アメリカ人に伝えづらい!「ゴールド免許」の意味と価値【自動車関連の和製英語】

「和製英語は面白くて魅力的!」そう力説するアンちゃんが今回取り上げるのは、自動車や自動車免許関連の和製英語です。「ゴールド免許」は英語でなんて言えばいいのでしょうか。

ゴールド免許を自慢したい・・・けど

私には自慢したいことがあります。それは、ずっと「ゴールド免許」を持っていることです。一度も警察に違反切符を切られたことがありませんし、事故を起こしたこともありません。

でも、「ゴールド免許」に関しては、問題が一つだけあります。それはこの言葉を英語で言えないことです。なぜかというと、この制度が英語圏にはないからです。

私がいつも言っていることが、ここでもはっきりと見えます。つまり、その文化に概念がなければ、当然、その概念を表す言葉もないということです。「ゴールド免許」は立派な和製英語なのです。

日本と同様、アメリカでも交通違反を犯したら点数が加算されます。でも、それによって免許の色が変わることはありません。免許証を見るだけでは、あなたがどんなに優れている運転手かを知ることはできません。だから、常に安全運転を心がけてことをアメリカ人に自慢することは難しいです。「ゴールド免許」と一言で言うことはできず、とても長い文章で説明する必要があります。

In Japan, I have a gold-colored license, which means that for a while I haven’t gotten any tickets or caused an accident leading me to add points. As a result, the lectures are really short when I renew my license and insurance rates are cheap, too.

日本で私は金色の免許証を持っています。これは違反切符を切られたり、反則点数が加算される事故を起こしたりしていないことを意味します。その結果、免許更新の際の講習時間がとても短くなったり、保険料が安くなったりもします。

長っ!!

「ペーパードライバー」も面白い単語の一つです。アメリカでMy friend is a paper driver.と言っても、相手に意味が伝わるはほぼゼロです。もしかしたら、相手は「新聞の配達する仕事をしている」と思うかもしれません。

なぜ、ペーパードライバーの意味が伝わらないのでしょう?これもゴールド免許の例と同じで、そもそもアメリカにはペーパードライバーが存在しないからです。

アメリカでも、都会に住んでいる人で、必要がなくて車を持っていない人はたくさんいます。しかし、日本のペーパードライバーの意味は、それとは違いますよね。日本のペーパードライバーの多くは、免許は持っているけれど「自信がなかったり、怖かったりして運転をしない人」です。自信あふれる人ばかりのアメリカには存在しないタイプです。

車関連の言葉は面白いです。和製英語があふれています。今日は、それについて話したいと思います。

では、始めましょう!

自動車は和製英語の宝庫

和製英語が特に多いのは、車の部分を表す言葉です。

まず「フロントガラス」。これは、意味がよく分かるすてきな和製英語だと思います。なぜならその言葉通り、「車の前にあるガラス」という意味だからです。しかし、残念ながらこれは英語ではありません。英語ではwindshieldといいます。意味は「風を防ぐ物」です。

The windshield is filthy, so I can’t see anything!
フロントガラスとても汚くて何も見えない!

次に「ハンドル」です。英語でhandleと言うと「取っ手」の意味になります。車の「ハンドル」はsteering wheelです。カタカナでもたまに「ステアリング」という言葉を聞くことがあります。steeringの意味は「物をコントロールすること」です。ちなみに自転車の「ハンドル」は、英語ではhandlebarsと言います。

Hold the steering wheel with both hands!
運転している間は、両手でハンドルを握ってください!

You wrecked your bike because you weren’t holding on to the handlebars, didn’t you?
自転車事故の原因は、あなたがハンドルを握っていなかったからでしょう?

