忙しいときは、「ああ、暇になりたい」と思います。予定表に何もない一日があれば、どんなに楽だろう、と。ところが、いざ本当に暇になると、「こんなに何もなくて大丈夫だろうか」と、なぜか落ち着かない。勝手なものです。さて、日本語ではどちらも「暇」ですが、英語では、予定が空いているのか、退屈しているのかによって表現が変わります。
目次
「明日の午後、暇?」は英語でどう言う?
まずは簡単なクイズです。
友人を誘うために「明日の午後、暇?」と予定を尋ねたいとき、最も自然なのはどれでしょうか。
A. Are you free tomorrow afternoon?
B. Are you bored tomorrow afternoon?
C. Do you have nothing to do tomorrow afternoon?
正解はAです。
- Are you free tomorrow afternoon?
明日の午後、暇?
ここでのfreeは、「予定が入っていない」「ほかにしなければならないことがない」という意味です。
BのAre you bored?は「退屈している?」、CのDo you have nothing to do?は「何もすることがないの?」という意味になります。
日本語の「暇」は便利です。「今日は暇」「暇だから退屈」「明日暇?」「暇を持て余している」まで、かなり広い範囲を一語でカバーできます。
英語では、この「暇」がどんな状態なのかを少し細かく分けて考えてみましょう。
予定が空いているならfree
仕事も約束も入っていない。そんな「暇」にはfreeを使います。
I’m free this afternoon.
今日の午後は暇です。I’m free after three.
3時以降は空いています。
誰かを誘うときにもよく使います。
- Are you free this weekend?
今週末、暇?
freeは、「何もすることがなくて困っている」という意味ではありません。単に、その時間に予定や用事が入っていないということです。
例えば、こんな文ならむしろ楽しそうです。
- I finally have a free afternoon, so I’m going to see a movie.
やっと午後が暇になったので、映画を見に行きます。
忙しいときに欲しかったのは、たぶんこちらの「暇」です。
仕事もなく、会議もなく、「午後は好きに使っていい」。書いているだけで少しうらやましくなります。
「その時間なら対応できます」はavailable
freeとよく似ているのがavailableです。
availableも、人について使えば「手が空いている」「時間が取れる」という意味になります。
Are you available for a quick call this afternoon?
今日の午後、少し電話できますか?I’m available between two and four.
2時から4時までなら時間が取れます。
freeとの違いはかなり重なる部分がありますが、availableは「その時間を相手や何かのために使える」という感覚があり、仕事の日程調整などでもよく使われます。
友人に、
- Are you free tomorrow?
明日、暇?
と聞くのはごく自然です。
一方、仕事相手に「午後3時なら打ち合わせできます」と伝えるなら、
- I’m available at 3 p.m.
午後3時でしたら空いています。
のようにavailableを使うと、すっきり伝えられます。
もちろん、日常会話でavailableを使ってはいけないわけでも、仕事でfreeが使えないわけでもありません。「暇」を単語ごと置き換えるのではなく、その時間をどういう意味で「空いている」と言いたいのかを見るのがポイントです。
何もすることがなくて退屈ならbored
休日。予定はない。仕事もしなくていい。
ここまでなら、かなり理想的です。
ところが数時間たつと、動画も見飽きた。本も読む気にならない。スマホを開いては閉じ、また開く。
こうなると、「暇」は少し意味が変わってきます。
何もすることがなくて「退屈だ」という気持ちを表すなら、boredです。
I’m bored.
暇だなあ。/退屈だなあ。I’m bored and don’t know what to do.
暇で、何をしたらいいか分かりません。
boredが表しているのは、時間が空いているという事実ではなく、「退屈している」という本人の気持ちです。
ですから、暇だからといって必ずboredになるわけではありません。
- I’m free today, but I’m not bored at all.
