英語の検定試験として、多くの人が最初に思い浮かべるのが「英検(実用英語技能検定)」。スピーキングの技能も測れる試験として、改めて注目している方も多いのではないでしょうか。まずは力試しから!と考えている方には、特に2級がお勧めです。TOEFLや英検などの指導に携わり、「完全攻略!英検2級」(アルク刊)を著書に持つ、神部孝さんに詳しく教えていただきます。
目次
英検2級とは?
英検2級は高校生の皆さんにとても重要な試験になります。大学入試英語成績提供システム(※1)に採用されたためです。
また、英語のレベルとして高校卒業レベルです。社会人の皆さん、定年退職された皆さんの学び直しを測定する最適な試験でしょう。それでは、2級を見ていきましょう。
※1 2020年度入試からセンター試験に代わって実施される「大学入学共通テスト」において、民間事業者等が実施する英語の資格・検定試験が活用される。大学入試センターは、これらの試験の活用を支援する仕組みとして「大学入試英語成績提供システム」を設け、システムへの参加申し込みを受け付けた。
4技能の能力を測る試験
英検2級は、リーディング(読む)、リスニング(聞く)、ライティング(書く)、スピーキング(話す)の4つの技能を測る試験です。従って、この4つの技能をバランスよく伸ばすことが合格への道です。
ライティングは2016年度から1次試験に導入され、リーディング、リスニングと同じ比重で評価されるようになりました。また、4技能のうちスピーキングだけは、2次試験で測定されます。
英検のスコア
英検は2016年度より、国際標準規格CEFR(セファール)に対応したCSE(Common for English)というスコア尺度に基づいて採点されるようになっています。CSEスコアで何点を取るかで合格・不合格が決まります。
成績表に、英語の4技能のスコアとトータルスコアが表示され、総合的な英語力と技能ごとの能力を知ることができます。
大学入試に英検を使う場合
大学入試に使う場合には「英検」2級に合格した事実だけでなくCSEのスコアが志望大学の基準を超えている必要があります。志望大学の入試案内をよく確認しましょう。
この点については、あとで詳しく述べます。
試験の合格点
1次試験
2級の場合、1次試験の最低合格点は1520点です。3技能の配点は以下のようになっており、合計点の1950満点中1520点を取る必要があります。
2016年から導入されたライティング試験は、苦手な人も多いかと思います。しかし、仮にリーディングとリスニングで満点を取っても、合計は1300点です。これだけでは1520点に届かず、不合格となります。ライティング対策をしっかり行うことが重要なのです。
2次試験
一方、2次試験の合格基準はどうなっているでしょうか。2次試験は、1次試験に合格した受験者だけが受けられるスピーキングの試験で、面接形式で実施されます。650点満点で、合格するには460点を挙げることが必要です。
試験の全体像をわかりやすくするため、表に整理してみました。
従来の1次試験・2次試験の個人成績表については、このようなものです。私の生徒の一人に、2級の個人成績表を見せていただきました。
ライティングが満点で素晴らしいです。このように「各セクションのスコア」と「英検バンド(合格点からの距離)」(※2)が書かれています。
1次試験の英検バンドは[G2+10]とあります。これは、かなり余裕で合格ということを意味します。2次の[G2+1]は、ギリギリ合格という意味です。
※2 2016年度に採用されたスコア尺度で、Gは「グレード(級)」を意味する。GPの場合は「準級」。合格基準スコアを起点に25点刻みにバンドが増減する。
「英検」2級合格者ができること
2級で要求されている技能(できること=Can-do)の目安を見てみましょう。
- 読む力:『週刊ST』などが読める。
※ 週刊ST https://st.japantimes.co.jp/ - 聞く力:日常会話に問題がなく、英語で行われる授業をある程度理解できる。
- 話す力:日常的なことを説明でき、自分の学校や会社の紹介がある程度できる。
- 書く力:学校行事や旅行などの出来事や、自分の学校や会社についてある程度書ける。
全体的に見て、海外旅行や学生間の国際交流ができる程度の能力が求められている、ということになると思います。
大学入試に使うとき
従来型では、1次試験の合格者のみが2次のスピーキング(面接)を受験しますが、大学入試に使う試験では、2次同時に行われます。
このため、1次試験の結果を確認してからスピーキングの練習をすることはできません。スピーキングを含めて十分に準備をしましょう。
採用されている英語の試験
大学入試英語成績提供システムでは、ケンブリッジ英検、実用英語技能試験(英検)、GTEC、IELTS、TEAP、TEAP CBT、TOEFL iBT、TOEIC L&R+S&Wなどの試験が採用されることになりました。
2級のCEFR(国際標準規格)
CEFR(セファール、Common European Framework of Reference for Languages)という語学力のレベルを示す国際標準規格の「B1」に相当するのが「英検」2級です。入学しようとする大学で必要とされているCEFRなどの値を調べてください。
英検の今後
2018年3月26日に、大学入試センターから「大学入試英語成績提供システム」に適している資格試験として、英検が確認されました。
「大学入試英語成績提供システム」の参加要件確認結果について (大学入試センターウェブサイト)
「大学入試英語提供システム」への参加要件を満たすため、公開会場実施(仮称)、一日完結型(仮称)、英検CBT(仮称)の各試験が行われることになりました。
試験の種類
英検2級は4つの試験に分かれます。分かりにくいですが、簡単にまとめると次のようになります。
大学入試英語成績提供システム対応の「英検」2級
4技能試験でスピーキングも同時に測ります。
- 公開会場実施(仮称) 受験者は高校3年生
- 一日完結型(仮称) 受験者は高校3年生
- 英検CBT(仮称) 受験者の年齢制限なし
最初の2つの形式について、浪人生の取り扱いは今後、大学入試センターが示す方針に従って検討するとのことです。
大学入試英語成績提供システム以外の目的のとき
- 従来型
リーディング、ライティング、リスニングの3技能を測る一次試験で合格後に、二次の面接試験を受験します。また、受験者の年齢制限はありません。
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