小学校英語必修化、4技能化に応える本、廣津留真理著『英語で一流を育てる』のレビュー。

2020年の英語教育大改革。4技能が重視され、大学入試が大きく変わるだけでなく、小学校でも英語が「教科」になります。「やっぱり英会話スクールに通わせたほうがいいのかしら?」と不安になりますね。今ままで英語子育てをしてこなかった家庭でも、気軽に始める方法はないのでしょうか。私自身も、小学生の親として大変気になります。書籍 『英語で一流を育てる』 をチェックしてみました。

英語で一流を育てる――小学生でも大学入試レベルがスラスラ読める家庭学習法
 

著者の廣津留(ひろつる)真理さんってどんな人?

この本の著者、廣津留真理さんは、大分県で英語教室を主宰している方。独自の「ひろつるメソッド(R)」で、「読む、聞く、書く、話す」の英語4技能を高いレベルで身につける教育をしています。長女のすみれさんは、このメソッドによる教育で、公立の小中高から、現役でハーバード大学へ進学しました。

これまでに、3,000人以上に教えて実績を出しているとのこと。これは期待できそうです。

英語力は単語が9割!

本書では、「英語=単語力」と断言しています。

単語をたくさん知っていれば、英語はなんとかなります。

あなたが知っている単語の数と種類は、あなたがどんな人間であるかを決定しているといっても過言ではないのです。

※本書p141より引用

ハーバードに合格した娘さんも、単語の暗記にかなりの時間を費やしたとか。「英語は単語が9割」と言いきっています。

「1日たった5分のらくらく単語暗記法」とは?

廣津留さんの英語教室では、幼児でも小学生でも、子ども向けの単語集は使いません。世界で使われている英語には「中学生用」も「高校生用」もない、というのがその理由。おすすめは英検用の単語集です。

この暗記法なら、普通の小学生が半年で、高校1年生の英語の教科書を読めるようになるとか。この案記法の極意は次の3つ。

極意1 音声に合わせて音読する――口と耳で覚える

お手本の音声を聞き、口に出す(自分の声を耳で聞く)、をくり返します。口と耳で覚えられるのがポイント。

極意2 「英語→日本語」を交互に音読する――体で覚える

「apple-リンゴ」「park-公園」と、 英語と日本語を交互にくり返します 。テンポよく行うことで、リズムで覚えることができるのだとか。 ちなみに 私は、TOEIC向けの単語集を覚える際、以前は英語だけをくり返していたのですが、最近このやり方に変えました。何となくですが、定着しやすくなったような気がします。

極意3 書かずに「なぞり読み」する――目で覚える

ひと文字ずつ、目と指先で追っていく「なぞり読み」をします。「なぞり読み」が定着すると、ノートに書かなくてもぐんぐん文字が読めるようになるとのこと。 ちなみに 、廣津留さんによれば、 書き取りは疲れるだけで時間のムダ!

確かに子どもの場合、ちょっとした書き損じに気を取られ、消しゴムで消そうとしてノートが破れて、それにかんしゃくを起こして……という悪循環に陥るケースが多い気がします(わが家だけ?)。

また、書くとなるとテキストのほかに、ノートや筆記用具も必要になりますが、これを用意するのもなかなか面倒なので、「書くのはムダ!」という 指摘 は、単語暗記のプレッシャーを軽くしてくれる気がしました。

小学1年生が「らくらく暗記法」を試してみた

お財布にも優しい、らくらく暗記法

「ここまで読んだらやるしかない!」というわけで、小学1年生の娘を相手に、この暗記法を試してみることにしました。

保育園の年中・年長の2年間は、園で週2回英語のレッスンを受けていましたが、それ以外は親(私)がいい加減なため、気が向いたときに英語のDVDを見たりCDを聞いたりする程度。英語は好きなようですが、通いやすい距離に子ども向けスクールがないこともあり、小学校入学とともにウヤムヤになっていました。

市販のツールや、小学生向け教材も検討してみたのですが、「やらなかったらムダになるしなあ」というお財布事情もあり、ついそのままに。

その点、この暗記法なら、まずは単語集だけで始められます。本書のすすめにしたがい、さっそく英検5級用の単語集を買ってきました。

英検5級 でる順パス単 (旺文社英検書)
 
これならやれそう!

さて初日。まずは、「5分で止める」「間違えても注意しない」と自分自身に言い聞かせます。なぜなら、 「長時間ダラダラやらない」「発音を間違えても 指摘 しない」 と本書に書いてあるのですから。

お風呂から出たあとの、普段なら何となくダラダラ過してしまう時間帯に、「日買ってきた、英語の本やってみようか?」と声をかけると、「はーい」と素直に持ってきました。

さて、並んで椅子に腰かけまして。私が英語を言う→娘も英語を言う→娘が日本語を言う、という感じでくりかえします。あっという間に4ページくらい進み、1日の目標20語を達成しました。早い! 飽きる暇もありません。

娘も「なんだ、もうおしまいなの」と言っていましたが、今日はこれまで。人間関係でもなんでも、最初から張り切りすぎると大体ろくなことにならないのですよ。お母さんはこれまでの経験から、よく知っているのです。

本書にも、「短時間でテンポよく」と書いてありますしね。

「お母さん、早く英語やろうよ!」

2日目は昨日の復習から。まあ、忘れてしまったところのほうが多いようですが、気にせず進めます。そして今日の分もサクサク進み、合わせても5分程度です。

その日から翌日にかけて驚いたのは、着替えるときや遊んでいるときなど、ふとしたときに、「“ study ” は『勉強する』だよね」とか、「『開く』っていうのは……あっ、“ open ” だ」などとつぶやいていること。 1日5分ほどしかやっていないのに、結構ちゃんと覚えている ようです。

そして3日目には、自分から「お母さん、早く英語やろうよ!」と本を持ってきました。びっくり! さらに、登校の準備が早くできた日は「学校に行く前にちょっと英語やるね」とひとりで単語帳をめくってみたり、お風呂上りに眠そうなときでも「英語やってから寝る」と言ったりするように。

「もしや仕込みでは(誰の?)」とこちらが動揺するくらいの順調ぶり。「らくらく単語暗記法」、恐るべしです。

まとめ

というわけで、わが家が「1日たった5分のらくらく単語暗記法」を始めて10日あまり。 今のところ 、負担感ゼロで順調に続いています。目の前に夏休みという桶狭間が控えていますが、 1日5分なら何とか続けていけるのでは 、という気がしました。

小学生の子どもがいる家庭にとっては、2020年の英語教育改革も気になりますが、それより今日の宿題、明日の持ち物、来週の行事が気になるもの。1日の生活の中に無理なく取り入れられる方法として、この英単語暗記法を試してみてもいいかもしれません。

英語で一流を育てる――小学生でも大学入試レベルがスラスラ読める家庭学習法
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構成・文:川浦奈遠子
GOTCHA!編集部員。仕事と家庭と語学の両立が人生の課題。常に課題。

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