ママ友と出会う機会が実に多いイギリス。ママ友との新しい出会いや付き合いは子どもが中学生になっても続き、その中身もかなり濃いんです。でも、どうして?個人主義のお国だから見えてきたママ友との付き合い方など、イギリスのママ友事情を紹介します。
目次
イギリスはママ友が作りやすい?
イギリスでは安全面の観点から、「小学生は一人で登下校してはいけない」という決まりがあります。だから子どもが小学生の間は、保護者が登下校に同伴します。毎朝子どもを学校に送って、学校が終わる頃に迎えに行くのは時間的にかなりの負担。
でも、他の保護者の方たちと知り合う機会が多いので、生かしようによってはかなりの利点になります。毎日他の保護者の方たちと顔を合わせるので、顔なじみになって自然と会話が始まり、友達になっていきます。
子どもが中学校を卒業する頃までは、保護者の間で「WhatsApp」(日本でいうLINE)のグループチャットを使ったやりとりも盛んです。新学年が始まる9月になると、子どもの新しいクラスの保護者の間でグループチャットが作られて、持ち物や宿題、試験、学校行事のことなど、先生に問い合わせるまでもない疑問を聞き合います。
試験対策やおすすめの習い事といった情報も飛び交うので、有益な情報が得られるプラットフォームにもなっています。
自分の子どもと仲が良い子の親と毎日の送迎で顔を合わさない場合には、保護者のグループチャットから連絡先を探して直接連絡をとることもあります。また、子どもが小学校3、4年生くらいまでは誕生日会にクラス全員を招待することも多いので、誕生日会の招待や出欠確認も保護者のグループチャットが使われます。
子どもにとっても大人にとっても、保護者のグループチャットが友好関係を広げるツールとなっているんです。
保護者の代表「クラスレプ」がお世話役
このように毎日の送迎で顔を合わせたり、子どもや学校のことをグループチャットで質問したりするイギリスでは、保護者同士の関わりが頻繁です。加えて保護者で集まる機会が多く設けられることも、ママ友作りが簡単な理由として挙げられます。
イギリスの学校では毎年クラス替えがある度に、保護者の代表である「class rep(クラスレプ)」(class representativeの略)が決められるのですが、そのクラスレプ様が保護者間のグループチャットを設定してくれたり、保護者間の社交の場を設けてくれたりします。
例えば、1学期に1、2回は子どもたちを学校に送った後に保護者が集い合う「コーヒーモーニング」が行われます。学校近くのカフェやパブで集まって、コーヒーを飲みながら新しいママと知り合ったり、情報交換をしたりしておしゃべりを楽しみます。
また、朝に参加できない人のために、就業時間後に集まって夕食を共にする「night out(ナイトアウト)」もあります。night outといっても夜通し遊びに行くわけではなく、夜7時か8時に集合して夕食を食べながらおしゃべりを楽しむといったゆるい感じです。
クリスマスが近づいてくると夫婦で参加する「クリスマスディナー会」もあります。このように年中を通して他の保護者と集まる機会が盛りだくさんです。
保護者をまとめるクラスレプは時間を取られるので、フルタイムで働いているママには負担になります。でも、チャリティー精神が盛んなイギリスでは毎年、「クラスレプをやりたい」と自ら申し出る人が必ずいるので、やらない(できない、したくない)筆者でも役が回ってくるプレッシャーは一切ナシ!これは本当にありがたいです。
どうしてそこまでして保護者同士がつながるの?!
