リーディングの大問2、3対策~解き方からおすすめ参考書まで【ここから始める英検2級】

社会人のやり直し英語にもおすすめの英検2級。前々回は2級の概要、前回はリーディングの大問1を詳しく解説しました。そして、今回取り上げるのはリーディングの大問2と3。長文読解の力が試される問題を見ていきます。『完全攻略!英検2級』(アルク)の著者、神部孝さんに詳しく教えていただきましょう。

大問2、3とは?

学生生活や実社会では、教科書やビジネス文書などの長文読解が大事です。まずは大問1の対策で語彙力をつけ、文法を学び、大問2、3の長文を読解する能力をつけましょう。

今回取り上げる大問2、3は、下の表の色が付いている所です。

大問2:長文空所補充問題

かっこの中に適切な語句を入れて文章を完成させる問題です。選択肢は、長めの句や節です。

2つのパッセージ AとBがあります。文章自体の難易度はAもBもそれほど変わりありません。問題数は各パッセージに3問、計6問です。

大問3:長文読解問題

大問3は、A、B、Cの3つのパッセージがある読解問題です。それぞれのパッセージに問題が3~5問あります。

A:Eメールの問題 3問

ここで扱われるEメールは、主にパソコンでやりとりされる形式のメールです。

旅行会社への問い合わせや、発注と異なる商品が届いた場合の苦情を伝えるものなど、多岐にわたります。Eメールの形式に慣れれば得点源になります。全問正解を狙いましょう。

B:パッセージ問題 4問
C:パッセージ問題 5問

BとCはアカデミックな内容のパッセージを読解する問題です。

科学的なもの、社会的なもの、時事的なものが出題されます。比較的難度の高い単語が使われます。語彙力が低いと、意味が分からないまま終わってしまう可能性もあります。

語彙力を伸ばすことは、長文読解に欠かせない過程です。初めて見たパッセージを「ふーん、面白い」と思えたら幸せですね。

例題

それでは、例題を解いてみましょう。大問2と3を合わせた練習問題です。

Darwin’s Finches

Charles Darwin, an English naturalist famous for his theory of evolution, studied behavior of finches native to the Galapagos Islands. These finches are birds which evolved into several species because of their different habitats and food resources. Their bills, the mouth parts of the birds, vary in shape. Some finches eat insects, while others with strong bills eat hard seeds. They use the sharp needles of the cactus plant(※) to pluck worms from holes in trees. So, the birds have (   ) and developed into independent species.

※ cactus plant: サボテン

(1) (   )に入れるのに最も適切なものを1つ選んでください。
1 become endangered
2 changed their food
3 died out
4 adapted to the environment

(2) Which of the following is true about Darwin’s finches?
1 All of them eat insects.
2 They live in different places.
3 They share the same nest.
4 They have similar bills.

ダーウィンのフィンチ

チャールズ・ダーウィンはイギリスの自然科学者で、進化論を提唱したこと知られています。彼は、ガラパゴス諸島に固有のフィンチの行動を研究しました。これらのフィンチは、さまざまな生息域や食糧資源に応じて、いくつかの種に進化した鳥です。フィンチのくちばし、つまり鳥の口腔部は、形状が多様です。あるフィンチは昆虫を食べ、一方、強いくちばしを持つ別のフィンチは硬い種を食べます。彼らはサボテンの鋭いとげを使って、樹木の穴から虫をつまみ出します。そうやって、この鳥は環境に適応しながら、別々の種へと進化してきたのです。

(1) 正解

4

選択肢の訳

1 絶滅危惧になった
2 食料を変えた
3 死滅した
4 環境に適応した

解説

挿入される文のSo, the birds have (   ) and into independent species. の Soが重要です。「そうして」ですから、前の文章の続きになります。それまで「絶滅危惧」にも「死滅」にも触れていませんから、1と3は間違い。第4文のSome finches eat insects, while others with strong bills eat hard seeds.(あるフィンチは昆虫を食べ、一方、強いくちばしを持つ別のフィンチは硬い種を食べます)では、食料の違いによりくちばしの形が異なることが述べられていますから、2も誤りで、変えたのは食料ではなく身体の方です。残った4が正解です。空所に ... and developed into independent species(そして、別々の種へと進化してきたのです)が続くことからも、4のadapted to the environment(環境に適応した)だと分かります。

(2) 正解

2

設問・選択肢の訳

次のうちダーウィンのフィンチについて、正しいのはどれでしょうか。
1 すべてのものが昆虫を食べる。
2 異なる場所に住む。
3 同じ巣を共有する。
4 同じようなくちばしを持つ。

