HUMMER こと濱崎潤之輔さんの連載6回目!英語を勉強中で「曖昧なアドバイスではなく、確実に効果が出る勉強の仕方を教えてほしい」とお悩みの方へ、HUMMER さんがプロレス技を決めるようにビシッと効果の出る、英語の最強戦術を伝授します。今回のお悩みは「 英語が急に難しく感じるようになり、成果が上がらなくなってきた 」です。
目次
学習スランプ「プラトー」の突破法は?
英語で伸び悩んでいる、社会人1年目の会社員です。
会社のメールに中学レベルの単語が含まれている場合は理解できるけれど、高校レベルの英語となると途端に難しくなり、勉強していても成果が実感できません。学習スランプ「プラトー」でしょうか?急に難しくなったように感じるのですが、勉強法を変えたほうがいいのでしょうか。
プライドを捨てて、中学英語から学び直そう
まず「中学英語はなんとか対応」というレベルというのは、どのくらいのレベルを目指すのだと考えていますか?例えば、完全に理解しているレベルを100パーセントとして、70パーセント?80パーセント?仮にそのくらいのレベルだとしても、残りの20~30パーセント分は習得できていないということです。そこを置き去りにしたままで次のステップに進んでも「難しく感じる」のは当然のことであると言えるでしょう。
次のステップに進む前に、どこがマスターできていないかを認識した上で、100パーセント習得できるよう、中学英語からきちんとやり直す必要があるのです。
中学英語の文法は100パーセントマスターすべし
そもそも 高校レベルの英語が難しく感じられるのは語彙レベルが高くなることに加えて、構文が複雑化しているからなのです。文が長くなると、どこが主語で、どこが述語動詞かが分かりにくく、倒置(語順を変えること)や省略もしばしば見られます。その結果、文章として意味がつかみにくいということになってしまうのです。
しかし、実は高校で扱われる文法の項目数はすごく 少ない のです。中学までの方が断然多く、高校で学ぶ英文法はその応用にすぎません。だからこそ、中学英語レベルの文法はすべてマスターしておかないと、ちょっと複雑な文章が出てくるだけでも身動きが取れなくなってしまうというわけです。
つまり、 「マスターできなかった文法」はあなたにとってのミッシングピースのようなもの 。そこをきちんと埋めない限り、より高いレベルに到達することは難しいと言えるでしょう。文法を100パーセントマスターできるよう中学英語からやり直すことが、遠回りに見えて結局は近道なのです。
鍵となる動詞を使い方ごと覚えよ
そしてもう1つ、複雑な構文を読み解くヒントは「単語」です。どれが動詞で、その動詞がどんな意味かが分かれば、複雑な構文の全体像を見い出しやすくなるでしょう。例えば「redeem(弁済する)」という単語が動詞だと分かっていれば、 for が後の方に登場することが 予想 され、文章全体の意味をつかみやすくなります。
特に単語の中でも 重要な鍵を握るのが「動詞」 です。それが分からないと、当然ながら主語と述語の切れ目が分からなくなり、倒置法でも使われた日には、ますます文意が分からなくなるでしょう。
また、 単語の意味を「知っている」レベル も重要です。慣用表現やコロケーションまで知っていて初めて、使い方まで知っていることになります。たとえば「 take 」を単に「“取る”という意味の動詞」として覚えただけであれば、ほとんど使い物にはならないということです。
特に高校英語では、そうした使い方まで覚えるべき単語がたくさん出てきます。効率よく覚えるには、やはり文章の中で覚えるようにすることがコツです。単独で覚えるよりも、全体の文脈や前後関係でどのように使われていたかまで意識しながら覚える方が記憶にも残り、使い方も身に付きやすいのです。
中学英語の見直しには英検3級のテキストがおすすめ
中学英語を見直すには、 英検3級のテキストを総ざらい するとよいでしょう。それでだいたい中学3年レベル、4級で2年生レベルと言われています。もし、中学3年レベルが100パーセントマスターできていないと感じたら、1年生、2年生レベルの文法を復習することから始めるのをおすすめします。
正直、学生時代に英語の勉強を頑張っていた人ほど、自分の英語レベルが中学生並みであることを認めたくない 傾向 にある場合が多いです。でも、さらっと1回だけでも一通り中学英語の勉強をやってみると、勘は戻ってくるものですよ。
ちょっと話は変わりますが、私は以前ピアノを習っていました。あるとき、また弾いてみようと思って、結構いい値段のキーボードを買ったのですが、まったく弾けなくなっていてがくぜんとしました。
でも、簡単な曲からやり直したり、片手ずつ順番に手を動かすトレーニングをしたりした結果、なんとか以前のように弾けるようになったんです。もし最初から「弾けるはず」と思って、難しい曲ばかりに挑んでいたら、いつまでも弾けずに面白くなくなってやめていたかもしれません。
プロレスでいうなら、ヤングライオン(新日本プロレスの新人の総称)の黒のショートパンツ時代、まだまだ基礎体力や基本技が身に付いていないうちに、いきなり派手な大技に挑戦するようなものなのです。
基礎ができていないのにジャーマン・スープレックス(プロレス技の一種、日本名は原爆固め)やデスティーノ(腕極め後方回転式リバースDDT)に挑戦したら大怪我をしますからね。
もし、英検3級のテキストが面白くないというのなら、大人向けの中学英語のテキストがいろいろ出ています。また、「○時間で総復習をする」というような短期間で効率よく学べるテキストも売られています。そのようなテキストをうまく使って「中学英語」という土台をみっちりと踏み固めましょう。
ビジネス英語の本もエンターテイメント系の本も、本格的なコンテンツとなると、中学生英語だけではなかなか十分に楽しめないかもしれません。あえておすすめするなら米国大統領の演説を聞いてみるのはどうでしょうか。
戦略的に平易な英語を使っていることが多く、特にトランプ氏の英語は11歳くらいの子どもでも十分理解できるレベルと言われています。テキストに飽きたら副教材的に聞いてみると面白いのではないでしょうか。
学生の場合は1年間で学ぶべき分量が決まっており、勉強時間も十分に取ることができます。でも、社会人になれば勉強時間が限られている一方で、やらなくてはいけない範囲というのが決まっていません。
節目に英検の問題集などでスキルチェックを挟んで、目標を立てながら、焦らずじっくりと、自分に合ったレベルから自分のペースで学んでいってください。
HUMMERさんの本
- 作者: 濱崎潤之輔
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2018/11/15
- メディア: Kindle版
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