TOEIC L&Rテスト パート別攻略法【Part 2】

TOEIC L&Rテストの攻略法をパート毎に紹介。TOEIC満点は当たり前というビジネス英語トレーナー、テッド寺倉さんに、Part 2の勉強法をTOEIC初級(目標スコア400~500点台)、中級(同600~700点台)、上級(同800~900点台)向けにそれぞれ詳しく解説していただきます。

Part 2の概要

問題形式

応答問題

問題数

25問

解答の仕方

投げかけ文の後に流れる3つの応答文の中から最も適切なものを選ぶ。いずれの文も問題用紙には印刷されていないので、音声のみで解答する。

初級者向けテクニック(目標スコア400~500点)

Part 2はリスニングセクションの序盤なので、簡単なパートと思われがちですが、実は上級者も苦戦することが多い難所パートです。なので、初級者は本番のPart 2で正解が分からないことが続いても、決してくじけないでください。後に続くPart 3や4にも正解できる問題はたくさんあるので、最後までしっかり解き続ければ、まだまだ挽回できます。

最後まで諦めない」のがテスト中の心構えですが、テスト前に知っておくべきことも幾つかあるので、初級レベルから解説していきます。

WH疑問文で正解を狙う

Part 2の問題の半数程度はWH疑問文です。幸い、これが最も解答しやすいタイプの問題なので、ここでしっかり正答数を稼ぎましょう。

WH疑問文の攻略は、まず文頭の疑問詞を聞き取ることから始まります。TOEICテストに慣れていない人は、音声を聞いたあとに文末の辺りだけが頭に残ってしまうものですが、頭に刻むべきなのはむしろ文頭の方なのです。

次に、選択肢からWH疑問詞に合った情報を含む応答文を選びます。文頭がWhoであれば人名や役職を含んだ応答Whenであれば時期について述べた応答というように選択しましょう。細部まで聞き取ろうとして解答が間に合わないということがないように、聞き取れた部分に意識を集中させるのがコツです。

以下は全てWH疑問文とそれに合致する応答文です。WH疑問詞とそれに対応した語句(英文内の太字)を意識しながら音読してみましょう。発音は音声を参考にしてください。

パターン練習1

  1. Who’s in charge of mentoring the summer interns?
    Mr. Friedman’s responsible for that.
  1. When will the sales training be held?
    Sometime in April.
  1. Where can I find the user’s manual for the photocopier?
    Look in the cabinet.
  1. What time is Mr. Santana arriving?
    He’s sent us an e-mail.
  1. How do I submit a request to work from home?
    You should ask your supervisor.

WH疑問文で具体的な情報について尋ねているのに、「〇〇を見て」(例4)「他の人に聞いて」(例5)「知らない」といった応答が返ってくることがあります。このようなパターンがあることも想定しておきましょう。

練習1の訳

  1. 誰が夏季インターンの指導を担当するんですか。
    フリードマンさんがそれの責任者です。
  2. いつ営業研修は行われますか。
    4月のどこかです。
  3. コピー機の取扱説明書はどこにありますか。
    戸棚を探してみてください。
  4. サンタナさんは何時に到着しますか。
    彼から私たちにメールが届いていますよ。
  5. 在宅勤務の申請はどのように提出できますか。
    上司に尋ねるべきですよ。

WH疑問文に対してYes/Noは×

「誰が?」、「どこで?」などと問いかけるWH疑問文に対し、「はい」や「いいえ」で答えることはできません。日本語では相手の質問の意味を理解していることを示すために「はい」などと応じることがありますが、英語でこれはNGです。

このことから、WH疑問文に対する応答文の選択肢でYes/Noで始まるものがあれば、その時点で排除できます。不正解の選択肢にはこのパターンが結構多いので、これは簡単かつ有効なテクニックです。

中級者向けテクニック(目標スコア600~700点)

初級から中級にレベルアップするために必要なことの一つは、会話表現の知識です。Part 2では、さまざまな状況や目的に合った機能的な会話表現を知っていることが求められます。逆に言うと、Part 2に出てくる表現を自分でも使える状態にまで昇華させることができれば、「とっさの一言」が出る英会話スキルが身に付きます

ここでは、中級者が必ずマスターしておくべきPart 2のパターンと頻出表現を紹介します。

機能疑問文のパターンを知る

WH疑問文の次に攻略すべきなのが、「依頼」や「提案」、「申し出」などの機能疑問文を用いた問題です。これらの問題で使われる定形フレーズは限定的なので、それらの常連パターンを押さえておくことで、Part 2はかなり解答しやすくなります。

以下に機能疑問文とその応答のパターンをリストアップしますので、知らないものがあれば、音と意味が一致するまで音読しましょう。

パターン練習2

  1. Could you carry that box to Eduardo’s office? (依頼)
    Sure. I’ll do it right away.
  1. I’d like to make my next appointment. (依頼)
    Certainly. When would you like to come in?
  1. Can I make an announcement before the meeting starts? (許可)
    OK, but please be brief.
  1. I can help you set up the window display. (申し出)
    That’d be a big help.
  1. Why don’t you join our book club? (提案)
    Yes, I’d love to.
  1. How about holding the staff meeting at the Riverside Hotel? (提案)
    No, our budget is tight this quarter.

