TOEIC Part 2の応答問題が難しいです。よい対策はありますか?

TOEIC指導の専門家・ヒロ前田さんが、学習者の悩みに答える連載「TOEIC学習お悩み相談室」。今回は、「TOEIC Part 2の応答問題が思っていたより難しい」という相談を取り上げます。短いやりとりの中で正解を選ぶには、何を意識すればよいのでしょうか。

今回の相談

TOEIC Part 2の応答問題が、思っていたより難しくて困っています。何かよい対策法はないでしょうか。
 
――会社員(TOEICスコア800点、20代・男性)

まず確認したいこと

Part 2はシンプルですが、簡単とは限りません

Part 2は、質問や発言に対する適切な応答を1つ選ぶ問題です。

問題文も選択肢も短く、選択肢は3つだけです。そのため、一見するとシンプルな形式に見えます。

例えば、日本語で考えると、次のようなやりとりです。

営業会議は何時に終わりますか?

(A) はい、そうです。
(B) 大阪で。
(C) 3時でしょう。

この場合、正解は(C)だとすぐに分かります。

このように、質問と応答の関係が直接的な問題であれば、Part 2は比較的解きやすいでしょう。

しかし、実際のPart 2には、もう少し判断が難しい問題も出ます。

例えば、次のようなやりとりです。

営業会議は3時に始まります。

(A) では、プロジェクターを持っていきます。

これは、直接的な質問と答えの形ではありません。それでも、「会議が始まるなら、必要なものを持っていく」という流れを考えると、会話として成立します。

Part 2が難しいと感じる原因の一つは、このように発言の文字通りの意味だけではなく、話し手の意図や状況を考える必要がある問題が含まれていることです。

英語力だけでなく、会話の流れを読む力も必要です

TOEICで800点を取っている人でも、Part 2で迷うことはあります。

それは、Part 2が単に「短い英文を聞き取れれば解ける問題」ではないからです。

もちろん、基本となるリスニング力は必要です。最初の発言を聞き取れなければ、選択肢を判断するのは難しくなります。

ただし、音として聞き取れていても、正解を選びにくいことがあります。

その理由は、Part 2では、質問に対して真正面から答えない応答や、状況を補って考える必要がある応答が出ることがあるからです。

つまり、Part 2では、英語を聞き取る力に加えて、会話の流れをすばやく判断する力も求められます。

「聞こえたのに選べない」と感じる場合は、英語力がまったく足りないというより、応答のパターンや会話の自然な流れに慣れていない可能性があります。

Part 2の考え方

応答にはいくつかのパターンがあります

Part 2には、大きく分けると次のような応答パターンがあります。

  • 直接的な応答
  • 間接的な応答
  • 状況依存型の応答

「直接的な応答」は、Yes/No疑問文に対してYesまたはNoで答えるような問題です。比較的分かりやすいタイプです。

「間接的な応答」は、質問にそのまま答えるのではなく、関連する情報を返すタイプです。

例えば、「この機械の操作方法を知っていますか?」という質問に対して、「田中さんに聞くといいですよ」と答えるようなものです。Yes/Noではありませんが、会話としては自然に成立します。

800点を取っている人にとって、直接的な応答や間接的な応答は、ある程度対応できるかもしれません。

難しいのは、「状況依存型の応答」です。

状況依存型の応答とは、ある特定の状況での発言の意図を察して、その意図に対して反応する応答です。

状況依存型の応答に注意する

、何時ですか?」という質問を例に考えてみましょう。

どうしても10時発のバスに乗りたい2人が、駅前の道路をバス停に向かって走っているとします。Aさんが焦りながら、会社の先輩であるBさんに時刻を確認します。

Aさん「今、何時ですか?」
Bさん「大丈夫、間に合うよ」

この会は成立します。

バスに乗れるかどうか不安なAさんは、本気で時刻だけを知りたいわけではありません。重要なのは、バスに間に合うかどうかです。したがって、Bさんの「大丈夫、間に合うよ」は適切な応答になります。

一方で、別の状況ではどうでしょうか。

セミナー会場で隣同士になった初対面のCさんとDさんがいるとします。Cさんが、単に時刻を知りたくて「今、何時ですか?」と尋ねました。これに対してDさんが「大丈夫、間に合うよ」と答えたら、不自然に感じるはずです。

