時間がなくてTOEICの勉強ができません。スキマ時間の活用法は?

TOEIC指導の専門家・ヒロ前田さんが、学習者の悩みに答える連載「TOEIC学習お悩み相談室」。今回は、「やる気はあるのに、時間がなくてTOEICの勉強ができない」という相談を取り上げます。スキマ時間を学習に生かすには、どのように考えればよいのでしょうか。

今回の相談

やる気はあるのですが、時間がなくてTOEICの勉強ができません。スキマ時間の活用法を教えてください。
 
――会社員(20代・男性)

まず確認したいこと

「時間がない」の中身を見直す

「時間がなくてTOEICの勉強ができない」。そう感じることは、忙しい会社員であれば珍しくないでしょう。

ただ、まず確認したいのは、「時間がない」と言うとき、その中身がどのようなものなのかということです。

本当に1日の中に学習に使える時間がまったくないのか。それとも、勉強に使えそうな時間はあるものの、まだ学習時間として意識できていないのか。この2つは大きく違います。

スキマ時間は、いつか突然発生するものではありません。通勤中、昼休み、移動時間、待ち時間、帰宅後の少しの時間など、毎日の生活の中にすでに存在していることが多いものです。

まずは、「時間がない」と考える前に、日々の行動の中にどのような短い時間があるかを見直してみることが大切です。

スキマ時間は「追加の学習時間」と考える

スキマ時間を活用するうえで、もう一つ確認したいことがあります。

それは、スキマ時間だけでTOEIC学習のすべてを完結させようとしないことです。

スキマ時間は、学習時間を増やすための大切な手段です。ただし、2時間の模試を解いたり、まとまった復習をしたりするには、ある程度連続した時間も必要です。

つまり、スキマ時間は「メインの学習時間の代わり」ではなく、学習量を増やすための追加時間として考えるとよいでしょう。

短い時間を上手に使えるようになると、英語に触れる回数が増えます。その積み重ねが、結果としてTOEIC学習全体を支える力になります。

スキマ時間の見つけ方

勉強可能な時間を探す

まずは、平日の中で勉強に使えそうな時間を探してみましょう。

会社員の場合、生活の中にルーティン化した行動があるはずです。電車通勤であれば、家から駅まで何分かかるでしょうか。電車には何分乗るでしょうか。帰宅時の移動時間も含めると、どれくらいになるでしょうか。

これらを合計して60分に達するなら、かなり有望です。

仮に1日あたり1時間を学習に使えれば、平日だけで週5時間、月20時間、年240時間になります。1日単位では短く見えても、積み重ねれば大きな学習時間になります。

通勤時間のすべてを勉強に使う必要はありません。まずは、そのうち10分、15分だけでも英語に触れる時間にできないかを考えてみます。

勉強時間を作り出す

次に、すでにあるスキマ時間を探すだけでなく、学習時間を作り出すことも考えてみましょう。

例えば、出勤時刻を15分だけ早めることはできないでしょうか。これにより、会社に着く前、または着いてからの15分を学習に使えるかもしれません。

昼休みも候補になります。60分のうち、10分だけを勉強に回すことはできないでしょうか。もちろん、仕事の都合でまったく確保できない日もあるはずです。その場合は、できる日だけで構いません。

退社後、駅から家に帰るまでの間に、カフェのような場所はありますか。もしあるなら、その場所を勉強スペースとして使う方法もあります。毎日でなくても、週に数回、30分だけ立ち寄るだけで学習時間は増えていきます。

こうして考えると、スキマ時間は「見つけるもの」であると同時に、「作り出すもの」でもあります。

スキマ時間に向いている学習

学習単位を小さくする

スキマ時間を合計すれば、かなりの時間になります。ただし、短い時間で効果的に学習するには、学習単位を小さくする工夫が必要です。

例えば、TOEICの模試に初めて取り組む場合、スキマ時間の学習にはあまり向きません。模試は2時間ノンストップで取り組むのが基本だからです。

一方で、すでに解いたことがある模試の復習には、スキマ時間を活用できます。

間違えた問題に再チャレンジする。Part 3やPart 4のスクリプトを見ずに音声を聞く。Part 5の文法問題を数問だけ解く。このような学習であれば、短い時間でも取り組みやすいでしょう。

スキマ時間には、短い単位で始められ、途中で区切りやすい学習が向いています。

反復しやすい教材を使う

スキマ時間の学習では、反復しやすい教材を選ぶことも大切です。

電車の中や昼休みの学習では、どうしても集中が途切れやすくなります。そのため、1回取り組んだだけで完全に覚えようとするより、3回、5回と繰り返すことを前提にした方がよいでしょう。

同じ教材に繰り返し取り組み、完全にマスターしてから次の教材に移る。その方が、結果としてスコアアップにつながりやすくなります。

Part 5の問題集、単語やフレーズの音声、すでに解いた模試の復習などは、スキマ時間との相性がよい学習です。

大切なのは、「短い時間だから少ししかできない」と考えるのではなく、「短い時間だからこそ、何度も繰り返す」と考えることです。

まとまった学習時間も確保する

連続2時間以上の学習時間も必要

スキマ時間を上手に使うことは大切ですが、それだけで十分とは言えません。

TOEIC L&Rテストは約2時間の試験です。リスニングとリーディングを続けて解くため、英語を聞き続ける力、読み続ける力、集中力を保つ力も必要になります。

そのため、スキマ時間だけでなく、連続して2時間、またはそれ以上、英語を聞いたり読んだりする時間も確保したいところです。

少なくとも週1回は、スキマ時間ではなく、まとまった時間を使って学習する日を作るとよいでしょう。

平日はスキマ時間で英語に触れる。週末や比較的余裕のある日に、模試やまとまった復習に取り組む。このように役割を分けると、短い時間と長い時間の両方を生かしやすくなります。

スキマ時間は、忙しい人にとって強い味方です。ただし、それは「少ししか勉強しなくてよい」という意味ではありません。

短い時間を積み重ねながら、ときどきまとまった時間も確保する。その組み合わせが、TOEIC学習を続けるうえで大切です。

ヒロ前田さんの本

ヒロ前田
ヒロ前田(ひろ まえだ)

TOEIC受験力UPトレーナー。神戸大学経営学部卒。2003年5月に講師として全国の企業・大学で指導を開始。TOEICを教える指導者を養成する講座でもトレーナーを務める。TOEICの受験回数は100回を超え、47都道府県で公開テストを受験する「全国制覇」を2017年5月に達成。取得スコアは15点から990点まで幅広い。著書・監修書に『TOEIC(R) L&Rテスト 文法・語彙・語法 あがる1000問』『TOEIC(R) L&Rテスト 究極の模試600問+』『TOEIC(R) L&Rテスト 基本例文990選』『改訂版TOEIC(R)スピーキングテスト究極のゼミ』などがある。

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