは、「英語で伝えたい」という強い気持ちを持っています。学校で学ぶ英語の枠を超え、自らの力で真の英会話に取り組もうとしています。「非常にゆっくりとではありますが、ようやく日本は、英語をコミュニケーションツールとして実践し、応用する時代に向かおうとしているのです」
取材・構成・文:大井明子
続きはEJ最終号で!

ENGLISH JOURNAL 1月号(最終号)では、スティーブさんをはじめとする英語関連業界の方々が「英語の未来」について語ります。
今回は日本の英語教育に関するソレイシィさんの視点をご紹介しましたが、ここからソレイシィさんは『世界の英語も変化してきている』と語ります。
(インタビュー時の音声を直接ダウンロードして聞いていただくこともできます。)
インターネット、スマホアプリ、機械翻訳など、英語の学習やコミュニケーションは便利になるばかりの英語ですが、これから先も、英語を話す力は求められ続けるのか。
自由な予想が広がるEJ最終号(!)を是非お手に取ってご覧ください。
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