同じ質問と応答でも、状況によって自然に聞こえる場合と、不自然に聞こえる場合があります。

Part 2では、こうした状況依存型の応答が難しく感じられることがあります。

正解の鍵は「話し方」にあります

Part 2では、「バスに向かって走っている2人」や「セミナー会場で隣同士になった2人」のような具体的な状況説明はありません。

そのため、状況を判断するための手掛かりは限られています。

その中で大切になるのが、話し方です。

走りながら、バスに乗れるかどうか心配している人は、どのように「今、何時ですか?」と尋ねるでしょうか。落ち着いた口調ではなく、焦りや不安が込められているはずです。

短い発言であっても、話し方には話し手の気持ちや状況が表れることがあります。

それを瞬時に理解できると、状況依存型の応答も選びやすくなります。

Part 2で「正解がないように感じる」ことがある場合、英語の単語や文法は理解できていても、その発言が置かれている状況をうまく思い描けていないのかもしれません。

Part 2対策の進め方

Part 3の会話問題も活用する

状況依存型の応答に強くなるには、人がどのような状況で、どのように話すのかに慣れることが大切です。

そのためには、Part 2だけでなく、Part 3の会話問題を使うのも効果的です。

Part 3には、会話の状況や流れがあります。誰が、どこで、何について話しているのかが分かるため、発言の意図を考える練習になります。

例えば、音声を聞いた後で、次のような点を確認します。

  • 2人はどのような関係か
  • どこで話しているのか
  • 何について困っているのか
  • どの発言に、どのような意図があるのか
  • どの言い方に、焦りや困惑、提案などが表れているのか

このように、状況と話し方を結び付けて聞く練習をすると、Part 2の短いやりとりにも対応しやすくなります。

ドラマや映画も役立つことがあります

Part 2の対策というと、Part 2の問題だけを繰り返したくなるかもしれません。

もちろん、問題形に慣れることは大切です。

ただし、状況依存型の応答に慣れるには、ドラマや映画などの素材も役立つことがあります。

ドラマや映画には、状況、表情、声の調子、会話の流れがそろっています。誰が、どのような気持ちで、どのように話しているのかを理解しやすい素材です。

TOEIC対策として使うなら、長時間見る必要はありません。短い場面を選び、「この人はなぜこう言ったのか」「この返答はなぜ自然なのか」を考えてみるだけでもよいでしょう。

大切なのは、英語を音として聞くだけでなく、発言の意図と話し方を結び付けて理解することです。

Part 2は「短い会話」として捉える

Part 2は短い問題ですが、単なる反射神経のテストではありません。

発言を聞き、相手の意図を考え、自然な応答を選ぶ問題です。

そのため、正解を選ぶだけの練習に偏りすぎると、「なぜその応答が自然なのか」を考える機会が少なくなります。

復習するときは、正解・不正解だけを確認するのではなく、次のように考えてみるとよいでしょう。

  • 最初の発言は、質問なのか、依頼なのか、提案なのか、報告なのか
  • 正解の応答は、どの意図に反応しているのか
  • 不正解の選択肢は、なぜ会話としてずれているのか
  • 話し方から、どのような状況が想像できるのか

このように復習すれば、Part 2の短い音声から、会話の流れを読み取るが鍛えられます。

TOEIC Part 2が難しく感じるなら、問題数をこなすだけでなく、短い会話として自然に成立するかを考えることが大切です。

ヒロ前田さんの本

ヒロ前田
ヒロ前田(ひろ まえだ)

TOEIC受験力UPトレーナー。神戸大学経営学部卒。2003年5月に講師として全国の企業・大学で指導を開始。TOEICを教える指導者を養成する講座でもトレーナーを務める。TOEICの受験回数は100回を超え、47都道府県で公開テストを受験する「全国制覇」を2017年5月に達成。取得スコアは15点から990点まで幅広い。著書・監修書に『TOEIC(R) L&Rテスト 文法・語彙・語法 あがる1000問』『TOEIC(R) L&Rテスト 究極の模試600問+』『TOEIC(R) L&Rテスト 基本例文990選』『改訂版TOEIC(R)スピーキングテスト究極のゼミ』などがある。

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