TOEIC指導の専門家・ヒロ前田さんが、学習者の悩みに答える連載「TOEIC学習お悩み相談室」。今回は、「TOEIC受験でいつも時間切れになってしまう」という相談を取り上げます。制限時間内により多くの問題を解くには、どのような読解力が必要なのでしょうか。
目次
今回の相談
TOEIC受験でいつも時間切れになります。制限時間内に全問を解く方法を教えてください。
――会社員(TOEICスコア620点、20代・女性)
まず確認したいこと
全問を解くことだけを目標にしない
まず確認したいのは、「制限時間内に全問を解くこと」と「スコアを上げること」は、必ずしも同じではないということです。
TOEICのリーディングセクションでは、時間内に全問を解き終えられない人も少なくありません。900点台を取る人でも、必ずしも余裕を持って全問を解いているとは限りません。
大切なのは、最後までたどり着くことだけではなく、今の自分が正解できる問題を、できるだけ確実に取ることです。
たとえ全問に目を通せたとしても、内容を十分に理解できていなければ、正答数は伸びません。逆に、全問を解き切れなくても、解いた問題の正答率が上がればスコアアップにつながります。
ですから、「どうすれば全問を解けるか」だけに意識を向けるのではなく、「どうすれば限られた時間の中で正答数を増やせるか」と考えることが大切です。
時間があっても正解できるとは限りません
時間切れになると、「もう少し時間があれば解けたのに」と感じることがあります。
もちろん、時間が足りないことで解けない問題はあります。ただし、時間さえあれば必ず正解できる、とは限りません。
例えば、Part 7の前半にあるシングルパッセージを考えてみましょう。比較的早い段階で取り組んでいるはずなので、後半の問題よりは時間に余裕があるはずです。それでも正答率が高くないのであれば、問題は時間だけではありません。
英文の内容を正確に読めていない。正解の選択肢がなぜ正しいのか分からない。不正解の選択肢を正しいと思って選んでしまう。そうした状態であれば、時間を増やしても正答数は大きく伸びにくいでしょう。
時間があっても間違えるなら、必要なのは時間配分だけでなく読解力の強化です。
リーディングで時間切れを減らすには、速く読む力だけでなく、正確に理解する力も必要になります。
英語をスムーズに読む力を伸ばす
英語を速く読めるようになりたいですよね
最後まで問題を解くことができないのは、とても悔しいものです。「もう少し時間があれば最後まで解けるのに」「時間さえあれば正確にヒントを探せるのに」と感じる受験者は多いでしょう。
その悩みを解決する鍵になるのが、英語をスムーズに読む力です。
英語をスムーズに読めるようになれば、問題文を読む時間、本文からヒントを探す時間、選択肢を判断する時間を少しずつ短縮できます。
つまり、高速で英語を理解する力があれば、今より多くの問題に対応できるようになります。
では、どうすれば英語をスムーズに読む力を伸ばせるのでしょうか。
英語の語順のまま理解する
スムーズに読む力を伸ばすために意識したいことがあります。
- 英語の語順のまま理解する
- 意味のかたまりごとに理解する
- きれいな和訳をしない
これらを意識して英文を読む練習をすれば、理解スピードを上げやすくなります。
次の英文を見てください。
A workshop will be held for accountants who have been employed for more than five years.
この文を丁寧に和訳すると、「5年以上雇われている経理部員のために研修が開かれる」となるでしょう。
ただし、きれいに和訳しようとすると、英文を後ろから前に向かって理解することになります。
A workshop will be held for accountants who have been employed for more than five years.
④研修が開かれる ←③経理部員のために ←②雇われている ←①5年以上
このように処理すると、英文を前から読んだ後で、後ろから前に戻って理解することになります。つまり、きれいに訳す習慣があると、二度読みが当たり前になってしまうのです。
二度読みをすれば、その分だけ理解スピードは落ちます。
意味のかたまりごとに理解する
そこで、英語の語順をなるべく保ったまま、意味のかたまりごとに理解してみます。
A workshop will be held for accountants who have been employed for more than five years.
①研修は経理部員のためです → ②ただし、入社して → ③5年を超えた人たち
これなら、英語を前から後ろに向かって理解しています。
関係代名詞のwhoを「ただし、〜な人」のように解釈する方法は、学校の和訳ではあまり見ないかもしれません。しかし、入社して5年までの経理部員は研修の対象外だということは、十分に理解できます。
大切なのは、きれいな日本語に訳すことではありません。英文の内容を、英語の流れに沿って正確に理解することです。
もう1つ例を見てみましょう。
The event will be held on June 5 at Grand Hotel.
これを、少しずつ前から理解します。
The event will be held ...
イベント開催は
on June 5 ...
6月5日で
at Grand Hotel.
会場はGrand Hotelです。
つなげると、次のように理解できます。
The event will be held on June 5 at Grand Hotel.
イベント開催は6月5日で、会場はGrand Hotelです。
きれいな和訳ではないかもしれませんが、英語の語順を保ったまま、内容は正確に理解できています。
二度読みを減らせば、理解スピードは上がります。
正確さと速さを両方伸ばす
制限時間内により多くの問題を解くには、ただ急いで読むだけでは不十分です。
急いで読んでも内容を誤解していれば、正答数は伸びません。逆に、正確に読めていても時間がかかりすぎれば、最後までたどり着けません。
必要なのは、英語の語順のまま、意味のかたまりをつかみながら、正確に読む練習を重ねることです。
関係詞や前置詞、修飾関係を理解するコツを少しずつ身に付ければ、英文の処理スピードは上がっていきます。
時間切れを防ぐために必要なのは、単なるテクニックだけではありません。英文を前から理解し、正確に処理する力を伸ばすことです。
その力が伸びれば、制限時間内に対応できる問題数も少しずつ増えていくでしょう。
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