英検2級リスニング対策~問題タイプや解き方など必須ポイントを解説・音声例題付き【ここから始める英検2級】

リスニング力もスピーキング力も、英語に触れないでいるとすぐに衰えてしまいます。それを防ぐにはどうすれば?英検2級のリスニング問題対策と併せて、『完全攻略!英検2級』(アルク)の著者、神部孝さんに詳しく教えていただきます。

英検2級のリスニングとは?

1日休めば3日戻る
3日休めば1週間戻る

リスニングの力は衰えやすいものです。今日は疲れたからリスニングはパス、はだめです。忙しい日でも、30分間は集中して英語を聞いてください。

今回のテーマはリスニング。下の表の色が付いている所です。

第1部の会話は、2往復の短いやり取りと問題1つがセットになっています。問題の答えとして適切なものを、1~4の選択肢から1つ選びます。

第2部のトークは、短い説明文を聞いた後に問題が出ます。適切な答えを1~4の選択肢から1つ選びます。

会話、トークとも、問題冊子には選択肢のみが印刷されていいます。

リスニングで高得点を取るための方法

最初に、全般的なリスニング問題の攻略方法を説明します。

選択肢の先読みをする

実際の試験では、筆記問題(リーディングとライティング)を80分以内に終わらせて、5分以上余らせてください。そして、この5分間をリスニングの選択肢の先読みに使います

先読みの順序と時間配分

① リスニング第2部(トーク):3分(1問当たり12秒)
② リスニング第1部(会話):2分(1問当たり8秒)

選択肢中の注意すべき語句に印を付ける

1.They have to protec each other
2.There is not enough food.
3.There are a lot of safe places.
4.There are fewer predators.

下線を引いた部分を見てください。これらが注意しなければいけない語句です。

実際の解答時間は10秒しかありません。その10秒だけで正解を判断するのが難しいときがあります。筆記試験の最後の時間を使ってあらかじめ選択肢を読んでおき、否定語や動詞などキーとなる語句に印を付けておけば安心です。

第1部・会話問題の先読み時間は短く設定しました。会話問題では選択肢の英文の難易度がそれほど高くないためです。第2部のトーク問題に、より多くの時間を割きましょう。

テンポよく答える

1問当たりの解答時間は10秒で、その時間が過ぎると次の会話やトークが始まります。悩む暇はありません。テンポよく答えましょう。分からないときはあきらめ、次の会話やトークに集中します。

リスニングで点が取れない訳は?

次に、なぜリスニングで高得点を取れないのかを考えましょう。

  • 会話やトークの状況が分からない
  • 話されるスピードが速すぎてついていけない
  • 会話表現が苦手である

一番多いのは、状況が分からないからでしょう。また、聞こえた英語を日本語に訳して理解しようとして、話の展開についていけなくなるということもあるでしょう。

これらを克服する方法を2つ挙げておきます。

  • 日本語に訳さないで話の展開を把握する
  • 練習問題を解いた後には必ず音読する

リスニング問題を解いた後には必ず音読しましょう。英語が話されるさまざまな状況とトピック、そこで使われる表現に慣れることにより、リスニングで高得点が取れるようになります。

また、同じ問題を何度も聞き直すと、慣用句や話し方、スピードにも慣れるでしょう。

それでは題を見てみましょう。

リスニングの例題

第1部は会話問題 15問

第1部ではさまざまなトピックの会話が出題されます。学校や職場、そして、電話での応答などがあります。

それでは、学校に関する問題を解いてみましょう。会話を聞き、その後に流れる問題の答えを1~4から1つ選んでください。解答時間は10秒です。

例題

※ 再生ボタンを押すと音声が流れます。

1 Help him finish his homework.
2 Prepare him a sandwich.
3 Watch TV with him.
4 Study with him.

スクリプト

M: Wow, Janet. Can you stop talking while I’m working on this homework?
W: James, I was only asking if you wanted a sandwich. OK. So you don’t want one, do you?
M: Sorry, I couldn’t hear you. I will have one if it’s still all right with you.
W: Fine. Next time, I won’t talk to you while you’re concentrating on something.

Q: What does James want Janet to do?

スクリプト訳

男性:ジャネット。こうやって宿題をしている最中に話しかけるのをやめてくれないか。
女性:ジェームズ。ただあなたがサンドイッチを欲しいか聞いていただけなのよ。いいわ。いらないのね。
男性:ごめん。聞こえなかった。もしよければ、1つ欲しいな。
女性:いいわよ。次からは、あなたが何かに夢中になっているときには話しかけないようにするわ。

問題:ジェームズはジャネットに何をしてほしいのでしょうか。

選択肢の訳

1 宿題を終わらせるのを手伝う。
2 サンドイッチを用意する。
3 一緒にテレビを見る。
4 一緒に勉強する。

正解

2

解説

I will have one ... と言っていますから、男性がサンドイッチを欲しがっていることが分かります。話しかけないでほしいと言っていますが、そこはポイントではありません。

このような学校に関するトピックには、さまざまなものがあります。宿題、履修登録、図書館の利用、外国語の勉強、クラブ活動など多岐にわたります。

第2部はトーク(説明文)問題 15問

第2部のトークも、第1部と同様に非常に多くのジャンルのトピックから出題されます。それに伴い、人名や地名などの固有名詞や学術名などに注意する必要があります。

Persepolis(ペルセポリス:イランの遺跡)やAlpine swift(シロハラアマツバメ)といった聞いたことのない名称が出てくると、それだけで慌ててしまうことがあります。

しかし、注意して聞けば、それらが地名や鳥の種の名だと分かるようになっています。慌てないで聞きましょう

特定の人物を説明する問題

ある特定の人が何をどうしたか、という話題を理解する問題です。難易度の高い単語が使用されることはあまりありません。

しかし、「~を発見した」など印象的な出来事が具体的に語られず、問題のポイントをつかむのが難しい場合もあります。注意して聞きましょう。

それでは例題を解いてみましょう。解答時間は10秒です。

例題

1 He attended a discussion.
2 He read books.
3 His friend told him everything he knew.
4 He visited developing nations.

スクリプト

Takashi is a member of the debating team at university. He is going to take part in a discussion on food security, but he doesn’t know anything about it. He asked a friend to tell him about it. Instead, the friend advised Takashi to read several books on agriculture and the economies of developing countries. Now, Takashi has sufficient knowledge and is confident that he will be able to take an active part in the debate.

