火星の六角形模様が示す「生命」の可能性【英語ニュースを聞く No-15】
© NASA/JPL-Caltech/MSSS/IRAP

注目を集めた海外ニュースを紹介する、英語音声付きの連載。今回は、火星に関する研究と発見についてのニュースを取り上げます。NASAの火星探査車「キュリオシティ」が撮影したパノラマの拡大図からは、六角形模様が明らかに見て取れます。これは、長年にわたる乾燥と湿潤のサイクルによって形成されるようです。

火星に残る泥の亀裂、生命存在の可能性

火星で新たに発見された、六角形模様の泥の亀裂。私たち人類にどんなヒントを示してくれるのでしょうか。

Mud Cracks on Mars May Hint at a Past Existence of Life

Scientists using data from NASA’s Curiosity rover found the first evidence of wet-dry cycling on Mars.

One of many theories leading to the origin of life on Earth is based on something called wet-dry cycling. This implies that a continual series of wet and dry ground conditions on our planet help create the necessary chemical building blocks for bacterial life.

Curiosity found an assortment of hexagonal patterns of well-kept ancient mud cracks, providing another clue that the red planet may have hosted microbial life early in its history.

The lead author of a study detailing these findings is William Rapin of France’s research institute in astrophysics and climatology. He said in a NASA press release that these new-found mud cracks are made when wet-dry conditions repeatedly occur – perhaps seasonally.

VOA News, August 11, 2023

火星に残された泥の亀裂、生命へのヒント

NASAの火星探査車「キュリオシティ」のデータを使用している科学者が初めて、火星の乾湿循環の痕跡を発見しました。

地球上の生命の起源につながる多くの学説のうちの1つが、乾湿循環と呼ばれるものに基づいています。これは、私たちの惑星において地面が湿ったり乾いたりする状態が継続的に繰り返されることが、細菌の生命に必要な化学的構成要素を作るのに役立つことを意味します。

キュリオシティは、保存状態の良い古代の亀裂から成る、さまざまな六角形の模様を発見しました。このことは、赤い惑星がその歴史の初期に、微生物の生命を抱えていた可能性の手掛かりを与えてくれました。

この発見に関して詳細な研究を行っている筆頭著者が、フランスの天体物理学・気候学の研究機関のウィリアム・ラパンです。彼はNASAの会見でこう述べています。新たに見つかったこれらの泥の亀裂は、おそらくは季節的に、乾燥と湿潤が繰り返し発生した際に生じるのです、と。

語注

語句意味
rover惑星探査機
wet-dry cycling乾湿循環
※乾燥状態と湿潤状態が交互に発生すること
chemical building block化学的構成要素
an assortment of ~一式の~、~を取りそろえたもの
hexagonal六角形の
microbial微生物の
astrophysics天体物理学
climatology気候学
ENGLISH JOURNAL編集部
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