イギリスの祝日って英語でなんて言う?1年にたった8日しかない貴重な祝日の祝い方【世界のバズワード】

日本に比べて海外は祝日が少ないと聞いたことはありませんか?イギリスもその通りで、一年のうち祝日はなんと8日!そしてその祝日を特別な言い方で呼びます。5月に祝日関連のワードがバズった理由なども併せて、現地在住ライターが詳しく紹介します。

イギリス版「祝日」の名前の由来

イギリスで5月を通してバズっていたワードは、#BankHoliday

「バンクホリデー(bank holiday)」は直訳すると「銀行休業日」。とはいえイギリスのバンクホリデーは銀行で働く人だけが休むのではなく、政府や公立機関、一般企業など基本的にどの職業の人も基本的に休みになる。というのもイギリスでは祝日のことをbank holidayと呼ぶからだ。

そもそも、なぜ国が定める祝日をpublic holidayではなくbank holidayと呼ぶのかというと、1871年に制定された「バンクホリデー・アクト(Bank holiday Act、銀行休日法)」という銀行法に由来している。当時、ヴィクトリア朝にあったイギリスは産業革命の真っただ中。銀行で働く人たちは業務に追われて休日といえども休みを取ることが難しかった。その状況を受け、「銀行員をお休みさせる日を制定しよう」と、銀行業務を休止する措置を取るバンクホリデー・アクトが制定され、バンクホリデーが生まれたのだ。

でも、「銀行が休むとお金が動かないから他の仕事もできない!」ということで、銀行以外の業務でもお休みを取り始め、銀行の休みがだんだんと「国民の祝日」となっていった。というわけで今ではイギリスでは祝日を「バンクホリデー」と呼ぶようになったのだ。

なぜ5月のイギリスで#BankHolidayがバズったのか?

イギリスのカレンダーでは、5月最初の月曜日に「アーリー・メイ・バンクホリデー(Early May bank holiday)」、5月最後の月曜日に「スプリング・バンクホリデー(Spring bank holiday)」と、5月にバンクホリデーが2回ある。

イギリスの5月といえば寒くて長かった冬が終わり、ようやく気温が上がってくる明るい季節。5月のバンクホリデーはお天気に恵まれることも多いので、友達と集まってバーベキューをしたりビーチでピクニックをしたり、自然の中でウォーキングをしたりと活動範囲が広がるので、イギリス人が最も楽しみにしているバンクホリデーと言える。というわけでメイ・バンクホリデー(5月の祝日)はただでさえ毎年盛り上がるのだが、今年は5月6日にチャールズ国王の戴冠式が執り行われて5月8日(月)が臨時にバンクホリデーとなった。つまり、5月に3回もバンクホリデーがあったのだ!

そのウキウキを反映して、5月を通して#BankHolidayのハッシュタグがツイートされ続けたというわけだ。#bankholidayweekend#BankHolidayMonday#bankholidayvibesといった関連ツイートも多く目についた。

Twitterでも連続するバンクホリデーに喜ぶハッピーなツイートが多かった。

Good morning Happy #BankHoliday Monday everyone
(おはようございます!皆さんすてきなバンクホリデーの月曜日を)

It’s a beautiful bank holiday weekend.... what are you up to?
(素晴らしいバンクホリデーの週末です・・・皆さん何をしていますか?)

ちなみに、バンクホリデーの日はスーパーなどの店舗は営業するが、時間は短縮され、バスや電車などの交通機関では日曜ダイヤが適用されるので注意が必要だ。

連続するバンクホリデーの喜びさえ皮肉に代えるのがイギリス流

今年のイギリスでは5月に3回のバンクホリデー、つまり3連休が3回もあったのだから、どれだけ人々が喜んでいたか察していただけると思う。連続するバンクホリデーが嬉しすぎてTwitterではその喜びをイギリス人らしく皮肉に代えて表現していた。

Him: Good Morning Sir. There have been so many bank holidays recently that I have run out of outfits for you!!
(彼:おはようございます。 最近は祝日が多いから外出する洋服がなくなってしまいました!!)

I’ve been out every night since Thursday. Not sure if I’m proud or ashamed. I never want three bank holidays in one month again.
(木曜日から毎晩外出しています。誇っていいのか恥じるべきなのか分からない。1カ月に3回もバンクホリデーなんて、二度と望まない)

5月29日に5月最後のバンクホリデーが終わるときには、連続するバンクホリデーが終わってしまうことを前に憂うつになる人も。そして次の8月のバンクホリデーを待ち望む声であふれた。

この後イギリスの祝日について述べるが、イングランドとウェールズでは次のバンクホリデーは8月29日。休むことに慣れ切ってしまった今、バンクホリデーがない6月と7月をどう過ごせばよいのだろう・・・。Twitterで週4日勤務制度を議論する声まで上がっていたのもうなずける。

We think people should have the choice to have Mondays off work every week, not just on bank holidays. It’s time for a 4-day work week without loss of pay
(バンクホリデーだけじゃなく、毎週月曜日を休みにする選択肢を持つべきだと思う。給料を下げずに週4日勤務の時代が来た)

What are we going to do when it’s June and there isn’t any bank holidays. And don’t even get me started about July. We should have two bank holidays every month of the year without question. I seriously do not see any downsides to this.
(バンクホリデーがない6月になったらどうしたらいいのでしょう。7月なんて一層考えられないから、言わせないで。疑問の余地なく、年間を通じて毎月2回、祝日を設けるべきだ。それに対して何のマイナス面も見当たらない)

ホリデーブルーになる人も!?