例5、6は一見WH疑問文のようですが、「提案」をする機能的疑問文なのでYes/Noを伴った応答が可能です。

練習2の訳

  1. エドゥアルドのオフィスにその箱を運んでもらえますか。
    もちろん。すぐにやります。
  2. 次回の予約を取りたいのですが。
    もちろんです。いつお越しになりたいですか。
  3. 会議が始まる前にお知らせをしていいですか。
    いいですけど、手短にお願いします。
  4. ショーウィンドウの展示の設置を手伝いましょう。
    それはとても助かります。
  5. 私たちの読書会に参加しませんか。
    はい、喜んで。
  6. スタッフ会議をリバーサイドホテルで行うのはどうでしょうか。
    いや、今四半期を予算が厳しいんですよ。

上級者向けテクニック(目標スコア800~900点)

Part 2を完全に攻略するためには、単語やフレーズが聞き取れるだけでなく、話し手の状況や発言の意図も理解できる必要があります。近年のTOEICでは、この高い次元での理解を試すようなハイレベルの問題が毎回出題されています。そのような問題の攻略法を、具体例を交えて解説します。

ギャップのある応答に対応する

Part 2では、間接的な応答を用いた中上級者向け問題が出題されます。これらの問題は毎回25問中10問程度出るので、決して少なくありません。

これらの問題の正解の応答文は、言外の省略を伴うので、一見すると問いかけられた内容とはギャップがあるように感じます。例えば、「検査官はいつこちらを訪問すると言っていたの?」という質問に対して、「あなたが連絡するんじゃなかったの?」という応答は正解になります。この返答の言外には「私がやるべきだと思っていなかったから、検査官には連絡は取っていない。だからいつ来るかも分からない」という説明が省略されています。

このような応答には、単語レベルの聞き取りだけでは対応できません。投げかけ文から話し手の状況や発言の意図を頭の中に描き、それを受け皿として作っておいて、ギャップのある応答文もキャッチできるように待ち受けることが求められます。

以下は、上級者向けのギャップのある応答の例です。応答文にどのような説明が省略されているかを考えながら音読してみてください。

パターン練習3

  1. What did you think of my presentation at the staff meeting?
    Oh, was that meeting today?
  1. Will the employee awards ceremony be held at the office?
    Our conference room is not large enough.
  1. Don’t I need a manager’s approval to place this order?
    What’s the cost estimate?
  1. What was the name of that presenter you liked?
    She was a panelist.
  1. When is the all-hands meeting rescheduled for?
    Our office relocation must be priority.

練習2の訳と言外に省略された内容の例

  1. スタッフ会議での私のプレゼンについてどう思いましたか。
    おや、その会議は今日だったんですか。
    (今日その会議があることを知らなかったので、出席していないし、プレゼンも見ていない)
  2. 社員表彰式は事務所で行われるのでしょうか。
    うちの会議室はそれほど大きくないですよ。
    (表彰式は大きな会場でないと行えないから、狭い会議室しかない事務所ではできない)
  3. この発注をするにはマネジャーの承認が必要ではないのですか。
    費用見積もりはいくらですか。
    (金額が大きければマネジャーの承認が必要だが、少額であれば不要。購入金額次第で答えは変わる)
  4. あなたが気に入っていた発表者の名前は何でしたか。
    彼女は討論参加者でした。
    (私が気に入ったのは発表者ではなく討論参加者だったので、思い違いを訂正しておく)
  5. 全員参加のミーティングはいつに予定変更されましたか。
    事務所移転の方が優先課題であるべきです。
    (事務所移転を先に済まさなければならないので、ミーティングの新しい日程は現時点では未定だ)

練習問題に挑戦

それでは最後に練習問題です。

問1〜3はそれぞれ初級、中級、上級向けです。自分のレベルに合った問題をしっかりと解答できるかチャレンジしてみてください。

問1

問2

問3








問1の解答・解説
  1. When is Adele leaving for her trip to Nepal?
    (A) Yes, it leaves from Platform 7.
    (B) Not until next week.
    (C) A travel reimbursement form.

正解は(B)。Whenを使って「いつ?」と問う疑問文に対して、next weekという時期で答えている。not until ~は「〜まではしない、〜になってからする」の意。


いつアデルはネパールへ出発しますか。
(A) はい、7番ホームから出発します。
(B) 来週まではしません。
(C) 旅費精算用紙です。

問2の解答・解説
  1. Could you give us a tour of your office complex?
    (A) How about tomorrow afternoon?
    (B) No, it’s very simple to use.
    (C) I’m sorry I gave you the wrong address.

正解は(A)。Could you . . .?を用いた依頼に対して、「明日の午後はいかがですか」と提案することで快諾の意志を示している。


あなたのオフィスビルを案内してもらえませんか。
(A) 明日の午後はいかがですか。
(B) いいえ、それはとても使いやすいです。
(C) すみませんが、間違った住所をお教えしていました。

問3の解答・解説
  1. How long do we have to decide if we want to purchase the property?
    (A) I think the selling price is still negotiable.
    (B) There are a few others who have shown interest.
    (C) You own the intellectual property rights.

正解は(B)。物件の購入についての決断にどれくらい猶予期間があるかという質問に対し、「興味を示している人が他にも何人かいる」と述べるにとどめているが、「迷っていると他の人が購入してしまうかもしれないから早く決めた方がいい」という示唆が含まれている。


物件の購入をするかどうかを決めるのにどれくらい時間をもらえますか。
(A) 販売価格はまだ交渉可能だと思います。
(B) 興味を示している人が他にも何人かいるんです。
(C) あなたが知的財産権は所有しています。

テッド寺倉(てっど・てらくら)
テッド寺倉(てっど・てらくら)

ビジネス英語トレーナー。株式会社Actively代表。日系メーカーのオランダ駐在員や外資系企業勤務を経て、語学研修の道へ。現在は企業研修講師としてTOEIC対策や異文化コミュニケーションを指導。「TOEICはテストの本質を理解して対策をすれば、スコアと同時に使える英語力も獲得できる」というのが信条。『TOEIC®L&Rテスト 至高の模試600問』、『TOEIC®L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング』シリーズ(以上アルク)など共著。テスト研究のために受験し続けているTOEICは990点満点を50回以上取得。

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