このところ受験者数が急増し、注目を集めている英検(実用英語技能検定)。この連載「英検すごいぜ!」では、25歳の英語講師 Kenさんに、「英検を活用して英語運用力を身に付ける方法」を教えていただきます。今回のテーマは英作文です。
目次
こんにちは、Kenです!今回は、英検2級に合格するための英作文についてお話しします。英作文が苦手な方もいるかもしれませんが、英語を書くことは話すことにもつながりますので、ぜひ取り組んでいきましょう。
ライティング(英作文)もやればできる!
英語を「書く」のはハードルが高い
これから英検2級を受けるという段階では、自分の気持ちや意見を英語で書くことになじみのない人がほとんどだと思います。
学校のテストでは和文英訳はあっても、1つのテーマについて英語で自分の意見を書くということはほとんどありません。社会人でも、仕事で英語を使ったり、外国人の友だちがいて英語でメッセージをやり取りしたりする場合をのぞいては、なかなか英語を書くことはないのでは?
普段英語を書く機会がないため、ライティングに対して苦手意識を持つ人が多いのです。
しかし、ハードルが高いのは誰にとっても同じこと。 慣れていないだけなので、練習すればいくらでも力を伸ばせます 。それがライティングです。
実際に、ライティングは練習すればするほど、それもすぐに上達します。英検の第1問の語彙問題と同じぐらい、ライティングは、実力の伸びが結果に表れやすいスキルなのです。
ライティングは英会話にも役立つ
ライティング力とスピーキング力は、どちらも「英語で表現する力」、つまりアウトプット力なので、相関関係があります。
スピーキング力を磨けばライティング力が高まるのと同様、ライティング力を磨くことでスピーキングにも良い 影響があるのです。
例えば、自分が書いた英文や、英検の問題集に載っているサンプルエッセイを、何度も繰り返し音読したり暗唱したりすれば、それはそのままライティングの勉強になるだけでなく、スピーチの練習にもなります。
「スピーチと会話は別物では?」と思うかもしれませんが、例えば1分間など、時間を決めて短時間のスピーチの練習をすると、英語で話せる範囲がどんどん広がっていき、結果として英会話にも大きく役立ちます。気になる方は、僕のブログの こちらの記事 を参考にしてください。
また、 前回 も書いた通り、英検2級では日常生活に即したテーマが出題されることが多いです。そのため、英検2級のライティング問題で書いた英文やサンプルエッセイの音読・暗唱は、英会話にもとても効果的なんです。
英検2級のライティングはどんな問題?
では、英検2級のライティングではどんな問題が出題されるのか、見ていきましょう。
過去問題をチェックしよう
こちらは、2017年第2回の試験で出題された問題です。
・以下のTOPICについて,あなたの意見とその理由を2つ書きなさい。・POINTSは理由を書く際の参考となる観点を示したものです。ただし,これら以外の観点から理由を書いてもかまいません。・語数の目安は80語~100語です。(中略)【TOPIC】It is often said that people today use too much electricity. Do you agree with this opinion?【POINTS】・Convenience・Cost・The environment
※ 「英検2級の過去問・対策」 より引用
このように、身近でかつ社会性のあるトピックについての意見を問われます。
語数制限は80~100語ですね。トピックの下に示されている3つのポイントは使っても使わなくても構いませんが、何も意見が浮かばないときなどに活用しましょう。
どんな構成で書けばいい?
全体が4段落になるように構成します。
1段落目はIntroductionといい、ここで自分の意見をはっきり述べます。
2段落目と3段落目はメインとなる段落です。それぞれの段落で、自分の意見をサポート(補強)する理由を2つ述べます。
4段落目はConclusionといい、ここでもう一度自分の主張をまとめます。1段落目で述べた意見を違う単語や表現で言い換えるのがベストです。
ライティングのための学習法
問題を解くだけではもったいない!とことん活用しよう
とにかく英作文は慣れです。英検を申し込んでからは、 1日1題を目標に、毎日コツコツと書いていきましょう 。これといった特別なことはする必要はありませんが、オススメの勉強法を紹介します。
①問題を解く
まずは自力で何も見ずに英作文をしてみます。本番を想定して時間を測ると良いでしょう。目安としては短くて15分、どんなに長くても25分以内に完成するのを目指しましょう。
②サンプルエッセイを確認
自分の書いた英作文と見比べてみましょう。大きな違いはありませんか?
