英検2級ガイドもいよいよ最終回。トリは2次試験の面接(スピーキング)です。対策として何をどのように行えばよいのでしょう。『完全攻略!英検2級』(アルク)の著者、神部孝さんに詳しく教えていただきます。
目次
英検2級の2次試験とは?
今回のテーマは2次試験の面接(スピーキング)です。
面接の攻略法
2次試験の面接は1次試験に合格した人たちが受験するのですから、レベルの高い受験者が受ける試験だと言えます。1次試験の前から、少しずつ面接の練習をするようにしましょう。
それでは、2つのポイントを見てみましょう。
1 英語を発声する練習
1次試験に合格してから準備していては、間に合わない可能性があります。ふだんから、練習問題を解いたら必ず問題文を音読するなど、英語を発声する練習をしておいてください。
2 正しい英語を話す
もう1つのポイントは、英語を話すことです。面接の練習をする生徒を見ていて感じるのは、簡単な英語表現の間違える人が多いこと。例えば、「芸術は大事ですか」という質問に対して、次のように答えたりします。
The other day, I went museum. Excellent and fantastic. I am happy. We would needed respecting art.
ライティングで頑張って文法ミスが減っても、スピーキングに手が回らなかったのでは意味がありません。次のように正しく表現できるように練習しましょう。
The other day, I went to the museum. The exhibitions were excellent and fantastic. I was happy. I thought that we need to respect artworks more seriously.
それでは、面接の概要を見ていきましょう。
面接の概要
点数配分
最初に面接の分野別の点数を見てみましょう。なお、現在は合格点は公開されていませんが、2016年に「英検CSEスコア」が導入されるまでは、19点とされていました。
各項目の内容
① リーディング(音読)
面接カードに書かれたパッセージの音読が採点されます。
② Q&A
4つの質問に答えます。内訳は以下のとおりです。
質問1(5点):①で音読したパッセージの内容に関する質問に答える。
質問2(10点):問題カードのイラストを見て、そのストーリー展開を話す。
質問3(5点):受験者の意見を求める質問 Agree or Disagree(賛否)
質問4(5点):受験者の意見を求める質問 Yes or No(是非)
③ アティチュード
入室から退室までのコミュニケーション態度が良い場合に点数が高くなります。テキパキと受け答えをするとよいでしょう。配点は小さいのですが、合格している人は高い点をもらっています。
練習では音声を録音して確認する
面接の練習を行う際には、必ず自分の声を録音しましょう。そして、聞き直してください。生徒にこう言うと、決まって「自分の声は恥ずかしいし、英語を間違えていると嫌だから、録音したくありません」と答えてきます。ずいぶんですね。その恥ずかしい、間違えている答えを採点する面接委員の身にもなってください。
録音した自分の声を聞くことによって、誤りに気づきます。そして、それを直すように努力してください。
問題カードのリーディング(音読)
それでは、音読とイラストのストーリーを見てみましょう。なお、面接委員との対話はすべて英語です。
英文パッセージと3コマのイラストが示されたカードを渡されます。問題カードを渡された後、最初に20秒の黙読時間が与えられます。
そして、音読するように言われます(日本語訳は省略します)。
聞き取りやすい音読の仕方
意味のあるフレーズ単位で区切って発音します。次のようなポイントで区切るとよいでしょう。
① ピリオドやコンマなどの句読点の後ろ
② and、but、althoughなどの接続詞やhoweverなどの接続副詞の前
③ 前置詞 の前
相手が聞き取りやすい発音をすることがポイントです。例えば、全体の発音がフラット(平坦)だと、聞いていて内容がわかりにくいです。次のような点を押さえておきましょう。
1 イントネーションを大事に
イントネーションとは抑揚のことです。重要な語句を強く読みます。He went to the hospital.(彼は病院に行った)では、hospitalを強く長く発音します。
2 ピリオドの位置を正確に
文と文の切れ目がはっきりしない発音をする人が多いです。ピリオドには文の終了の意味があります。 ピリオドの位置で必ず一呼吸 空けましょう。その際、ピリオドの直前の語の語尾をはっきり発音するようにしてください。
3 正しい区切りで
問題カードの文章を、例えば次のような区切りで発音すると、意味を取っていないと見なされます。
- inspired by / animation and / cartoon / characters
- clothing / market for young / women
この程度の長さであれば、一息で発音したいところですが、仮に区切るとしたら次のようになるでしょう。
- inspired / by animation / and cartoon characters
- clothing market / for young women
質問1:パッセージの内容に関する質問
パッセージの音読に続けて、その内容に関する質問を受けます。カードを見ながら答えましょう。
答える際、カードに書いてある文章をそのまま繰り返すと減点になります。自分なりにアレンジしましょう。
準2級までは、問題文中の文章をそのまま引用すれば満点です。しかし2級では、文章の趣旨を捉えて自分の言葉で答えることが大事です。
質問2:問題カードのイラストの説明
3コマのイラストを見てストーリーを組み立て、それを話す課題です。
面接カードの音読用のパッセージの下に描いてあるイラストについて、左から順に話を組み立てます。なお、イラストは音読用パッセージの内容と関係があり、パッセージの語句を使って話すことができます。
20秒間の準備時間の後に話を始めます。
ストーリーの作り方
吹き出しのせりふは直接話法で
イラストの吹き出しの中のせりふは、直接話法で伝えましょう。吹き出しの中の言葉を変化させる必要はありません。
One day, Kaori and Cathy were talking about the upcoming Halloween. Cathy said to Kaori, “We are going to have a Halloween party. Please come.”
