2時間のTOEIC受験で疲れないための、たった1つの意外な戦略

TOEICスコアアップ200点請負人の Jay(ジェイ)こと早川幸治さんが、TOEICのスコアをどうしても上げたいあなたに贈る連載。第3回は、合計2時間の公開テストを乗り切る戦略についてお話しいただきます。

リスニングの45分だけでヘトヘトになる・・・

連載の初回でお伝えしたTOEICスコアを上げるために必要な力を、あらためて確認しておきましょう。

  1. 英語力
  2. 情報処理能力
  3. 対策力

これら3つのを高めたうえで、いざ出陣!

準備が功を奏し、前回の「TOEIC対策がスコアアップを妨げる理由」でお伝えした「策士策に溺れる状態」にも陥らずに解けているかもしれません。

でも・・・

「リスニングが終わったらヘトヘト。あと75分もエネルギーがもたない・・・」

そんな状態になっていませんか?

疲労が意味するものとは?

リスニングが終わって、かなり疲れているという理由は、問題を解こうとしすぎているからです。

もちろん、テストですから問題を解けないと意味がありません。

ただ、問題を解くことに意識を集中するあまり、話の内容を理解するのではなく、「正解に必要な情報を待つだけ」という取り組み方になっていませんか?

話の意味を理解せずに特定の情報を待つだけでは、もぐらたたきゲームのような情報処理になってしまっています。

普段の仕事でメールが来たときの読み方や、海外旅行中に遭遇する英語アナウンスの聞き方とは全く異なりますよね。だから疲れてしまうのです。

TOEICは2時間。同様に2時間かかる映画を例にとってみましょう。

同じ2時間でも、ある映画では「長くて疲れた・・・」ということがあるのに、「もう終わり?」と全く疲れない映画もあります。

この違いはなんでしょうか。

もちろん、「面白さ」と「つまらなさ」の違いはあります。しかし、その根底にあるのは「ストーリーに入り込めたかどうか」です。

前者の長くて疲れた映画の場合、ストーリーに入り込めなかったことが原因で、長く感じたのです。逆に後者の場合は、ストーリーに入り込めたから、短く感じたのです。

私たちは、ストーリーに入り込めると、疲れを感じません

学校を考えても、面白い授業は疲れなかったですし、つまらない授業ほど疲れたと思います。全く同じ原理で、大事なのはそこにストーリーがあったかどうか、ストーリーに入り込めたかどうか、です。

ところで、私は受験の申し込みをし忘れない限り、テストを毎回受験しています。ちなみに10月のテストは申し込みを忘れるという失態のため受験していません・・・(涙)。

毎回、テスト中に本文と選択肢を読みながら、「こんな言い換えできるのか!」とか「そのポイントを問うのか!」とか「その不正解の選択肢、感動した!」ということは仕事柄いつもありますが、TOEICの内容自体を面白いと思ったことはありません。

もちろん、つまらないとも思いません。TOEICは主に仕事の場面でのやり取りが行われているだけですから、仕事中に受け取ったメールを「面白い」とか「つまらない」とか判断しないのと同じです。

ただ、TOEICの会話やトークを聞いたり、Eメールを読んだりしたとき、「自分と関係ない誰かが、自分と関係ないことについて、何やらやり取りしている」という意識だと、ストーリーに入り込むことはできません。それは他人事だからです。

えば…

The next train will arrive here 30 minutes behind schedule.

と聞いたとき、「電車が遅れているんだな」と問題文として聞くよりも、「え?打ち合わせ間に合う?」と、まさに今、駅にいるようなイメージで、内容に反応しながら聞くことで、より深くストーリーに入り込めます

TOEICの世界に入り込め!

話は大きく変わりますが、私が子どものころ好きだったテレビアニメに『まんがはじめて物語』というものがありました。

これは、お姉さんとキャラクターが時空を超えて、いろいろな「歴史の始まり」を見に行くというもの。たとえば、ピラミッドを建設中のエジプトに降り立ち、石を運んでいる人たちに話を聞きながら話が進んでいくというような、歴史アニメです。

上級者にこそオススメしたいのが、まさにこれです。

「TOEIC受験で疲れないための、たった1つの意外な戦略」とは、試験中はどっぷりとTOEICの世界へ入ってしまうこと。つまり、問題としてではなく、他人事でもなく、 全てを自分事として聞くこと、読むこと です。

リスニングのPart 2(応答問題)であれば、25人のネイティブスピーカーが自分に向かって質問したり報告したりしていることをイメージします。

Part 3(会話問題)であれば、自分も関係者として横にいて会話を聞いている状態。Part 4(説明文問題)は、留守番電話であれば自分に対するものとして聞き、会議でのアナウンスなら自分が参加しているつもりで聞きます。

リーディングにおいては、Eメールなら「関係者である自分にccで送られている」という状況として読み、新聞記事なら自分の業界での出来事として読む。

このように、全て自分に関係のあるシチュエーションだとイメージすると、ストーリーに入り込むことができて、疲労が大幅に減少します。

疲労とスコアは反比例!

私が初めて990点(満点)を取ったとき、それまで受けてきたテストの中で最も疲れがありませんでした。それは、簡単だったからではありません。どっぷりTOEICの世界に入り込めたからです。

リスニングの疲労がいつもより少なければ、それだけリーディングに集中することができます。集中できるということは、読む精度も高くなります。その結果、正解数が高まり、スコアへと反映されます。

テストが終わったときの疲労が最も少なかったときに、きっとベストスコアが取れます!

最後に、今回の格言です。

特別なことをするためには、普段の自分でいられることが大事です。

イチロー

早川幸治さんの本

早川幸治
早川幸治(はやかわ こうじ)

ニックネームはJay。株式会社ラーニングコネクションズ代表取締役。企業研修講師として、英語公用語化企業はじめ、これまで全国の140社以上で研修を担当してきたほか、大学や高校でも教えている。セブ島留学プログラムも監修。TOEIC990点(満点)、英検1級取得。豊富な受験経験から傾向を押さえた効率的な対策法が好評。著書多数。アルクの通信講座「TOEIC(R) LISTENING AND READING TEST 完全攻略600点コース」監修。

写真(1枚目とプロフィール写真):山本高裕(アルク GOTCHA! 編集部)

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