解説

第2文 These finches are birds which evolved into several species because of their different habitats and food resources.(これらのフィンチは、さまざまな生息域や食糧資源に応じて、いくつかの種に進化した鳥です)から、2が正解だと分かります。念のためにほかの選択肢を確認しましょう。第3文で、フィンチのくちばしの形が違うことが分かりますから4は間違い。第4文から、種子を食べる種がいると分かるので1も間違い。巣の話は出てこないので、3は正解にはなりません。

長文読解の攻略法

それでは、長文読解の攻略法を見てみましょう。

(1) 速読を練習

速読をマスターすることにより試験時間を有効に使いましょう。

ここで紹介する速読練習は、チャンクと言われる「フレーズのかたまり」で区切って読む方法です。

英検の面接で、皆さんは最初にパッセージを音読します。面接では意味の区切りなどを意識し、内容を理解していることが面接官に伝わるように読む必要があります。ここでは、そのときに意識する区切りよりもう少し細かく、フレーズ単位で区切って読んでみましょう。

それでは区切り( / )で文意をつかみながら読んでください。

Cats are nocturnal, / moving and hunting / at night. / Their eyes / are adapted / to low light conditions. / However, / their eyes / are not superior / to a human’s / in every way.

どうでしたか?普段から、このような読み方を試してください。一単語ずつ読むよりも早く読めるようになります。

速読の注意点

① 語彙力

語彙力が低いと速読は難しくなります。大問1で7割程度正解できることを目安に、語彙力を増強しましょう。

② 文法上の問題

主語がどれか分からない」とか「文の動詞が見つけられない」といった文法上の問題に突き当たると、速読はうまくいきません。文によっては、無理やり読み進めるよりも時間をかけたほうがいいこともあります。

例えば、次の文を読んでください。

The U.S. presidential election system, which started in the mid-19th century, consists of both indirect and direct voting.

(アメリカの大統領選挙制度は、19世紀半ばに導入されたもので、間接投票と直接投票の両方から成っています)

単に速読ができましたか?

関係代名詞 whichで始まる節が、文に割り込んでいます。そのため、主語のThe U.S. presidential election systemと動詞のconsists ofが離れてしまっています。

このような場合は、読むスピードを落としたり、線を引いたりして確認してください。

(2) パラグラフ単位で答える

大問3の長文読解問題への解答の仕方には、次の2通りが考えられます。

① 全部を読んでから答える

パッセージ全体を読んでから、一問一問答える方法です。出題傾向を考えるとこの方法はおすすめしません。

② パラグラフ単位で答える

大問3では設問が個々のパラグラフに対応しています。近年ではCの最終問題を除き、パッセージ全体の大意を問う問題は出題されていません。ですから、パラグラフごとに読み、答えていけばよいのです。

そして、最後の問題を解くころには、パッセージ全体の意味を捉えられるのです。

(3) 時間配分に気を付ける

リスニングを除いた筆記試験の解答時間は85分です。大問2と3では時間配分が重要になってきます。そうしないと、最後の問題までたどり着けないでしょう。

それでは、解答時間を有効に使うために時間配分を決めましょう。

大問1: 20分
大問2: 15分
大問3: 25分
大問4: 20分
リスニングの選択肢の先読み:5分

合計:85分

大問4はライティングです。試験で十分にライティングに時間を割り当てるため、最初に解答するとよいでしょう。ただし、決めた時間がたったら終わっていなくてもほかの問題に移りましょう。

また、リスニングの選択肢の先読みは絶対に欠かさないでください。リスニングの選択肢を先読みすることにより正解率を上げます。

読解に慣れましょう

最後に、長文問題を攻略するために、大問1の攻略で用いたテキストや「読み物」をもう一度見ましょう。「読み物」はPenguin Readersのレベル3~4のものがよいでしょう。前回取り上げた本をあらためて紹介しておきます。

神部孝さんの本

「ここから始める英検2級」連載一覧

リーディング、作文、リスニングから面接まで、全ての対策が分かります。

神部 孝(かんべ・たかし)
神部 孝(かんべ・たかし)

Yale UniversityでMBAを取得。現在、かんべ英語塾主宰。TOEFLをはじめ、TOEICや英検などの指導に当たっている。主な著書に『完全攻略!英検2級』『完全攻略!英検準1級』『完全攻略!TOEFL ITPテスト』『完全攻略!TOEFL iBTテスト』(いずれもアルク刊)、『TOEFL英単語3800』『TOEFL英熟語700』(いずれも旺文社刊)などがある。さまざまな英語試験を受けており、英検では「生涯学習奨励賞」(1級)を受賞。TOEIC L&Rは満点の990点。そのほか、TOEFL iBT、TOEFL ITP、GTEC CBT、TEAP、IELTSなどを受験。今後、英検CBT、TEAP CBTを受験予定。

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