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3つのステップで目指すコミュニケーションの円滑化【一流が教えるマル秘発音練習法】

3つのステップで目指すコミュニケーションの円滑化【一流が教えるマル秘発音練習法】

同時通訳者、企業英語トレーナー、朗読家――英語の世界で活躍する方々に、ご自身が実践するトレーニングやおすすめの発音練習法をご紹介いただきます。第4回は英語講師の冨田三穂さんです。

練習した発音を「自分のもの」として自動化させる

皆さんが発音を練習する目的はなんでしょうか。カタカナ発音を矯正したい、聞き返されないようにしたいなど、人それぞれだと思います。

目的がどうであろうと、究極的なゴールは「正しい発音で円滑にコミュニケーションを取る」ではないでしょうか。そこで重要なのが、「練習時には正しく発音できるけれど、実際の会話では元に戻る」という状態がないようにすること。

つまり、完全にその音を「自分のもの」として自動化させるということ。自動化のために必要なのが、インプット、インテイク、アウトプットという練習です。

インプット

音情報を入力する練習です。見本の音を聞いてリピート練習をしましょう。特に、L とR のような日本語にない音は、「負の言語転移」といって、「ら」など、母語にある音に近づけて発音してしまうのが私たちの常です。克服するには繰り返しの練習しかありません。ただ、インプットを成功させるには、意味内容と文脈を伴うことが必要です。意味を伴う例文の中で、意味を処理しながらリピート練習をしましょう。

インテイク

「正しい音が出せる=実際に使える」とはなりません。より深い練習を通して、音情報を長期記憶に内在化させる必要があります。それがインテイク練習です。意識をフォーカスさせた状態でその音を使用し、「言えた、言えなかった」という検証や気付きを伴う練習がこれに当たります。

・自分の発音を録音して聞き返す

・流れてくる音声と同時に発音するオーバーラッピング練習をする

・Siri、Google アシスタント、Speech to Text Webcam Overlay などのAI 機能を活用して、自分の発音がAI に正しく認識されるかを検証する

アウトプット

音を長期記憶に内在化させるだけでは完成とはなりません。生きた文脈の中で何度も使われなければ、その音はすぐに薄れてしまいます。

そこで重要なのがアウトプット練習。長期記憶に入った正しい音を何度も検索・アクセスすることで長期記憶に固定させていきます。ここで注意すべきは、アウトプット練習に思考を伴わせるということです。例えば、temporarily、regularly などの今まで苦手だった単語を入れたスピーチを作ったり、really、seriously などをあえて挟みながら会話をしたり。リアルな文脈で繰り返し使用することで、長期記憶に入った音情報を固定化させます。

オンライン時代の今、発音の明瞭性はスピーキングをする上でとても重要な要素です。特に、L やR などの子音は重要なポイントとなります。正しい音を自動化させ、円滑なコミュニケーションを目指しましょう。

※ 本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年2月号に掲載している記事を再編集したものです。

冨田三穂(とみた・みほ)上智大学講師、日経英語スピーキング講師、『1000時間ヒアリングマラソン』の「スピーキング魂」担当コーチ。慶應義塾大学文学部卒業。上智大学大学院言語科学研究科博士前期課程修了(専攻:言語学)。大手英会話スクール講師や通訳・翻訳者を経て、現在は大学生、ビジネスマンを対象とした授業やセミナーを行っている。