以前の記事に書いたこともありますが、もう一度言わせてください!私が一番好きな和製英語は「ハンドルキーパー」です。「ハンドル」も「キーパー」も和製英語ですが、それをうまく組み合わせた、意味がとてもよく伝わる言葉だと思います。

でも、東京などの都会に住んでいる人は、この立派な和製英語を知らないかもしれません。「ハンドルキーパー」は「運転の代行」という意味です。お酒を飲む場に出かけるときに、お酒を飲まずに運転をしてくれる人を指す言葉です。電車やタクシーなど公共交通機関が豊富な場所では車で飲みに行く必要がありませんから、この言葉を知る機会も多くないですね。

「ハンドルキーパー」は英語でdesignated driverと言います。直すると「指定された運転手」という意味です。

I’m the designated driver today.
今日は、僕はハンドルキーパーだ。

さて、関連の和製英語はほかにもたくさんあります。その一部をリストアップしておきます。

  • サイドブレーキ:parking break
  • サイドミラー:passenger-side mirror、side-view mirror
  • バックミラー:rearview mirror
  • ブースターケーブル:jumper cables
  • ウインカー:blinker、turn signal
  • チャイルドシート:car seat
  • ジュニアシート:booster seat

バッテリーはなぜ「上がる」?

私はずっと、My battery is dead.という状態をどう日本語で説明したらいいかが分かりませんでした。直訳すると「バッテリーが死んだ!」となりますし、もしかしたら、私自身「バテリーが死んだ!」と言ったことがあるかもしれません。

日本語ではなぜ「バッテリーが上がった」とか「バッテリー上がり」と言うのでしょう。これを英語にするとMy battery went up.でしょうか?変ですね。

「スマホの充電が切れた」も、英語ならMy battery is dead.やMy phone is dead.と言います。deadは充電が切れたときや、物が壊れたときによく使う言葉です。

I can’t contact you because my phone is dead.
スマホの充電が切れたから、連絡が取れない。

My TV died yesterday, so I need to buy a new one.
昨日、テレビが壊れたから、新しいのを買わなければならない。

バッテリー上がりのときには、ブースターが必要です。英語ではjumper cablesやjump starterと言います。「ジャンプスタートする」という動詞なら、jumpやjump-startを使います。

My battery is dead, so could you please jump-start my car?
バッテリーが上がってしまったので、車をジャンプスタートしてもらえませんか?

「スピード違反」も面白い言葉だと思います。日本語と英語とでは表現が違うから直訳はできませんが、英語には次のような言い方があります。

I was caught speeding yesterday.
昨日スピード違反で捕まった。

I have never gotten a speeding ticket.
スピード違反で切符を切られたことがない。

Speeding is so dangerous.
スピードを出しすぎると危ないよ。

「違反切符を切られる」は英語でget a ticketと言います。

「ながら」の意味はwhile?

そういえば、昨年12月から「ながら運転」の法律が厳しくなりました。違反点数は3で、反則金1万8000円を払わないといけません。

この「ながら」について最後に話したいと思います。「ながら運転」にしても「ながらスマホ」にしても、やってはいけないことですが言語的に面白いと思っています。

日本語を勉強している人は、「〇〇をしながら、△△をする」というパターンを習います。

I do my homework while watching TV.
テレビを見ながら、宿題をする。

Don’t read while eating dinner!
晩ご飯を食べながら、本を読まないで!

このように教えられるので、私は「ながら」は英語の接続詞whileだとずっと思っていました。でも、ある日「ながらスマホ」という表現を目にしました。そのときに思ったのは、「何をしながら?動詞がない!」ということでした。調べてみると、この「ながらスマホ」は「歩きながらスマホを使うこと」という意味でした。

日本語は難しい・・・。

まとめ

日本の日常生活には、和製英語があふれています。本当の英語と和製英語を区別するのは難しいかもしれませんが、言葉への好奇心さえあれば、誰でもすぐに見分けられるようになると思います。

カタカナ言葉を耳にしたときに「それは英語?和製英語?それとも英語ではない外来語?」と考え、調べるようにしてみましょう。常にアンテナを張っていれば、言葉に敏感になります。言葉に敏感になった結果として得られるのは「成長」です。成長を求めながら言葉の勉強を楽しむ!これこそ立派な「ながら勉強」だと思いませんか?

アン・クレシーニ
アン・クレシーニ

アメリカ生まれ。福岡県宗像市に住み、北九州市立大学で和製英語と外来語について研究している。著書に『アンちゃんの日本が好きすぎてたまらんバイ!』(合同会社リボンシップ)。自身で発見した日本の面白いことを、博多弁と英語でつづるブログ「アンちゃんから見るニッポン」が人気。Facebookページも更新中! 写真:リズ・クレシーニ

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