同時通訳者、企業英語トレーナー、朗読家――英語の世界で活躍する方々に、ご自身が実践するトレーニングやおすすめの発音練習法をご紹介。トップバッターは企業研修講師として活躍する早川幸治さんです。
神は細部に宿る
私にとって、発音トレーニングはカラオケのようなものです。好きな曲を歌えるようになる練習を「努力」とは言わないように、楽しみながら繰り返せる素材選定が鍵です。私の素材選定の 基準 は「易しい」「楽しい」「この人の発音が好き」の三つです。最低一つ、できれば複数の 基準 を満たすものがおすすめです。
神は細部に宿ると言いますが、まさに発音の細部がL、R だと思います。日本語にないLとRが発音できないのは、努力や才能の 不足 ではなく、単純にまねが足りないだけだと感じていたので、徹底的にお手本の物まねをしました。また、お手本と自分の発音を比較するために録音しました。ゴルフや野球などでプロのまねをしてスイングしているつもりでも、録画してみたら全然違ったということもありますよね。私にとっては、物まねこそが、最高かつ最短のトレーニングでした。
私が実践してきた中で、特に効果を感じたトレーニングは以下の三つです。
ステップアップ練習
市販の発音教材を活用して、単語レベル、フレーズレベル、そして文レベルと練習の難易度を高めていきます。単語レベルの場合は、light/ right のようなペアで練習することで、L、Rの発音の違いに慣れることができます。その後、 turn on the lightやThe meeting room is on your right . のようにフレーズや文で練習をすることで、正しいリズムの中で正しいL、Rの発音が出せるようになります。
シャドーイング
音声を流しながら声を出して影のように付いていく、『ENGLISH JOURNAL』でもおなじみのトレーニングです。難易度が高めなので、すでに内容を知っている英文を活用することをおすすめします。内容を知っていれば、発音だけにフォーカスできるため、自然な英語のスピードでL、Rの練習が可能となります。YouTubeやTED Talks(さまざまな分野に関する講演が無料で見られる)などの活用がおすすめです。
レシテーション
プレゼンやスピーチなどを暗唱するトレーニングです。お手本のとおりに練習して暗唱するため、プレゼン/スピーチのカラオケ版といえます。あまりに長いと大変ですから、1分以下のものや、お気に入りの内容を一部 抜粋 して練習するとよいでしょう。私はスティーブ・ジョブズのiPhoneの発表を活用しました。何度も練習し過ぎて、ついにはiPhoneが欲しくなり買ってしまいました。
「易しい」「楽しい」「この人の発音が好き」という素材を使って「お手本の物まね」と「お手本との比較」を通してL、Rの発音が身に付いてきます。ここで紹介した内容が、読者の皆さんにとってエルものがアールことを願っています。
※ 本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年2月号に掲載した記事を再構成したもので す。
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