ボトムアップとトップダウンで英語の総合的な実力を磨く【一流が教えるマル秘発音練習法】

同時通訳者、企業英語トレーナー、朗読家――英語の世界で活躍する方々に、ご自身が実践するトレーニングやおすすめの発音練習法をご紹介いただきます。第2回は同時通訳者として活躍する柴原智幸さんです。

ボトムアップの発音練習:まずは 1~10、A~Zから

英語の音を「母音」と「子音」に分けると、日本人が苦手にしているのは圧倒的に「子音」です。1~10にはそのうちL以外の子音がすべて入っています。そしてもちろん、A~ZにはLの音も入っていますから、一つ一つ、正確に発音できるようにすることで、それを応用して「単語」→「文」→「文章」と、きれいに発音できるユニットを少しずつ伸ばしていくことが可能です。これは、私が高校生の頃から、隙間時間を見つけては取り組んでいるトレーニングです。

LとRが両方入っている単語は、練習にうってつけです。例えば reel 、それができたらrely、それも楽々なら、一時コロナウイルス感染症の治療にも使われたchloroquine(クロロキン。本来はマラリアの治療薬です)は、いかがでしょう?

それぞれの音をどう出すかは、LとRについては 『ENGLISH JOURNAL』2月号 を参考に、それ以外の音は市販の教材などを活用するとよいでしょう。

ただ、頭でやり方を「理解」しても、「使いこなせる」レベルになるには地道な反復練習が必要です。その点、1~10とA~Zであれば、丁寧に発音しても1分もかかりませんから、気軽に反復練習ができます。「歯磨きの前に発音練習」という感じで、日々の生活の中にトレーニングを組み込んでみてください。

トップダウンの発音練習:英語カラオケまたは朗読

ボトムアップの練習ばかりだと、若干飽きるときもありますが、そんなときはトップダウンの発音練習に 取り組む チャンスです。 具体的に は、「お手本をまねする」トレーニングになります。母語の発音を習得するプロセスに近いやり方で、歌や朗読が好きならば、楽しみながら力が伸ばせます。

お手本をどうするかですが、私の場合は1950~60年代くらいのアメリカンポップスが好きでよく歌っていました。音と音のつながり、強調の仕方などをそのまま頭と体にたたき込めますので、効果的です。「パフ」(原題: Puff , the Magic Dragon、ピーター・ポール&マリー、1963)の歌詞の一節にfrolicという単語があって、何度も練習した覚えがあります。

歌はちょっと・・・という場合には、有名なスピーチの音源や、演劇の台本を朗読した音声を手に入れて、内容をしっかり理解した上で音を丸ごとコピーするやり方もよいですね。こちらは 青谷優子 先生のご専門の分野です!

両方をバランスよく!

好みもありますので、ある程度偏りが出るのは自然ですが、どちらか片方「だけ」しか取り組まないのは、さすがに偏り過ぎです。総合的な実力を練り上げてくださいね。

※ 本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年2月号に掲載している記事を再編集したものです。
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柴原智幸(しばはらともゆき) 神田外語大学専任講師。NHK放送通訳者・映像翻訳者。上智大学外国語学部英語学科卒業。イギリス、バース大学大学院通訳翻訳コース修了。1998年から2002年までBBC日本語部で放送通訳者として勤務。2011年から2017年までNHK ラジオ講座「攻略!英語リスニング」講師を担当。

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