適切な時制で
準2級では、イラストに描いてある状況を現在進行形で説明する課題が出されます。しかし、2級のイラスト問題では、出だしの文として指定されている英文が過去(進行)形で記述されているので、話す文の時制を過去にしてください。
Kaori went into the party room, and was surprised that all the guests were wearing kawaii fashion. Only Kaori was wearing a monster costume.
起承転結を考える
3コマとはいえ、起承転結を意識しましょう。
キャシーに誘われる
↓
パーティーに行って驚く
↓
服を借りて楽しく過ごす
このような展開です。
準備時間の20秒間で話の流れを完全に作り出すのは難しいかもしれませんが、できる限り、3コマ全部を見渡してストーリーを考えましょう。
3コマ目は、カオリがパーティーで会話を楽しんでいるところです。
Kaori changed into the princess costume and enjoyed talking with the other guests.
ストーリーの例
それでは例を見てみましょう(日本語訳は省略します)。
1コマ目
One day, Kaori and Cathy were talking about the upcoming Halloween. Cathy said to Kaori, “We are going to have a Halloween party. Please come.”
2コマ目
A week later at Cathy’s, Kaori went into the party room, and was surprised that all the guests were wearing kawaii fashion. Only Kaori was wearing a monster costume. Cathy offered to lend Kaori a princess costume.
3コマ目
An hour later at the party. Kaori changed into the princess costume and enjoyed talking with the other guests.
質問3:意見を求める質問 Agree or Disagree
4つの質問のうち最後の2つは、意見を問う問題です。
質問3は、ある意見に賛成するか、反対するかを問う問題です。回答はI agreeあるいはI disagreeで始めます。
面接委員の質問(日本語訳は省略します)
Some people say that TV commercials do not actually help consumers to decide which products they should buy.
回答例①(日本語訳は省略します)
I disagree. I often buy products after I see their commercials on TV. So, for me, TV commercials are helpful.
回答例②(日本語訳は省略します)
I agree. My mother can’t decide which product to buy because there are so many similar products on TV commercials. Thus, those TV commercials are not helpful.
質問4:意見を求める質問 Yes or No
質問4はYesかNoかを問う問題です。質問されたら、最初にYes.またはNo.を回答します。次に面接委員がWhy?/Why not?と尋ね、回答を促しますので、理由を続けてください。
面接委員の質問(日本語訳は省略します)
A lot of people listen to music players when they go to school or work. Do you think this is a good idea?
回答例①(日本語訳は省略します)
Yes.(― Why?)I can enjoy listening to music on the train, and I can relax. Therefore, it is a good idea to listen to music on the way to work or school.
回答例②(日本語訳は省略します)
No.(― Why not?)Although we can enjoy music, sometimes it is very dangerous if you listen to it while walking. Thus, it is not a good idea to listen to it on the way to work or school.
質問3と4のポイント
1 最初に立場をはっきりと
質問3では I agree. / I disagree.を、質問4ではYes. / No. をはっきり言います。
2 理由を述べる
それほど長くなくて構いませんが、はっきりした理由を述べてください。
3 結論を述べる
最後に2の理由から、賛成あるいは反対であると結論を述べます。接続詞(副詞)をうまく使えるように練習してください。therefore、thus、for this reason などでいいでしょう。
面接のアドバイス
面接の最後のアドバイスになります。
学生の方は先生に頼んで練習相手になってもらいましょう。社会人の方はオンライン教室などを有効に活用しましょう。
2次試験の合格率は8割程度と言われています(※1)。つまり、2割は落ちるわけです。手を抜かずに頑張ってください。
※1 2010年第2回二次試験合格率80.9%、『英検2級 過去6回 全問題集』(旺文社)より
英検のバーチャル2次試験
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ひと通り英検2級の攻略法を見てきました。小著『完全攻略!英検2級』の中から、さまざまなシチュエーションを抜粋しました。とても良いテキストだと思っていますから、皆さんもぜひ一度ご覧になってください。
みなさまの英語学習の一助となりますように!
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