
ちょっと気になる英単語を毎回ピックアップしてお届けします。今回取り上げるのは「doomscroll」。SNS時代の私たちにとって、かなり身近な現象を表す言葉です。
気がつくと暗いニュースばかり見ていない?
英語のニュースやSNSを見ていると、「もうやめたいのに見続けてしまう…」そんな経験ありませんか? いわゆる“やめられない止まらない”状態。今回の「doomscroll」は、まさにそれを言い表すのにぴったりの単語です。
doomscroll
この言葉は、「破滅」「終末」を意味するdoomと、画面をスクロールするscrollを組み合わせた造語。
新型コロナの流行初期からSNSを中心に広まり、今では辞書にも掲載されるほど定着しています。
doomscrollの意味と使い方
意味は、次のように定義されています。
to spend excessive time online scrolling through news or other content that makes one feel sad, anxious, angry, etc.
悲しみ、不安、怒りなどを引き起こすニュースやコンテンツを、オンラインで過剰にスクロールし続けてしまう行為
出典:doomscroll, Merriam-Webster
日本語のウェブサイトでは「ドゥームスクローリング」とカタカナのままで紹介されることが多いですが、もしあえて訳すとしたらどうなるでしょう?
「絶望的情報連続一覧」――ちょっと漢字が多すぎて読みにくいですね。
もう少し軽く、親しみやすくするなら「闇スクロール」、略して「闇スク」くらいがちょうどいいかもしれません。
たとえば、こんなふうに使えます。
I didn’t mean to doomscroll until 2 a.m., but it just happened.
夜中の2時まで闇スクするつもりはなかったけど、気付けばそうなってた。
You should take a break from doomscrolling and go outside.
闇スクは一旦やめて、外に出てみたら?
・・・今はまだ誰にも通じないと思いますが、案外、定着する日が来るかもしれませんね。
なぜやめられない?
doomscrollingが問題視されるのは、不安やストレスを増幅させてしまうこと。とくにパンデミックや戦争、気候変動といった“終末的”なニュースがあふれる現代では、「見たくないのに目が離せない」という心理が働きやすくなります。
これは単なる習慣や気のゆるみではなく、心の深い部分に関わっている現象だと考えられています。
ある調査では、次のような指摘もあります。
... doomscrolling evokes greater levels of existential anxiety — a feeling of dread or panic that arises when we confront the limitations of our existence.
doomscrollingは、「自分の存在の限界」に直面したときに生じる恐怖やパニック――すなわち実存的不安――をより強く引き起こす
出典:Doomscrolling dangers, Harvard Health Publishing
私たちがdoomscrollingに引き込まれてしまう背景には、「不安を避けたいのに、確かめずにはいられない」という矛盾した心理があるのかもしれません。
発音と類語
doomは「破滅」や「絶望」を連想させる重い語ですが、この言葉自体は日常会話やSNSでもカジュアルに使われるようになっています。
類語としては:
binge-read(動詞:~を夢中で読みあさる)
information overload(名詞:情報の過剰摂取)
などがあり、デジタル時代の“あるある”を表す表現として一緒に覚えておくと便利です。
SNS時代の「自衛語」として
doomscrollは、自分を責めたり戒めたりするための言葉ではありません。むしろ、「あ、今やっちゃってるかも」と気づくための“自衛語”として使われています。
SNSやニュースアプリを見ているうちに、気づけばネガティブな情報ばかりを追いかけていた――そんなとき、「doomscrollしてたな」と言葉にするだけで、少しだけ距離を取るきっかけになります。
ちょっと心が疲れているときほど、知らず知らずのうちに陥りやすい行動だからこそ、やさしく名前をつけてあげることが大切。この一語を知っておくだけで、スマホとの付き合い方や、気持ちの切り替え方が少し楽になるかもしれません。
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