英語の言い間違いが気になってドキドキした経験はありませんか?イングリッシュ・ドクター西澤ロイの「英語健康診断」連載6回目では、英語心拍数を抑え、リラックスして英会話を楽しむ方法をアドバイスします。さっそく、英語健康診断スタート!
検査:「郊外に住んでいる」を英語でどう表現する?
今回の検査では、英作文に挑戦していただきます。
検査
「郊外」などのような英語にしづらい日本語があると、言葉に詰まったり、文法の間違いが気になったりしませんでしたか?この症状は、「心拍数」が上がり過ぎて、英語が話せなくなってしまう、「英語の成人病(生活習慣病)」の兆候かもしれません。
解答例を見てみましょう。
解答例
- She lives in the suburbs of Tokyo.
- She lives in a suburban area in Tokyo.
- She lives on the outskirts of Tokyo.
なぜなら、暗記で覚えたフレーズを使おうとするとき、ピッタリ当てはまるフレーズをタイミングよく思い出せない、文の中で正しく使えない、などのことが起こりやすく、そのストレスが、「英語心拍数」を上げてしまう 原因 になるからです。
そこで、「英語心拍数」を正常に保つためには、 少しくらい間違っていようと、堂々と英語で表現する ことが大切なのです。
改善 策">診断:解説と 改善 策
これから、皆さんが「心拍数」を抑え、思いっきり英会話を楽しんでいただくための処方をいたします。
心身リラックス処方1:文法を気にし過ぎない
「三単現のs」を恐れないで!
まず、「英会話心拍数」を上げてしまいやすい一番の要因は「文法」です。学校での英語の授業やテストで、文法間違いを何度も 指摘 された経験があるためでしょう。
もちろん、文法が大切ではない、ということではありません。最低限の語順が分かっていないと、正しく意味が通じません。また、文法的に正しくない英語を使っていると、あまり教養があるようには聞こえません。
しかし、英語を身に付ける過程では、英語を話しているときに文法を気にし過ぎて良いことは何もありません。口が開けなくなってしまい、英語を実際に使う経験が積めなくなってしまうからです。
例えば、今回の英文であれば、「彼女が住んでいる」ですから、
She lives ~.のように、「三単現のs」を付けるのが文法的には正しいです(知らなかった方は気にしないで結構です)。しかし、別に
She live ~.と言ったとしても、100パーセント通じます。否定文で She doesn’t ~. にすべきところを、あえて She don’t ~. と言うネイティブスピーカーでさえ実際にいます。
「時制」に身構えないで!
さらに、「三単現のs」よりも「時制」を気にする人の方が多いかもしれません。例えば「私は行った」と表現したい場合に、
I go ... (いや、過去形にしないと) ... I went ...などのように、わざわざ言い直す人も少なくありません。しかしこれでは、スムーズなコミュニケーションを阻害してしまうかもしれません。
例えば「昨日、新宿に行った」のであれば、過去形の went を使わなくても、
I go to Shinjuku yesterday.で問題なく通じます。yesterday という言葉がありますからね。中国語のように、過去形(時制)のない言語も世界にはあります。そのような国の英語学習者であれば、上のように、現在形で話すことも珍しくありません。
ですから、 文法は気にし過ぎないこと をおすすめします。
心身リラックス処方2:「正確に表現しよう」とこだわらない
日本人がこだわってしまいやすいポイントはもう1つあり、それが「内容の正確さ」です。「郊外」って英語で何と言えば良いのか、悩み込んでしまった方もいらっしゃるかもしれません。
時々、「郊外」が英語で言えないからといって、何も話そうとしない(英作文であれば何も書こうとしない)人がいます。しかし、ちょっと冷静になって考えていただきたいのですが、「東京」という情報と、「郊外」という情報を比較した場合、どちらの方が大切でしょうか?当然、「東京」ですよね。
つまり、「郊外」という、そこまで大事ではない情報にこだわり過ぎて、より大事な「東京」という情報が伝えられなかったら、それこそ本末転倒であり、非常にもったいないのです。
例えば、郊外といっても、東京の一部と考えれば lives in Tokyo でも良いでしょう。 lives near Tokyo のように表現するのだってありです。発想をちょっと転換して、まずは「東京」なんだということだけでも伝えましょう。
心身リラックス処方3:カタコトでも「伝えたもの勝ち」
そのような発想の転換がうまくできなかった場合にはどうすれば良いでしょうか?
