TOEIC対策でTOEICと関係のない英語を読んでも効果はありますか?

TOEIC指導の専門家・ヒロ前田さんが、学習者の悩みに答える連載「TOEIC学習お悩み相談室」。今回は、「TOEICとは関係のないジャンルの英語を読んでも効果があるのか」という相談を取り上げます。英語を読む習慣を、TOEICスコアアップにつなげるには、どのように考えればよいのでしょうか。

今回の相談

とにかく英語を読むようにしていますが、TOEICに関係ないジャンルでも効果が出ますか?
 
――会社員(30代・男性)

まず確認したいこと

大事なのはジャンルではなく読み方

TOEICは英語のテストです。主にリスニング力とリーディング力が試されるテストである以上、英語を読む訓練を積むことは、リーディング力の向上につながります。

その意味では、TOEICと直接関係のないジャンルの英文を読むことにも効果はあります。

大事なのは、ジャンルそのものではありません。どのように読んでいるかです。

例えば、TOEICには出題されにくいテーマの英文を読んでいるとします。そこに登場する専門的な語彙や特殊な表現は、TOEIC本番でそのまま役立つとは限りません。

一方で、英文の構造、語順、時制、前置詞、接続表現などは、ジャンルが違っても学べます。

例えば、次のような英文があったとします。

Shortly after arriving at San Diego International Airport, a group of tourists gathered near a parking lot.
サンディエゴ国際空港に到着して間もなく、観光客の一団が駐車場の近くに集まった。

このような内容そのものがTOEICに出るとは限りません。しかし、shortly after ...ingの形や、nearby / nearの使い方、arrive atのような表現を学ぶことはできます。

つまり、TOEICに出るジャンルかどうかだけで判断する必要はありません。正しく書かれた英語をきちんと読んでいるなら、英語力の土台作りには役立ちます。

スコアアップにつながる読み方を意識する

ただし、英語を「読んでいる」つもりでも、実際には単語を眺めているだけになっていることがあります。

目に入ったいくつかの単語をつなぎ、なんとなく内容を想像しているだけでは、リーディング力の向上にはつながりにくいでしょう。

TOEIC Part 7でも同じです。文書に焦りながら目を通し、内容を十分に理解しないまま、目立つ単語だけを拾って「たぶんこれだろう」と選んでしまう。その読み方を続けていると、なかなか正答率は上がりません。

トピックがビジネスであれ、旅行であれ、科学であれ、歴史であれ、きちんと読んでいればスコアアップに貢献します。

ここで言う「きちんと読む」とは、ただ日本語訳を確認することではありません。

  • 主語と動詞を確認する
  • 修飾関係を考える
  • 文と文のつながりを見る
  • 知らない語句の意味を文脈から推測する
  • その後で辞書や解説を確認する

このように、英文を正確に理解しようとする読み方を積み重ねることが大切です。

TOEICと関係のないジャンルの英文を読む場合でも、読み方次第で十分に効果はあります

TOEIC対策としての読み方

英語を読む習慣は大きな強みになる

とにかく英語を読んでいる」と言える学習者は、実はそれほど多くありません。

もし、TOEICに関係ないジャンルであっても、英語を読むことが習慣になっているなら、それは大きな強みです。

英語を読む量が増えれば、英文を処理するスピードが少しずつ上がっていきます。英語の語順に慣れ、よく出る表現を見慣れ、長い英文に対する抵抗感も薄れていきます。

英語を速く、正確に読めることは、TOEICを受験する際にも大きな武器になります

ですから、好きなジャンルの英語を読む習慣があるなら、それを無理にやめる必要はありません。むしろ、続ける価値があります。

大切なのは、読んだ量をただ増やすだけでなく、内容を理解しながら読むことです。

「何となく分かった気がする」で終わらせず、気になった文をもう一度読み返す。知らない語句を確認する。文の構造を考える。そうした読み方を少しずつ加えると、読書の習慣がTOEIC対策にもつながりやすくなります。

TOEIC用の英文にも触れる

一方で、TOEICスコアアップを目指すのであれば、TOEIC用の英文にも触れておきたいところです。

英語を読むうえで忘れてはいけないのは、TOEICに頻出する語彙や場面があるということです。

例えば、あなたが恐竜の化石についての英文を楽しく読んでいるとします。その英文を読むこと自体は、英語力の向上に役立ちます。ただし、そこに出てくる専門用語の多くが、TOEICにそのまま出題されるとは限りません。

一方で、TOEICでは、会議、出張、求人、注文、請求、店舗、社内連絡、イベント案内など、よく出る場面があります。

そのため、TOEICで成果を出したいなら、好きなジャンルの英文を読むだけでなく、TOEICに近い英文にも触れておくとよいでしょう。

例えば、1週間の中で好きなジャンルの英文を10時間読んでいるなら、そのうち1時間だけはTOEIC用の問題集や公式問題集の英文に取り組む、という考え方です。

普段から英文を読む習慣がある人なら、TOEICの英文を読むことにも比較的入りやすいはずです。

好きな英文とTOEIC教材を組み合わせる

TOEICに関係のない英文を読むことは、決して無駄ではありません。

ただし、TOEIC対策として考えるなら、好きな英文とTOEIC教材を組み合わせるのが現実的です。

好きなジャンルの英文は、英語に触れる量を増やすために使う。TOEIC教材は、出題形式や頻出語彙、設問の解き方に慣れるために使う。このように役割を分けるとよいでしょう。

もし、TOEIC教材の英文を読むのが苦痛に感じる場合は、無理に長時間取り組む必要はありません。短い時間から始めれば十分です。

例えば、Part 7の文書を1つだけ読む。設問は解かずに本文だけ読む。リスニングのスクリプトを読んで、知らない表現を確認する。こうした取り組みでも、TOEICの英語に慣れるきっかけになります。

好きな英文を読む習慣を保ちながら、少しずつTOEICらしい英文も取り入れていく。

このバランスが取れれば、英語を読む楽しさを失わずに、TOEICスコアアップにもつなげやすくなるでしょう。

ヒロ前田さんの本

ヒロ前田
ヒロ前田(ひろ まえだ)

TOEIC受験力UPトレーナー。神戸大学経営学部卒。2003年5月に講師として全国の企業・大学で指導を開始。TOEICを教える指導者を養成する講座でもトレーナーを務める。TOEICの受験回数は100回を超え、47都道府県で公開テストを受験する「全国制覇」を2017年5月に達成。取得スコアは15点から990点まで幅広い。著書・監修書に『TOEIC(R) L&Rテスト 文法・語彙・語法 あがる1000問』『TOEIC(R) L&Rテスト 究極の模試600問+』『TOEIC(R) L&Rテスト 基本例文990選』『改訂版TOEIC(R)スピーキングテスト究極のゼミ』などがある。

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