「こんなふうに書けばよかったんだ」という発見があると思います。自分の書いた英作文との違いに意識を向けて、じっくり読んでみてください。
③サンプルエッセイを覚える
自分が書いた英作文を覚えるのもいいのですが、素晴らしくまとまったお手本のサンプルエッセイを覚えてしまったほうが、試験対策としてはためになるでしょう。
一度熟読して内容を理解できたら、何度も音読したり、書き写したりして覚えてしまいましょう!
④もう一度問題を解く
サンプルエッセイを覚えたら、もう一度問題を解いてみます。ただし、今度は最初とは違って、覚えたサンプルエッセイを再現するように書いていきます。
覚えたことを実際にアウトプットして再確認し、さらに記憶に定着させることが目的です。
実際に書くことで、意見の展開の仕方が身につくことも期待できます。
⑤サンプルエッセイを再確認
チェックすべきポイントは②と同じです。サンプルエッセイにいかに近いものが書けたか、しっかり確認しましょう。
⑥サンプルエッセイを暗唱しよう
最後の仕上げとして、サンプルエッセイを暗唱できるよう練習します。
暗唱できるようにするための練習法は人それぞれですが、たくさん音読するほかに、「read and look upという方法があります。
これは、「1文を黙読したら、顔を上げ口に出して言ってみる」というもの。これを繰り返します。1文ずつやってみてできるようになったら、次は2文ずつ、次は段落単位でと、徐々に負荷を上げていくのがおすすめです。
80~100語程度の文章なので、暗唱するのもそこまで難しくはありませんよ。
暗唱できると、何ができる?
暗唱できる、つまり即座に口に出せるということは、同じトピックなら簡単に書けるし、話せるということを意味します 。これを多くのトピックについて行えば、ライティングは怖くありません。
また、たくさんサンプルエッセイを覚えることにより、英作文の型のようなものが自然に身につくので、全然書いたことのないトピックについても論理的に書けるようになります。
同時に、英作文の暗唱は、二次試験の面接(質疑応答)対策としても役立ちます。スピーキング力も向上しますよ。
ライティングにおすすめの教材
英検2級のライティングに特化した本は、まだあまり出版されていません。だからと言って何も使わないとなると、どのようなトピックについて書けばよいのかわからなくなりますよね。おすすめの物をいくつか紹介します。
『英検2級予想問題ドリル 新試験対応版 』
この本には7回分の予想問題があるので、ライティングの問題も7題あります。新形式対応でないものは、ライティングの問題がついていないため選ぶときに気をつけてください。
『英検2級ライティング大特訓』
『英検2級 面接大特訓』
英検2級の二次試験で出題される、自分の意見を問われる問題は、実はライティングと扱われるものとトピックがそっくりなのです。
この1冊で二次試験の先取り対策をしながら、ライティングに必要な論点(考えや一般的な意見)を学んでいきましょう。
また、この本には音読練習のパートもあり、その素材の文章はそのままライティングのお手本として使えるようなものばかりです。
それをしっかり音読して頭に叩き込めば、そのままライティングにも生かせるでしょう。
まとめ
ライティングはなじみのない人が多く、一見ハードルが高く感じられますが、勉強すればすぐに目に見える成果が現れるパートです。
書いただけで終わりにするのではなく、書いた英文やサンプルエッセイを何度も声に出して音読し、暗唱できるまでに仕上げてしまいましょう。そうすることで、英検2級に必要なライティング力だけでなく、実際の会話で意見を述べるのに必要なスピーキング力も高められます。
英検2級のライティングの課題をしっかり活用することによって、テストの勉強という域を超え、英語力を高めることができます 。
英語力が高まれば、結果として自然と英検2級合格に達するものです。それを意識して頑張りましょう!
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