こんなふうに書いていくと、「どうしてイギリスではそこまでして保護者同士がつながろうとするのか?」とつっこまれそうですが、イギリスの場合、安全性の理由から子どもだけで遊びに行かせられないので、親同士が知り合いじゃないと子どもたちが学校外で遊べないという事情があります。
イギリスでは子ども同士が遊ぶことを「playdate(プレイデート)」といいますが、子どもが友達とプレイデートの約束をしたとしても、結局プレイデートへの送迎は保護者が行わないとダメ。親同士が関わらないと他の子どもと遊ばせられない現実があるので、保護者同士が知り合うことが大切になってくるんです。
フルタイムで働いているママの場合は、ナニーさんや子育てを手伝ってくれるおじいちゃん、おばあちゃんが他の保護者と連絡を取り合って、プレイデートの段取りをします。
自分の子どもが何度もプレイデートする友達の保護者とは話す機会が増えるので自然と仲良くなるし、コーヒーモーニングなどで知り合ってなんとなく気が合う人とは別の機会に会って、「ママ友」から「友達」になっていきます。
上で述べたように、毎年クラス全員のママたち(パパもけっこう入っています)とクラスのチャットグループで知り合うので、その中から一人や二人は気が合う人がいるもの。子どもの友達の保護者とのつながりは、大人になってからの友達作りにも一役買っています。
参加したくないときや気が合わないママ友とは
とはいえ、グループで会うのが苦手な人もいるし、保護者の中には気の合わない人がいることも。でも個人主義の考え方が強いイギリスのママ友関係では「Live and let live.(人は人、自分は自分)」の考え方が徹底しています。
「参加したい人が参加したい(できる)ときに参加すればいいだけ」「気が合わない人とは深く付き合わなければいいだけ」という考え方が基本にあるので、「行けない、行きたくない」ときはいちいち気にすることなく断るだけ、という感じで淡泊です。
また、田舎でも多国籍率が高くて多文化が共存するイギリスでは、人と接するときには「お互いの考え方や対応が違っていて当たり前」という前提があります。それぞれが「違う対応をして当たり前」と思って接し合うので、「合わせないとダメ」という考え方がなく、そのおかげで他のママやパパとの付き合いが窮屈にならずに済んでいます。
丁寧語は○○の表れ!?
紳士・淑女の国らしく(?)イギリス英語はアメリカ英語などに比べると言い方が丁寧だし、婉曲的な表現を好みます。けれど、必要以上に礼儀正しく丁寧な言い方をしてくるママ友がいたら「私はあなたと距離を置いています」という暗示かもしれません。丁寧言葉で壁を作ってくるとは!
でも、前述のように個人主義が徹底しているイギリスでは、誰かが距離を置いてくることはこちらを否定しているわけでも悪意があるわけでもなく、ただただその人の「人付き合いのスタンス」。「いちいち傷つくことなく適度な距離をとる」のがイギリス流です。
顔見知りなのに挨拶なし!
余談になりますが、筆者の家族がスペインからイギリスに引っ越した当初、顔見知りなのに会っても挨拶を返してこないイギリス人ママに続けて遭遇したことがあります。
初めはその「無視」加減におののきました。しかし慣れてくると、イギリス人の中には初対面では距離を取りたがる人がいることや、その人のことが分かるまでは馴れ馴れしくしたくないといった、無視する(ように映る)理由が自分とは全く関係ないことだと分かりました。
「たまたまその日機嫌が悪かった」「天気が悪いから気分が乗らず、挨拶しない」なんて人も(笑)。
それに案外打ち解けるのに時間がかかることが多いイギリス人の「国民性」が分かってきたら、「相手の反応を気にしてもしょうがない」と理解し、挨拶をしないママ友には「That’s your problem(それはあんたの問題やしね)」と思うようになりました。
慣れてしまうと、気分が乗らないときは無愛想でもオッケーで、無理して合わせる必要がないイギリスでのママ友付き合いは非常に楽だなと感じています。誰とでも仲良くならない分、ママ友とのトラブルがあまりないのかも。なんでも一長一短ですよね。
「子育ては自分育て」といいますが、イギリスでのママ友関係は、私にとっては「人はみんな違うんだ」と思い出させてくれる絶好の機会になっています。世界中のママさん、パパさん、今日もマイペースでお互いがんばりましょう~!
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