今日は暇ですが、全然退屈していません。
好きな本があって、見たい映画があって、昼寝もできる。そんな暇なら、むしろ大歓迎ですね。
なお、boredとboringは混同しやすいので注意しましょう。
I’m bored.
私は退屈しています。I’m boring.
私は退屈な人です。
後者は、自分自身が「面白くない人」だと言っていることになります。暇だと言いたかっただけなのに、ずいぶん厳しい自己評価になってしまいます。
本当に「何もすることがない」ならhave nothing to do
気持ちはさておき、文字どおり「することがない」と言いたいなら、have nothing to doが分かりやすい表現です。
I have nothing to do this afternoon.
今日の午後は何もすることがありません。I had nothing to do, so I cleaned the kitchen.
何もすることがなかったので、キッチンを掃除しました。
have nothing to doは、必ずしも「退屈している」という意味ではありません。ただ単に、やるべきことや予定がない状態を表せます。
例えば、
- I have nothing to do today, and I love it.
今日は何もすることがない。最高です。
と言っても構いません。
一方、
- I have nothing to do. I’m so bored.
何もすることがない。すごく暇だ。
と続ければ、「やることがなくて退屈している」という気持ちまで伝わります。
「暇」という日本語の中に隠れている「状態」と「気持ち」が、英語では別々に表れているのが面白いところです。
暇を持て余しているならhave time on one’s hands
では、「暇は暇だけれど、時間が余ってしまってどうしたものか」という状態はどうでしょうか。
そんなときに使えるのが、have time on one’s handsです。
I’ve had a lot of time on my hands lately.
最近、暇な時間がたくさんあります。Now that I have some time on my hands, I’m finally reading that book.
時間に余裕ができたので、ようやくあの本を読んでいます。
特にtoo muchを付けると、「時間を持て余している」という感じがよく出ます。
- I think I have too much time on my hands.
どうやら暇を持て余しているみたいです。
忙しい時期には、「時間が余る」なんて夢のような話です。
ところが、本当に予定表が真っ白になってみると、「何か忘れていないか」「仕事が来ていないだけではないか」と、メールを確認したくなる。
少なくとも、暇になれば自動的に心までのんびりする、というわけではなさそうです。
「暇な時間」「暇つぶし」は英語で?
「暇だ」だけでなく、「暇な時間」や「暇つぶし」も見ておきましょう。
「自由に使える時間」はfree timeと言えます。
- What do you do in your free time?
暇な時間には何をしていますか?
spare timeも「空き時間」「余暇」を表します。
- I like taking photos in my spare time.
暇な時間には写真を撮るのが好きです。
そして、「暇をつぶす」「時間をつぶす」はkill time。
- I walked around the bookstore to kill time.
時間をつぶすために書店をぶらぶらしました。
待ち合わせまで30分。家に帰るほどではないけれど、じっと待つには長い。そんな時間はkill timeの出番です。
「家でのんびりしている」なら、chill outも使えます。
- I’m just chilling out at home today.
今日は家でのんびりしています。
暇な時間を「退屈」と感じるか、「ぜいたく」と感じるかは、その日の気分次第かもしれません。
「暇」の英語表現を整理
日本語ではどれも「暇」と言えますが、英語では次のように整理できます。
- 予定や用事がなく、時間が空いている
→ free - その時間に会ったり対応したりできる
→ available - することがなくて退屈している
→ bored - 文字どおり、何もすることがない
→ have nothing to do - 時間を持て余している
→ have time on your hands - 自由に使える時間
→ free time、spare time - 時間をつぶす
→ kill time
「暇」を英語にするときは、「時間が空いている」のか「退屈している」のかをまず分けて考えると、表現を選びやすくなります。
忙しいときには「暇になりたい」と思い、暇になったらなったで「何かしなくては」と思う。なかなか理想どおりにはいきません。
もし次に本当に暇な時間ができたら、そのときくらいはメールを閉じて、堂々とI’m free.と言ってみたいものです。
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