Q: How did Takashi gain some knowledge on the topic?

スクリプト訳

タカシは大学の討論チームのメンバーです。彼は食料安全保障に関する討論に参加する予定ですが、その事柄について何も知りません。彼は友人に、それについて話してくれるように頼みました。友人は話をする代わりに、タカシに農業や発展途上国の経済に関する数点の本を読むようにアドバイスをしました。今、タカシは十分な知識を身に付け、討論の場で活躍できる自信があります。

問題:タカシはどうやってその事柄について知識を得たのですか。

選択肢の訳

1 討論に参加した。
2 本を読んだ。
3 彼の友人が知っていることをすべて話した。
4 発展途上国を訪れた。

正解

2

解説

第4文で Instead, the friend advised Takashi to read several books on agriculture and the economies of developing countries.(友人は話をする代わりに、タカシに農業や発展途上国の経済に関する数点の本を読むようにアドバイスしました)と述べられています。2が正解です。3については、Instead(その代わりに)という表現から、友人は教えていないことが分かります。

アカデミックな内容の問題

さまざまなアカデミックな話題に関する説明文です。科学的な内容の話、地理的な内容の話、歴史的な内容の話などが出題されます。

リーディングの大問2や3の文章を短くしたもの と考えるといいでしょう。選択肢を先読みし、キーワードをマークしておくと説明文を理解しやすくなります。

それでは例題を解いてみましょう。解答時間は10秒です。

例題

1 They have a large body.
2 They migrate each year.
3 The male tern steals fish from the female.
4 They live for only a couple of years.

スクリプト

The Arctic tern is a seabird that migrates a tremendous distance. Although they are only 35 to 43 centimeters in body length, they fly a total of 40,000 kilometers each year between the Arctic and the Antarctic. Their mating ritual is also interesting. The male tern presents a fish to the female. If accepted, the birds form a lifelong couple. They can live 20 years or more.

Q: Which of the following is true of the Arctic tern?

スクリプト訳

キョクアジサシは途方もない距離を渡る海鳥です。体長がほんの35から43センチにすぎないにもかかわらず、毎年、北極と南極の間の計4万キロを飛行します。キョクアジサシの繁殖行動も興味深いものです。オスがメスに魚を贈ります。それが受け入れられると、メスオスは生涯のつがいになるのです。この鳥は20年以上生きられます。

問題:次のうちいずれがキョクアジサシについて正しいでしょうか。

選択肢の訳

1 大きな身体がある。
2 毎年渡りをする。
3 オスのアジサシはメスから魚を盗む。
4 わずかに2年間程度生きる。

正解

2

解説

migrate(渡りをする)という単語をぜひ覚えてください。この単語を知らないと選択肢の2を選ぶのが難しくなるでしょう。消去法で解く場合には、キョクアジサシの身体が小さいと述べられていますから、まず1を消せます。3は、トークの中のpresentという言葉から間違いだと分かると思います。またトークの最後の文から、この鳥が長生きだということも分かります。解答時間の制限の中で、消去法を活用してください。

###リスニングの向上のためにできること

日常的に英語の音を聞いていることが重要です。

私は大学生のころ、英会話教室に通い、英語の映画を見たりするほかに、「AFN」(米軍放送網)のラジオ放送で、7時など正時に流れるニュースを聞き取っていました。社会人になってからは、録音したNHKのラジオ放送を聞きながらディクテーションをしていました。

今でもテレビで「NHK World」「Discovery Channel」「CNN」「BBC」などの英語放送を見ていますし、夕食時にはアメリカのテレビドラマを見ています。

DVD BOOK おとなの基礎英語』などのDVD教材を利用したり、インターネットでTED(Technology, Entertainment, Design)が主催するさまざまな英語の講演を視聴したり、といった方法で学習するといいでしょう。

練習問題に挑戦したい方は、こちらの本がおすすめ!

「ここから始める英検2級」連載一覧

リーディング、作文、リスニングから面接まで、全ての対策が分かります。

神部 孝(かんべ・たかし)
神部 孝(かんべ・たかし)

Yale UniversityでMBAを取得。現在、かんべ英語塾主宰。TOEFLをはじめ、TOEICや英検などの指導に当たっている。主な著書に『完全攻略!英検2級』『完全攻略!英検準1級』『完全攻略!TOEFL ITPテスト』『完全攻略!TOEFL iBTテスト』(いずれもアルク刊)、『TOEFL英単語3800』『TOEFL英熟語700』(いずれも旺文社刊)などがある。さまざまな英語試験を受けており、英検では「生涯学習奨励賞」(1級)を受賞。TOEIC L&Rは満点の990点。そのほか、TOEFL iBT、TOEFL ITP、GTEC CBT、TEAP、IELTSなどを受験。今後、英検CBT、TEAP CBTを受験予定。

【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。

語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発

  • スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
  • 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
  • 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!

SERIES連載

2024 12
NEW BOOK
おすすめ新刊
キクタンタイ語会話【入門編】
詳しく見る