私がおすすめしたいのは、開き直って、カタコトでもいいから伝える、ということです。例えば、その女性の名前が Junko さんだったとしましょう。
Junko. House. Tokyo!このように単語を並べれば、きちんと意味は通じるのです。
しかし、カタコトのような泥臭い伝え方は、イヤだという方も少なくないでしょう。もちろん、スマートに伝えられればベストですよ。でも、 たとえカタコトであっても、言いたい内容を伝えられることにはものすごく価値がある のです。
ちょっと変な例ですが、「私は東京に住んでいます」をロシア語で言えますか?
答えは、 google 翻訳 によると
Я живу в Токио.だそうですが、「東京」さえも読めませんし、どう発音して良いかも分からないでしょう。つまり、ロシア語だったら、自分ではカタコトで伝えることさえもできないのです。私は東京に住んでいます。
外国語というものは、何も知らないのが普通です。それが英語になると、ほとんどの日本人が1000~2000個の単語は知っておりますから、 度胸さえあれば、さまざまなことをカタコトで伝えられる のです。
修正 すれば良いだけ">まとめ:後で 修正 すれば良いだけ
1点だけ誤解していただきたくないのですが、私は、常にカタコトで会話することを推奨しているわけでは全くありません。
英会話は、スポーツに例えるなら「試合」に当たります。例えば野球の試合で、「常にヒットが打ちたいから、打ちやすいボールしか打たない」という選手がいたらどうでしょうか。そんな人がうまくなるはずがありませんね。
特に初級者であれば、とにかくバットを振って、来た球をバットに当てようとする。ボールが前に飛んだのなら、必死に1塁まで走って、セーフになろうとする。そのような必死さが上達につながるのではないでしょうか。
英語も同じなのです。試合に出てしまったのであれば、少しくらい正しくなくても、泥臭いカタコトであっても、必死に伝えようとすることが重要です。そこで積むことのできる経験値が、物を言うのです。
そして、試合が終わった後には反省会をすればいいんです。同じ間違いをしたくないとか、もっとスマートに伝えたいなどと思ったのであれば、練習をして、 改善 すれば良いだけです。「最初から間違えない」なんてことは、私たちは人間ですからできません。間違えた後で、 修正する ことしかできないのです。
次の試合で、うまくできるようになればいいのです。いや、次のそのまた次・・・と、できるようになるまで練習して、挑戦すれば良いのです。それが英会話を上達させる、唯一の道なのです。
上達を加速させるためにもぜひ、間違いなどに動じない、強い心臓を手に入れていただけたらと思います。
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執筆:西澤ロイ
イングリッシュ・ドクター(R)(英語のお医者さん)。
英語への「苦手意識」や「英語嫌い」を解消し、英語が上達しない 原因 である「英語病」を治療する専門家。獨協大学英語学科卒業。TOEIC満点(990点)、英検4級。アメリカのジョージア州に1年間の留学経験あり。「英語感覚」や「英語の考え方」を分かりやすく日本語で伝えるスキルには定評があり、「長年の疑問がすっきり解消した!」「そんな風に英語を捉えたことがなかった」「目からウロコ!」という多くの感動や喜びの声が寄せられている。著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、「TOEIC L&Rテスト最強の根本対策」シリーズ(実務教育出版)など、計9冊で累計15万部を突破。メディア出演多数。木8(木曜夜8時)の英語バラエティ ラジオ番組「スキ度UPイングリッシュ」の他、コミュニティFMにてレギュラー番組・コーナーを4本オンエア中。
公式HP: https://english-doctor.co.jp/
YouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/user/990english
編集:増尾美恵子
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