今年のイギリスは5月になっても気温が上がらず月の前半はまだ肌寒かった。けれど5月末の3回目のバンクホリデーの頃には日中の気温は20度超え、気持ちの良い晴天が続いて、「アーリーサマー(Early summer)がやってきた!」と多くの人が太陽の光を浴びながら3連休を楽しんだ。

といわけで、バンクホリデーが終わる月曜日の夜や火曜日には反動も大きく、気持ちが落ち込んでしまう「バンクホリデー・ブルー(#bankholidayblues)に襲われてしまった人も・・・。

The moment you remember you have to go back to work
(仕事に戻らなければならないことを思い出した瞬間)

イギリスは祝日が一年にたった8日だけ!

ここで、イギリスの祝日に触れたい。「海外は祝日が少ない」と耳にしたことがあるかもしれないが、イギリスも例外ではない。イギリスの祝日はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドで統一された祝日と、それぞれの地域によって違う祝日があるのだが、どこの地域でも総じて祝日は一年に8~11日しかないのだ。

以下にイングランド(イングランドとウェールズは祝祭日が同じ)の祝祭日と、バンクホリデーを見てみよう。

  • 1月1日 (ニュー・イヤーズ・デイ、New Year’s Day)
  • イースター直前の金曜日 (グッド・フライデー、Good Friday)
  • イースター直後の月曜日 (イースター・マンデー、Easter Monday)
  • 5月最初の月曜日 (アーリー・メイ・バンクホリデー、Early May bank holiday)
  • 5月最後の月曜日 (スプリング・バンクホリデー、Spring bank holiday)
  • 8月最後の月曜日 (サマー・バンクホリデー、Summer bank holiday)
  • 12月25日 (クリスマス・デー、Christmas Day)
  • 12月26日(ボクシング・デー、Boxing Day)

このように一年にたった8回しか祝日がない。今年はチャールズ国王の戴冠式のおかげで臨時のバンクホリデーがあったが、それでも年間祝日数は9日。一年に9回しかないバンクホリデーが5月には3回もあったのだから、#BankHolidayのハッシュタグが盛り上がったのもうなずける。

実は他にも休みはある

祝日が年間16日ある日本の基準からすると、「祝日が1年に8、9回しかないなんて!」と驚かれるかもしれない。そして、「ええっ、イギリス人ってそんなに働くんですか?」と仰天してしまうかもしれない。

いやいや、決してそんなことはなくて、イギリスでは日本にはない休みが山ほどあるのだ。

会社で働いている人でいうと、13週間継続勤務を行った労働者には有給休暇が付与されることになっているのだが、「有休取得可能日数は、(週の勤務日数)×5.6日」(1年間最大28日まで)、つまりイギリスの有給は一年で25~28日ほどあり、有給休暇取得率は84%。筆者の周りの友人たちは「有給休暇は権利」と考えて、1年で全ての有休をしっかり消化している。祝日は日本の方が多いが有休はイギリスの方が多いし、その有休をしっかりと取っているのだ。

それでは子どもたちはどうだろう?大人は有休をとれるが、子どもたちは少ない祝日で疲れないのだろうか?

それも心配ご無用。イギリスの学校制度は日本と同じく1年を三つの学期(term)に分けて3学期制を取っているのだが、日本のように1学期を通して授業を行うなんてことはなく、学期の間に「ハーフ・ターム(Half Term)」という1週間の「中休み」がある。つまり幼稚園から高校生までの子どもたちは学期の間にまとまった休みを取っているのだ。

イギリスでは祝日は少ないが、大人は有休をしっかり使って休んでいるし、子どもには「ハーフ・ターム」があるので、割としっかり休めていると言える。

最後に、過ぎ去ってしまったバンクホリデーを惜しみながら、5月最後のバンクホリデー中に広がったイギリスの青空(めったにない)の様子をお裾分けして終わりにしたい。

Absolutely beautiful evening for a stroll to see cricketers in the local park
(地元の公園でクリケットをしている人たちを見ながら散歩するのにぴったりな美しい夜)

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ボッティング大田朋子
ボッティング大田朋子

イギリス在住ライター。アメリカ、ドイツ、インド、メキシコ、アルゼンチン、スペインに住み2016年よりイギリス在住。執筆書籍に『値段から世界が見える! 日本よりこんなに安い国、高い国』(朝日新書)、『ビックリ!!世界の小学生』(角川つばさ文庫)、『大好きに会いに行こう』(サンクチュアリ出版)等がある。 2017年から文部科学省検定済教科書(小・中学校外国語科)制作に参加中。世界100カ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。ブログ「世界が拠点な生き方・子育てブログ

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