TOEIC指導の専門家・ヒロ前田さんが、学習者の悩みに答える連載「TOEIC学習お悩み相談室」。今回は、「TOEICで950点を取れたので、次は990点満点を目指したい」という相談を取り上げます。満点に近づくには、どのような考え方で学習に取り組めばよいのでしょうか。
目次
今回の相談
先月のTOEICで950点(L495/R455)を取れました。990点を取る方法を教えてください。
――会社員(40代・男性)
まず確認したいこと
990点は「ほぼ全問正解」の世界です
TOEICで990点を目指すなら、まず確認しておきたいことがあります。
990点は、当然ながらTOEIC L&Rテストの満点です。つまり、リスニングとリーディングの両方で、ほぼ全問正解に近い結果が求められます。
あなたはすでに950点を取っています。リスニングは495点ですから、満点に届いています。一方、リーディングは455点です。ここをさらに引き上げる必要があります。
990点を取るための特別な近道があるわけではありません。
必要なのは、ミスを限りなく減らすことです。
語彙、文法、読解、設問処理、時間配分、集中力。どれか1つでも不安定だと、リーディングで満点に近づくのは難しくなります。
方法を探すより、弱点をつぶす
「990点を取る方法」と聞きたくなる気持ちは分かります。
ただし、950点まで到達している人に必要なのは、一般的なノウハウではなく、自分の弱点を正確に見つけて、1つずつつぶすことです。
例えば、リーディングで455点なら、次のような点を確認する必要があります。
- 時間は足りているか
- Part 5で文法・語彙の取りこぼしがあるか
- Part 6で文脈を読み違えていないか
- Part 7で根拠を見落としていないか
- 正解は選べても、判断に時間がかかりすぎていないか
- 難しい英文を正確に読み切れているか
この段階では、「たくさん問題を解く」だけでは足りません。なぜ間違えたのか、なぜ時間がかかったのか、どの種類の英文で理解が乱れるのかを細かく見ていく必要があります。
990点を目指す学習は、弱点を大ざっぱに扱わないことが重要です。
990点のさらに上を目指す
1200点を目指すつもりで学習する
990点を目指すなら、いっそ1200点を目指すつもりで学習してみてはいかがでしょうか。
もちろん、TOEIC L&Rテストに1200点というスコアは存在しません。ここで言う1200点とは、比喩です。TOEICが測定できる範囲を超えるような英語力を目指す、という意味です。
400点台や500点台から学習を始め、数年後に990点を取った人の中には、最初から大きな目標を掲げていた人がいます。
今のスコアの少し上だけを目指すのではなく、いきなり990点を目指す。周囲から見れば大きすぎる目標に思えるかもしれません。それでも、目指すものが大きければ、学習の視点も変わります。
あなたはすでに950点に到達しています。
ですから、990点を目指す資格は十分にあります。ただし、990点そのものを最終地点と考えるより、990点を余裕で取れる英語力を目指す方がよいでしょう。
TOEICの枠を超えた英語力を身に付ける
990点を余裕で取るためには、TOEICの出題形式だけに縛られない学習も必要です。
TOEICの問題集に収録されている英文は、長くても数百語程度です。一方で、新聞記事、ビジネス文書、エッセー、小説などを読めば、もっと長く、複雑な英文に触れることになります。
長い英文を読み続ける経験を積めば、Part 7の長文が相対的に読みやすく感じられるようになるでしょう。
リスニングでも同じです。
TOEICの音声は、プロのナレーターによる録音です。聞き取りやすく、一定の品質で作られています。現実世界の英語には、もっと多様な話し方があります。
ニュース、インタビュー、講演、YouTube、ポッドキャストなど、実際に使われている英語を聞くことで、TOEICのリスニングがこれまでより簡単に感じられるようになるかもしれません。
TOEICに出る英語だけでなく、TOEICより広い英語に触れることが、満点を狙う段階では大切です。
990点を目指す学習の考え方
リーディングの精度を上げる
今回のスコアを見ると、リスニングはすでに495点です。したがって、990点を目指すうえで最も大きな課題はリーディングです。
リーディングで満点に近づくには、速く読むだけでは不十分です。正確さが必要です。
Part 5では、文法や語彙の知識を迷わず使える状態にする必要があります。Part 6では、文脈を追いながら、文と文のつながりを正確に判断する力が求められます。Part 7では、本文の根拠を素早く見つけ、選択肢との微妙な違いを見抜く必要があります。
このレベルでは、「だいたい分かる」では足りません。
正解の根拠を説明できるところまで読むことが大切です。
間違えた問題だけでなく、正解した問題も確認しましょう。たまたま正解した問題、判断に迷った問題、時間がかかりすぎた問題には、弱点が隠れています。
長く読み、深く読む
990点を目指す段階では、TOEIC教材だけでなく、英語を長く読む練習も取り入れたいところです。
新聞記事、雑誌記事、ビジネス系のレポート、エッセー、小説など、自分が読み続けたくなる素材を選びます。
大切なのは、途中で投げ出さずに読み切ることです。
長い英文を読むと、語彙、構文、文脈、論理展開をまとめて処理する必要があります。これは、TOEICのPart 7にも生きます。
また、精読も必要です。
読みにくい文に出会ったら、なぜ読みにくいのかを確認します。語彙が原因なのか、文構造が取れていないのか、前後関係を見落としているのか。そこまで確認すると、読解力は少しずつ強くなります。
長く読むことと、深く読むことの両方を意識するとよいでしょう。
スコアに見合う英語力を目指す
990点を取ると、周囲が期待する英語力も高くなります。
「TOEIC満点なら、英語は何でもできるのだろう」と思われることもあるでしょう。もちろん、TOEIC L&Rテストだけで英語力のすべてが測れるわけではありません。
それでも、990点というスコアには強いインパクトがあります。
だからこそ、スコアだけを追いかけるのではなく、そのスコアに見合う英語力を身に付けることを目指したいところです。
TOEICで満点を取る力。長い英文を読み切る力。自然な英語を聞き取る力。必要に応じて話す力、書く力。そうした力を広げていけば、990点は単なる数字ではなく、英語力の一部として意味を持ちます。
あなたはすでに950点を取っています。ここから先は、TOEICの問題形式を極めるだけでなく、より広い英語力を伸ばしていく段階です。
990点を取ることだけを目標にするのではなく、990点を余裕で取れる力を目指す。
そのつもりで学習を続ければ、満点に近づくだけでなく、その先の英語力にもつながっていくでしょう。
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