北九州市立大学で教員として働くアメリカ人のアンちゃんが、病院で使える英語を紹介するコラム。第四回は「妊娠」にまつわるお話です。日本とアメリカの妊娠、出産に対する考え方の違いや、クリニックで使える英語フレーズを教えていただきます。
病院で使える英語を学ぼう
私が日本に来てから、17年が経ちました。
私は日本語がペラペラですが、たくさん病気をし、子どもも日本で産んだので医療用語にはとても詳しいと思います。病気を患っている間はとても辛かったですが、その経験がみんなの役に立つならうれしいです。
病院で役に立つ英語の医療用語をみなさんに教えたいと思います。さ、始めましょう!
日本とアメリカでの妊娠や出産制度の違い
私は、日本の産婦人科クリニックで赤ちゃんを3人を産みました。だから、日本でのお産についてはよく知っています。
逆にアメリカでは赤ちゃんを産んだことがないけん、いろいろな友達からアメリカでの妊娠とお産 に関して 聞いてみたら、日本との違いが半端ないことに気づきました。その違いについて書かせてね。
まず、妊婦健診での超音波の回数が全然違います。
アメリカでは、リスクがあまりない妊娠なら、赤ちゃんの成長を確認するための超音波の回数は10カ月間で1、2回しかしないです。 それ以上は、保険が適用にならないことが多いからです。成長の確認をする機会が 少ない から、パパが有給を取って妊婦健診に付き添う、ということもよくあるんですよ。
日本では、妊婦検診が毎月2~4回ほどあり赤ちゃんを見る機会がたくさんあるから、ほとんどのママは超音波の専門家になるバイ。
次に、産み方。
日本では、「できるだけ自然に産むこと」を大事にしている 傾向 がありますね。お産は実際「鼻からスイカ」以上に痛かったです!でもその痛みを乗り越えられたら、「よしっ!お母さんになったバイ!」みたいな感じですね。
アメリカでは、「赤ちゃんが無事に産まれること」をゴールにしています。だから、無痛分娩や帝王切開も普通にしますし、約7割のお産は無痛分娩です。また、アメリカでは無痛分娩が保険でカバーされていますが、日本では健康保険の適用外なのでプラス料金がかかります。
産婦人科関連の頻出英語フレーズ
妊娠の症状に関する英語フレーズを紹介します。
I’m having terrible morning sickness.つわりがひどい。
I feel sick when my stomach is empty.私は食べづわりだから、食べないと気持ち悪くなる。「食べづわり」のようなひとつで言い表せる英単語はありません。
I am going to measure the size of the baby.赤ちゃんのサイズを測ります。
I am on bed rest .ベッドで安静にしている。
I am having contractions.陣痛がきています。How far are they apart?
(陣痛は)何分間隔ですか。I'm having contractions ten minutes apart.
10分間隔です。
My water just broke .さっき破水しました。
I want an epidural.無痛分娩にしてください。
Don’t push!いきまないでください!
You need to have a C- section because they baby is in distress .赤ちゃんが危ないので、帝王切開しなければならない。
I want to sleep in the same room as my baby.今夜、赤ちゃんと同室にしたい。
You should put your baby to sleep on his back.赤ちゃんを仰向けで寝かせたほうがいい。
I’m producing a lot of milk.母乳がよく出る。
ちなみに 、アメリカでは妊娠中に12~16キロ太っても問題ないと病院で言われます。でも、それ以上増える人が多いです。
日本は、増えて10キロくらいまでで、体重増加にバリ 厳しい !私が出産した病院はそうでもなかったけど、もっと 厳しい 病院もたくさんあるらしいですね。
産婦人科関連の頻出英単語集
妊娠に関連する英単語もチェックしてみましょう。
- 妊娠: pregnancy
- 出産:childbirth
- つわり:morning sickness
- 陣痛:contractions
- 未熟児:premature baby
- 新生児:newborn baby
- 自然分娩:natural childbirth
- 無痛分娩:epidural (block)
- 授乳:nursing / breastfeeding
- 母乳:breast milk
- 粉ミルク: formula
- 超音波:ultrasound examination / inspection
- むくみ: swelling
- 妊娠前期:first trimester
- 妊娠中期:second trimester
- 妊娠後期:third trimester
- 子宮:womb/uterus
- 出血:bleeding
- 生理:menstrual cycle/ period
- 流産:miscarriage
- 死産:stillbirth
- 産婦人科医:obstetrician
- 助産師:midwife
- 子宮ガン検診:pap smear
- 不妊治療:fertility treatment
- 妊娠中毒症:preeclampsia
日本とアメリカの産後の過ごし方
日本では大体、産後4~6日間入院します。その間に、授乳などの悩み相談もできます。
アメリカでは翌日退院が多く、すぐ日常生活に戻ります。特に、上の子がいればその子の面倒や習い事で忙しくなります。母が手伝いに来てくれることはあるけど、日本みたいに、産後しばらく自分の実家にお世話になる、ということはあまりありません。
それは、夫と生まれたばかりの赤ちゃんとの時間を楽しみたいことや、 すぐに 仕事に復帰する人も多いから、長期間休むことが難しいです。
日本人は、母体をすごくいたわります。まだまだ体力がないから、しばらくは実家に帰って親の手を借りつつ安静にし、赤ちゃんに100%集中します。
私は1人目のときは、産休を6カ月取ったけど、下の2人は6週間くらいでした。私の母は、3日しか取っていません。弟を金曜に産んで火曜日に復帰しました(笑)。すごくない?
文化の違いは面白いやろう?
日本では、産休と育休を併せて一年間以上取る権利があります。けれど、アメリカでは、12週しか取る権利がありません。だから、長く休みたくても、休めないケースは多いと思います。
日本の出産制度は素晴らしいと思う。 安心 して妊婦生活を過ごし、 安心 してお産もできます。
でも正直に言うと、無痛分娩という選択肢があることを、もっと妊婦さんに知らせた方が良いと思います。
なぜなら、私が入院しているときに「陣痛が痛すぎて、トラウマになった」というお母さんに会ったから。そういう人は、無痛分娩を考えた方がよかろう?
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日本では当たり前に使っているけど英語ではない、面白い和製英語について紹介するコラムです。
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文:アン・クレシーニ Facebook
アメリカ生まれ。福岡県宗像市に住み、北九州市立大学で和製英語と外来語について研究している。自身で発見した日本の面白いことを、博多弁と英語で綴る「 アンちゃんから見るニッポン 」も 更新 中!
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